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最終更新日: 2008/10/14
(マークの説明) 正社員 理文不問 3年増益 株式公開
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プロの仕事研究
北島康介と子どもたちとの交流イベントを影で支えた、アスリートマネジメントのプロ。
専門職系−マスコミ専門職
マネジメント本部 マネジメント2部/ディレクター
田中 由起 Yuki Tanaka
入社10年目 / 上智大学 外国語学部 イスパニア語学科 出身

プロフィール
大学卒業後、自動車メーカーに就職するも大学で学んだスペイン語を活かすため、大手新聞社のスペイン支局へアルバイト社員として転職。その後、Jリーグ事務局にて広報業務を担当するなど、プロサッカーの世界で活躍し、2001年にサニーサイドアップ入社。2003年からは水泳の北島康介選手のマネージャーに。

プロローグ
サニーサイドアップに転職するまで、田中は主にプロサッカーの世界でキャリアを磨いてきた。時にはJリーグ事務局の広報担当者として、また時には日本代表チームの通訳兼広報担当者として。衛星放送チャンネルでサッカー番組の調達を担当していたこともある。サニーサイドアップ転職後は新しく立ち上がったばかりのエンタテインメント事業部に配属となり、それまでの経験を活かしてサッカー関係の携帯コンテンツの制作や、中田英寿氏の番組制作に関わってきた。

転機が訪れたのは2003年。田中は2001年からマネジメント本部に所属しており、当時、大学生だった水泳の北島康介選手のマネジメント業務を手がけることになった。経験のない水泳競技。競技団体やスポンサーとの交渉に、当初は暗中模索の日々が続いた。そんなある時、北島選手の発案から子どもたちとの交流イベントプロジェクトが立ち上がる。名づけて『フロッグタウン ミーティング』。金メダリストのマネージャーとして田中が味わうことになる苦労、そして喜び―――。新しいプロジェクトが軌道に乗るまでの道のりを追う。

子どもたちの笑顔と、北島選手の笑顔。 1
小学校の体育館は、子どもたちの大歓声と拍手に包まれた。五輪男子競泳金メダリスト、北島康介選手が壇上に現れたからだ。全校生徒を前に、北島選手は夢を諦めないことの大切さを語り、さらにこの日のテーマでもある地球環境の大切さについて語った。子どもたちもそれを受け、水泳選手になりたいという夢や、地球の未来のために自分たちが取り組んでいることなどについて書いた作文を読み上げた。午後は北島選手が講師を務める水泳教室。まずはバタ足や平泳ぎのキックといった基本的な泳法の指導を行い、それが終わると北島選手とのリレー対決。興奮冷めやらぬ子どもたちを見て、北島選手も「元気をもらった」と喜びを隠さなかった。

北島選手のマネージャーを務める田中も、子どもたちの喜ぶ姿に顔をほころばせていた。何より子どもたちと一緒に喜びを分かち合う北島選手の笑顔が嬉しかった。北島選手が小学校を訪れ、“1日体育教師”を務める『フロッグタウン ミーティング』。試行錯誤の中から始めて、2008年で5年目を迎える。続けてきて良かったという想い、そして、これからも変わらず続けていきたいという想いが、田中の心を満たしていた。

北島選手の想いを共有することが出発点。 2
田中が北島選手のマネージャーとなったのは、北島選手がサニーサイドアップとマネジメント契約を交わした2003年夏のこと。当時、大学生だった北島選手は前年のアジア大会で世界新記録をマークし、一躍脚光を浴びる存在になっていた。大学卒業後はプロ選手としての活躍の場を模索していた北島選手にとって、サッカーの中田英寿氏のマネジメントで実績のある同社は自身の将来を託せる企業だった。田中が北島選手のマネージャーとなったのは、直後にバルセロナ世界選手権が控えていたからだ。田中は大学でスペイン語を専攻し、バルセロナに在住した経験もある。社長に呼ばれ、「北島選手のマネージャーになってほしい」と要請されたのは、自然な流れと言えた。

