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流通・小売(百貨店)
最終更新日: 2008/10/01
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プロの仕事研究
お客様第一を貫く、売場作りのプロ。
事務系−販売促進
MD統括部 婦人第2部(次世代プレタ担当)/バイヤー
上戸 誠 (40歳) Makoto Kamito
入社17年目 / 明治大学 経営学部 経営学科 出身

プロフィール
2ヶ月間の新人研修の後、婦人用品の売場担当に。2001年『IFIビジネス・スクール』にて研修を受け、翌年から商品企画部、管理部教育担当を歴任。2004年に商品本部(当時)に配属され、ライフスタイルマーケティングプロジェクトを担当。2005年6月より現職。一貫してお客様に喜ばれる品揃えを追求している。

プロローグ
「自分はまだまだ“本物”じゃないな…」。三越に入社して8年。婦人服の担当として、現場で接客・販売の経験を積んできた上戸だったが、ある時芽生えたそんな想いは、日に日に大きくなっていった。

もともと流通に興味があり、学生時代から接客のアルバイトなどを通して、その楽しさややりがいを感じていた。そして幼い頃から大好きだった、百貨店に足を踏み入れた時の不思議な気分の高揚感。上戸にとって、この仕事はまさに天職だった。事実、仕事は楽しく、同僚や上司にも恵まれ、数ある百貨店の中から三越を選んで本当に良かったと思っていた。しかし、がむしゃらだった新人時代を経て、ある程度経験を積み、お客様とのやりとりの中にも余裕のようなものが生まれてくると、“自分に足りないモノ”が見えるようになってきた。「今まではお客様の要望にきちんとお応えしてきたつもりでいたが、本当にそうだろうか…」 「縫製や細かいデザインにまでこだわるお客様も少なくない中で、自分は同じ目線に立った接客ができてきただろうか…」。

「“真に喜ばれるサービス”を追求したい」と強く感じていた上戸に、入社9年目、必然のように“チャンス”は巡ってきた。

「お客様に本当に喜んで頂けるサービスを提供するために」。 1
業界団体が運営する、ファッション産業のビジネス・スクール『IFIビジネス・スクール』。その存在については上戸も知っていたし、同期の社員の中には既にそこで学んだ者もいて、話には聞いていた。――そこではファッション・ビジネスで求められる経験、総合的判断力、例えばモノ作りから小売に至るまでの知識全般などを“実学”によって身につけられる。そして社内で新たに、その『IFIビジネス・スクール』への入学希望者を募っていると知った上戸は、一も二もなく手を上げた。「販売員としてステップアップするには、そしてお客様に本当に喜んで頂けるサービスを提供できるようになるには、またとないチャンスだ」。上戸のそれまでの真摯な働きぶり、そして選考にあたっての情熱が認められたのか、多数の応募者の中から選抜された。2001年4月から1年間、一旦現場を離れてスクールへ入学し、研修を受けにいくこととなった。

学びと驚きの連続。「ファッション・ビジネスは奥が深い…」。 2
スクールに来ていた受講者の多くは上戸と同年代の、同業者。中には当然、普段は“競合”としてしのぎを削っている他社から来ている者もいた。しかし、通常であれば接する機会の少ない、そういった人たちとの出会いもまた、上戸にとって大きな財産となった。「三越さんの伝統と信頼感は、うちにはないものです」 「そうそう、一朝一夕にできるものじゃないですからね。正直、そこは悔しいところでもあるんですよ」。それまで三越一筋で働いてきた上戸は、ややもすれば「かたい」 「古くさい」とネガティブに捉えてしまうこともあった自社のことを、他社の人間はそういう目で見ていたということを知り、新鮮な驚きを感じたと同時に、誇らしくも思った。

