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メーカー(鉄鋼・金属・非鉄金属) / 商社(専門商社(機械・電気・金属))
最終更新日: 2007/12/10
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30年前に夢見た未来が、今日の技術を支えている。
「夢を持っている人は絶対に挫折しない」と語る平田会長。時代を先読みする経営哲学によって、現在の事業基盤を築いてきた。
平田ネジ株式会社
代表取締役会長
平田 彰三郎   (70歳)
Shozaburo Hirata
【プロフィール】
徳島県出身。▼大阪にてネジの専門商社に入社。▼9年8ヶ月勤務した後、独立。1966年、ネジの専門商社平田ネジを創業。▼1976年、国内生産工場の立ち上げ計画に伴い、大阪府柏原市のメーカーを買収。ネジの専門メーカーとして、製造部門を設立。▼常に時代の先を読む経営戦略により、製品差別化の図りにくい業界において、独自の成長路線をたどる。▼現在、大阪府八尾市の工場に隣接した第二工場の建設を計画中。
INTERVIEW
住宅関連商社・メーカーにネジを提供し続け、40年の歴史を誇る平田ネジ。M&A(企業の合併・買収)を手がけ、専門商社からメーカーへと転換し、現在の地位を確立してきた。常に時代の先を読み、20年先の日本経済を想定した事業戦略をとってきた平田会長に、今後の戦略、人材に求める考え方を伺った。
Question まずは、業界における御社の位置づけに関して、お話しください。
Answer 当社は、私が今から約40年前に設立した会社です。最初は、ネジの商社として様々なメーカーの商品を取り扱い、小売店や卸売店と取引をしていました。少しずつ在庫を増やしていき、全国に取引先ができていったのです。やがて、設立から10年が経過したころ、商社にとどまらずメーカーとして製品開発から製造・販売までを手がけようと、社内に製造部門を立ち上げました。ネジには、ボルトとナットが一組となったものと、小ネジといってみなさんがよく目にするような頭にプラスやマイナスの溝がある一般的なタイプがあります。当社は、小ネジのメーカーとして製造部門をスタートさせました。現在でも、ボルト・ナットよりもはるかに多くの小ネジを製造・販売しています。さらに、現在はドリルタイプのネジの需要が高く、国内の生産工場ではドリルタイプの生産量が年々増えてきています。

ネジそのものの国内生産量というのは、伸び悩んでいることをご存知でしょうか? 中国や東南アジアといった、比較的少ない投資で製造工場を持つことができる海外に、生産工場がシフトしています。当社も、メーカー機能を持つまでは、中国製の商品も取り扱っていました。主要なメーカーの生産工場が、どんどん海外に移転していくという時代でしたが、私はあえて国内に生産工場を作りました。それが現在、稼働中の八尾工場(大阪府八尾市)の前身でした。ここで製造するドリルネジは、需要の高まりもあって当社の大きな収益源になっています。用途は主に建築関係ですが、タップ(ネジ穴を切る工程)が必要なく、鉄板に直接ネジを打ち込めるメリットが海外では支持され、自動車製造現場でも使われています。ステンレス、アルミといった素材を用いたものも数多く製造していますよ。
Question 主要なメーカーが海外に工場を立ち上げる中、なぜ国内にこだわったのですか?
Answer 一言で言うと、20年、30年先を見越した経営を考えていたということ。つまり、現在の日本の経済状況を想定して、20年前に国内工場を立ち上げたのでした。実際、私たちは取引先である卸売店や建材メーカー・商社のお客様に、ジャストインタイムでの製品供給を可能にしています。ただし、20年前に国内に工場を立ち上げると言った私を笑う人も多くいました。「きっと将来、再び日本でモノ作りをする時代が来る」。私がそう言うと、「何を言っているんだ。かっこつけても仕方がないぞ」と、鼻で笑われましたよ。確かに当時は、“日本のネジはもう売れない”と言われた時代。周囲の人間がそう言うのももっともでした。でも、私は常に誰よりも先を見越し、長期的な視点で会社を経営していくことに長けていました。商社からメーカーに方向転換したことも、そう。もし、当時の私が商社として会社を経営していくことを選択していたならば、競争に負け今の平田ネジはなかったはずです。“自分で作ったモノを売る時代が必ず来る”。そう思い続けたことで、現在の成功を手にすることができました。“思念は業を起こす”。私はこの言葉を信じ、今日まで本当にいろんな夢と目標を叶えてきたのです。
Question “思念は業を起こす”とは、一体どういうことですか?
Answer つまりは、自ら情報を発信すれば、周りからその答えが返ってくるということです。先ほども話題にした商社からメーカーへの転換期のころの話ですが、あるネジのメーカーがどこからともなく、私が生産工場を立ち上げようとしていることを聞きつけてきました。その会社の社長が直接、私のところに来て、自分の会社を買わないかと持ちかけてきたのです。今で言うところの『M&A』ですね。手ごろな土地と、技術者を探していた私たちは、進めていた工場建設の計画を白紙に戻し、その話を引き受けました。予定していたよりも安いコストで、工場も人材も手にすることができたのです。そして、機械や設備を一新して、製造部門はすぐに稼動しました。これも、私が自ら製造工場を国内で立ち上げる、という情報を発信し続けていたから実現したことだったのです。

