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最終更新日: 2008/10/01
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プロの仕事研究
ワイヤーハーネス用部品のローコスト化を行う、生産技術開発のプロ。
技術系−応用研究・技術開発
オートネットワーク技術研究所 生産技術研究部
橋本 大輔 (31歳) Daisuke Hashimoto
入社5年目 / 三重大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 出身

プロフィール
2005年4月入社。2ヶ月間の全体教育を経て、同年6月よりワイヤーハーネスの生産技術開発に携わる。それ以後、「ワイヤーハーネス用部品の製造工程の低コスト化」をテーマに、要素技術開発・設備技術開発を行っている。

プロローグ
「これって問題なんじゃないんですか?」 試験現場の担当者からの言葉を聞いて、橋本の表情は青ざめた。「なぜだ? 上手くいくはずなのに…」。そのはずだった。しかし、現実は無情にも橋本を追い詰める。開発した試作機に不具合が発生していたのである。「担当者の言い分ももっともだ。改善策を見つけなければ…」。橋本は、不具合が発生した原因を突き止めるべく、試験現場へと向かうことになるのであった――。

橋本は、オートネットワーク技術研究所というワイヤーハーネスの新製品を開発する部署に配属されていた。とはいっても、実際に製品化をしていくのは設計チームや製造チームといった別のチームが担当している。橋本の役割としてはクライアントや市場のニーズを基に新製品の開発を、実用化の目処が立つところまで、進めることであった。住友電装のモノづくりの司令塔として、現場に的確な指示を出していく役割を、橋本は担っていた。そして、量産のモデルとなる試作機を開発することが、今回のミッション。だからこそ、今回発生した試作機での不具合を、橋本はなんとしても解決しなければならなかったのだ。

コストを半分に。 1
橋本が今回携わったプロジェクトは、ワイヤーハーネス用部品のローコスト化であった。これまでの半分にコストを抑えることが至上命題とされていた。ワイヤーハーネスの生産にかかる工数を減らし、全体にかかるコストを抑えていこうというのが狙いであった。一つひとつの生産性が上がり、コストを減らすことができれば、カットできた分のコストは利益につながる。利益が上がれば、他の開発にかかる費用へと回すことができ、より良い製品が生まれやすくなるのである。日々進化していく技術を活かすためにも、橋本はこのプロジェクトを成功させなければならなかった。

しかし、ローコスト化は橋本が想像していた以上に難しいものであった。製造される製品の質を落とさずに、ローコストで製品を造るためには、生産工法そのものを変える必要があるのだ。これまで行われていた工法の原理を理解し、さらに効率の良い工法案を練る。それから、要素実験を繰り返し、一つずつ要素技術を確認。そして問題点が浮上すれば、原因を探り、対策を練る。そんな毎日が続く。そして、要素技術を積み上げた結晶として、今回の試作機があるはずだった。しかし、それでも不具合が発生する。橋本は厳しい現実と直面していた。

思い通りに処理が実現できていない。 2
プロジェクトチームのリーダーである上司と共に、試験現場を訪れた橋本。橋本の目に飛び込んできたのは、試作機の不具合。試作機は、要素実験で確認してきた処理の一部が機能していなかった。「こんな状況なんですよ。なんとかなりませんか?」 担当者は、そう告げると上司と橋本の方へと目を向けた。「確かに、このままではまずいな…」。そうつぶやき、表情を強張らせる上司。この工法を実際の生産に導入するためには、一度や二度、まともな製品ができればOKというものではない。何年にも渡って同じ品質の製品を造り続けることができる、安定した工法として立ち上げる必要がある。しかし、この試作機はまだその域には達していなかった――。

不具合の原因を探るため、話し合う一同。すると、現場の担当者からさらなる問題点があることが告げられる。「実は、他にも気になっていることがありまして…」。試作機を稼動させた際に、隣り合うユニットの部品が干渉することが発覚したのである。「問題点が多すぎる…」。橋本は入社後、初めてとなる困難な状況に直面していた。

まだ、立ち止まれない。 3
「こんなはずでは…」。まだ、経験が浅いとはいえ、ベストな方法を選んで、試作機を組上げたつもりでいた。しかし、相次ぐ設備の不具合に、橋本はショックを隠せなかった。伏し目がちとなる橋本に、上司が声をかける。「どうした? まだ、終わったわけじゃないだろう」。その言葉が、橋本の胸をついた。「そうだった…。より良い生産工法を生み出すためにも、自分が試作機を造り上げなくてはならない。ここで立ち止まるわけにはいかない…」。橋本の目は、再び輝きを取り戻していった。

複雑な問題を解決するため、橋本は上司や現場担当者と、設備の図面を広げながら、アイデア出しを行った。そして、話し合って出たアイデアを基に、設備に手を加えていった。干渉する部品については、その一部を削ることで改善を図った。試作機の不具合によって上手く処理が機能していなかった部分については、確立してきた要素技術に基づき、大鉈を振るって問題解決に取り組んだ。その結果、どうにか思い通りの処理ができるようになって来た。「よし、これなら大丈夫だろう」。再設計をした試作機に、橋本は自信を持っていた。

上司の姿から学んだこと。 4
完成した試作機を前に橋本は、ホッと息をついた。「諦めずにやって良かった…」。そして、橋本は上司や担当者と共に、アイデア出しをしたときのことを振り返っていた。

たとえ複雑な問題があろうとも、それを解決へと導くための手立てをひたすらに議論していた上司と現場担当者の姿。その姿に開発に携わる人間として、最後までやり遂げる姿勢を学んでいた。そして、自分もその中で考えていたことをぶつけ、その結果、製品のローコスト化を実現する試作機を完成することができたのだ。不安を抱えながらも、最後までやり遂げたことは、橋本にとって、自信へとつながる大きな一歩となっていた。クルマをより安全で快適な乗り物にするためのワイヤーハーネス。それを世に送り出すために、橋本は常にベストの工法を考えながら、試験設備を構築していく。

エピローグ
「途中で本当に設備が成り立つのか不安になりました。しかし、それでも続けていったから、自信につなげることができたんだと思います」と、語る橋本。難しいと思っても、そこで諦めるのではなく、立ち向かっていったからこそ、現在の橋本の姿がある。

問題点を改善した際に、喜びと驚きが入り混じる橋本をよそに、上司や現地の担当者は冷静に状況を見つめていたという。それを見て、困難を乗り越えていくことで、生産技術者としての自信が身につくことを学んだ。自ら主体となって、設備開発を行うためにも、橋本は信じた道を歩き続けていく。
「世界中にクライアントを持つ住友電装のワイヤーハーネスを支えるため、生産設備の改善に日々努めていきます!」

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代はバスケットボール、サッカー、ソフトボールなど、幅広くスポーツを行ってきた。相手チームに負けないために、練習を積み重ねることで培った忍耐力。そして、勝利へのこだわりが、「プロジェクトを必ず成功させて見せる!」という気持ちで励む、現在の橋本の基盤となっている。
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