講義も毎日が学びと驚きの連続。自分では把握しているつもりでいた一般的な商品知識に関しても、紡績の“糸”の段階から細かな工程別に学んでみると、知らないことだらけだったし、表層的なファッションの学習だけではなく、「ファッションは常に“過去”の影響を受けている」という観点からブランドの歴史なども学んだ。「こんなに奥が深いものだったんだ。店頭だけでは知りえない、身につかないことはたくさんある。本当に来てよかった…」。その後も紡績工場に住み込んでの学外研修や、当時急成長していたアパレルメーカーの中国工場の見学などを通じて多くを吸収。充実の1年間はあっという間に過ぎ去った。

『三越リテールアカデミー』開講! そして講師に指名され…。 3
研修を終えたのと同時に、営業本部の商品企画部に異動となった上戸は、新しい業務に励みながらも「自分が学んできたことを、広く三越社員に共有できる場はないものか」と考えていた。そんな中、お客様をおもてなしするための“顧客力” “商品力” “販売力”の一層の強化を図るための全社的な取り組みとして、全国のショップ担当者約1200名向けのセミナー、『三越リテール(小売り)アカデミー』が開講されることになり、その講師役の一人として上戸が指名された。「講師なんて柄じゃないけど、いい機会でもあるな」。1年近くの時が過ぎていたが、開講に向けて当時の記録や記憶をもとにテキストを作成。急ぎ足で準備を進めた。

――「本当の意味での“顧客視点”を持つにはどうすべきか」 「限られたお買場で、ターゲットのお客様へ、どの時期にどんな商品を、どのくらい展開すればいいか」……当初は慣れない講師役に戸惑っていた上戸だったが、受講者らの真剣な眼差しを受けて、その講義も日に日に熱を帯びていった。しかし、集まっているのは地域はもちろん、その規模や扱う商品も全て異なる販売員ばかり。「自分の伝えたいことは、本当に皆に伝わっているのだろうか…」。どこかで拭いきれない不安もあった。そこで上戸は、講義終了後、一人でも多くの受講者とコミュニケーションをとることを心がけ、一方通行ではなく、双方向の理解に努め、その都度プレゼンの内容も改訂していった。そして受講者一人ひとりに合った条件を設定し、細かなシミュレーションを繰り返した。

「早速、店頭で実践します!」。三越が抱えていた課題を払拭する結果。 4
「上戸さん、すごくためになりましたよ!」 「早速、店頭で実践してみます!」。受講者からのそんな声を聞くたびに、心底嬉しくなった。ノウハウの蓄積、お客様への充実した品揃えの提供という面からみても、上戸の功績は大きかった。

その後、初年度の全日程を終えると商品本部へと配属されたため、リテールアカデミー自体の詳しい評価・評判を耳にすることはなかったが、上戸たちが作ったカリキュラムが今もなお社員教育に使用されているという現実が、何よりの評価の証となっていた。

エピローグ
その後、自主売場『Mixury』(ミグジュアリー)も担当。こちらは2004年9月の開設以来、売上も好調で「今後もより多くのお客様に愛されるショップになるよう、こだわりのある商品開発に取り組みたい」と語る。

現在上戸はバイヤーとして、30〜40代の女性をターゲットとした品揃え・企画を行っている。「お客様のニーズや嗜好、トレンドなどを商品展開計画に反映させるんです。スクールで学んだこと、そしてセミナーで繰り返し行った仮説と検証は、間違いなく生きています」。

入社から10年以上経った今も、「足りないところはまだまだある」と、“本物”を目指した上戸の挑戦は継続中だ。
『Mixury』にて。「お客様と直接触れ合う時間は何よりも大切。毎日わずかな時間でも必ず店頭に立つようにしている」。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学時代のアルバイトでは接客の楽しさや売れる喜びを知った。商品管理や品出しを任されて、お客様に合わせてサービスや品揃えを変化させ、喜んで頂けたことは忘れられない。また、ビジネススクールで知り合った多くの方々とは、その後も情報交換をするなど、継続した付き合いがあり、感謝している。
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