それから数年後には、より広い土地で交通の便にも優れた現在の八尾工場を建設しました。この工場の建設に当たっても、次の時代を見越して、ちょっとした仕掛けを施したのです。それは、近い将来に工場の建物を流通センターとして別の使い方をすることを見越して設計したこと。業績の拡大に伴い、近隣の他府県に新たな工場用地を仕入れ、規模を拡大して生産工場を作ることを計画中です。そのときには、現在の八尾工場を流通センターにして、全国に商品を配送していく流通システムを構築できるのです。常に先を見越した経営。それが、成長を続ける平田ネジの秘密であり、私の経営哲学なのです。
Question なるほど。会長自身の目標を叶える秘密が、そこにあったわけですね?
Answer そうです。それともう一つ、ぜひお聞かせしたい面白いエピソードがあるんです。私の信条に、“よき友と師に巡り合う”というものがあります。これは言葉の通り、友達に恵まれ、師と呼べるすばらしい人材に出会うことを意味します。また昔話で申し訳ないのですが、今から約30年前、私には師と呼べる尊敬する人物がいました。その人とは、国内はもちろんのことアメリカ、ヨーロッパなどの海外にも仕事の視察を兼ねてよく旅行をしていました。ある旅先のホテルでのこと、その人が突然、特撮ヒーローが主役である子供向け番組を見だしたんです。「どうしてこんな旅先で、そんな番組を見るんですか?」と私は言いましたよ。すると「何言ってんだ。こういうのが良いんじゃないか」と言い返してくる。変わった人だなあ、と思っていると急に「おい平田、これを見ろ!」と画面を指差して言うんです。それは、特撮ヒーローが腕からビームを出しているカットでした。「これからの時代はこれだ! お前の会社でもこれをやれ」。もちろんそのときは、何を言っているのか全然わかりませんでした。

ところが、それから時は流れて10年。ある日突然その人に私は呼び出されました。急いですぐに来いと言うので、指定された場所に行くと、そこは様々なビジネスや最先端技術・機器を紹介する見本市でした。そこに、なんとあったんですよ。10年前に旅先のホテルで見たヒーローのビームが。それは“20世紀最大の発明”と言われるレーザー技術でした。ご存知のようにレーザーは今や医療にも、産業にも、私たちの身近なあらゆるところに使われる技術に進歩しています。ですが、当時はそんなことを誰も予想すらしていなかったような時代。「平田、お前にやれと言ったのにやらないから、先を越されたぞ」。その人は、そう言うのでした。その人は、93歳で他界されましたが、この出来事以来、私はレーザーを使った技術開発、あるいはビジネスをやりたくてやりたくて仕方がないようになった。そしてついに、旅先でテレビを見て30年。レーザーを見本市で見てから20年後の2005年8月。私はネジ製造にレーザー技術を取り入れました。レーザーを使ってネジの金型を形成する加工機です。プロフェッショナルと呼べる技術者を招きいれ、コストをかけて設備を導入したのです。こうして私の夢が、また一つ叶いました。夢を追い続け、あきらめなかったから実現したのです。現在、水越工場では、2台のレーザー加工機が稼動し、精度の高い製品を生み出しています。
Question では、今後の御社の経営の方向性についてお聞かせください。
Answer 次の課題は、技術革新です。日本が高度経済成長期を経て、経済大国にまで成長した理由は、技術革新があったからに他なりません。ネジの世界でも、より精密で高度な技術による製造が求められています。技術の進歩なくして、メーカーは存在し得ないのです。そのための投資、人材の育成には、お金も手間も惜しみませんよ。どんどん技術者を迎え入れ、若い人材も育てて、業界にとって全く新しい画期的な製品を開発していきたい。よりレベルの高いモノ作りを目指して、前に進んでいく。それが、平田ネジが向かう方向です。
ありがとうございました。最後に学生に対するメッセージをお願いします。
学生のみなさんだけでなく、今の若い世代の方に言えることですが、知識ばかりを身につけることに疑問を感じてください。学校で知識を学ぶだけでなく、人にはいくつもの教育が必要。知育はもちろん必要ですが、同じように体育や食育といったものも不可欠。今の若い方は好きなときに、好きなものだけを食べているように、私には思えます。しっかりと食べることから、全てが始まることを知っていただきたいですね。

そして、最後にもう一つ大切なことが、徳育です。若い人を採用するとき、面接をさせていただくのですが、面接のマニュアル本というのですか、あれをほとんどの方が読んでこられる。中には、暗記してくる方もいらっしゃる。これでは、その人の個性、考え方といった内面を見ることはできません。ありのままの自分を見せることが必要ではないでしょうか。本当の勉強というのは、知識だけが先行する詰め込みの教育ではありません。知育・体育・食育・徳育の全てをバランスよく経験した方は、きっと大きな仕事をやり遂げることができます。それと、若いみなさんには、ぜひ夢を持って仕事に取り組んでいただきたい。私は夢を持ち続け、そして多くの人との出会いと支えによって全ての夢を叶えてきました。それに夢を持った人は絶対に挫折しません。夢を持つことを忘れないでください。
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