『フロッグタウン ミーティング』開催のきっかけは、北島選手の想いにあった。「小学生の時、憧れのオリンピック選手が自身の所属するスイミングクラブに来て一緒に泳いだことがあった。その経験が、オリンピック選手になりたいという夢に結実した。自分も子どもたちに対して夢を与える活動をしてみたい」。『フロッグタウン ミーティング』は、そうした北島選手の想いを、田中をはじめとするスタッフ全員が共有することから始まった。

スケジュールがバッティングしてしまった…。 3
しかし、当初は暗中模索。スポンサーとの交渉、企画のプランニング、スケジュールの調整など、初めて経験することばかりで、失敗も多かった。特に頭を悩ませたのが、スケジュールの調整だ。アスリートをマネジメントするにあたり、最も尊重しなければならないのが練習と試合のスケジュール。これらの日程は本人をはじめ、所属する競技団体と綿密に情報交換し、全てを漏らさず把握しておく必要がある。ところが第1回目の『フロッグタウン ミーティング』に際し、田中は致命的なミスをしてしまう。

まだ大学生だった北島選手は、アテネオリンピック直後の大学選手権出場にあたり、大会前に合同合宿に参加しなければならなかった。その日程を知らないまま、『フロッグタウン ミーティング』のスケジューリングをしてしまったのだ。結果、合同合宿の期日と重なり、北島選手は合宿不参加を余儀なくされた。田中はその事実に青ざめた。北島選手の所属するスイミングクラブや指導コーチとは連絡を密に交わし、万全を心がけていたつもりだった。しかし、大学側まで目が届いていなかった。田中は北島選手に詫びるほか、大学関係者、さらには日本水泳連盟に対してお詫びに回った。自分自身の失態を謝罪するほかなかった。

夢を持つことの大切さを実感する日々。 4
その時から、田中は変わった。アスリートをマネジメントする際には、選手を中心にさまざまな関係者の同意、納得を得なければならない。関係者とは競技団体、スポンサー、メディア、そしてファンのこと。選手が競技に専念し、なおかつ伸び伸びと活動していくには、これら関係者の全てに目を配る必要があるのだ。こうした生みの苦しみを経て、『フロッグタウン ミーティング』は少しずつ形を整え、2007年からは大手飲料メーカーと協働で行う社会貢献活動の一環として開催されるようになった。

その年の春に募集を開始し、夏の終わりに開催される『フロッグタウン ミーティング』。応募の数も飛躍的に増え、北京五輪開催前には約250もの学校から申込みが寄せられた。集まった応募の中から選考を重ね、毎年3校が決定される。2007年に訪れた小学校で北島選手は北京五輪での優勝を誓い、見事にその約束を果たした。「夢を持つことの大切さ」と、「夢を実現することの素晴らしさ」。そのことを、田中も毎年のように教えられている。

エピローグ
『フロッグタウン ミーティング』は2008年も開催され、その模様はテレビ、新聞などで大々的に報じられた。子どもたちの笑顔に触れ、夢を共有することができたと北島選手自身も大満足の様子だった。もちろん、その活動を影で支えた田中も想いは同じだ。

今後も変わることなくこれらの活動を継続していきたいと考える一方で、田中は自身の夢についても想いを募らせている。一つは、マネジメント業務を通じて培った無形のノウハウを若手に伝授していくこと。さらには、違う分野の人物のマネジメントを手がけることで、新たなビジネスの芽を会社にもたらしたいとも考えている。夢を「形」にすること。それもまた田中に与えられた使命なのだ。
「北島選手のマネージャーという立場を超え、1人のファンとして応援している」と田中は語る。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
スペイン語を専攻したことで語学力が身についた。またそれ以上に異なる歴史、異なる背景、異なる価値観を持った国々の言語を習得し、それを使って実際に会話するという経験は、さまざまな人たちとコミュニケーションを交わす必要がある現在の仕事に、ダイレクトに役に立っている。
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