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一枚の名刺から、映画製作まで――― コミュニケーションをデザインする。
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美しい友禅和紙で名刺を作ることも可能。社長自ら足を運んで、材料を仕入れることもしばしば。
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有限会社Happiness
代表取締役社長
千葉 章孝
(43歳)
Fumitaka Chiba
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東海大学 海洋学部 水産学科卒。『真鯛の養殖・放流』について研究し、魚の生態について学んでいた。卒業論文執筆のために、東京の研究所近くへ引越し、大規模な実験に取り組む。また、バンド活動にも力を入れており、多様な経験を積むことができた。▼卒業後は大手OA機器メーカーに入社。営業担当として、1ヶ月間で名刺4000枚を交換したこともある。その後、建築会社、文房具メーカーを経て、2002年2月に(有)フリーウィルを設立。名刺を中心とした“コミュニケーションツール”を企画・提案・販売するビジネスを立ち上げた。2005年より(有)Happinessに社名変更。現在も意欲的に新事業に取り組んでいる。
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デザイン性の高い名刺を企画し、スピーディーな納品で信頼を獲得しているHappiness。ナイトワーク系飲食店で使用される名刺・広告制作を主軸とするニッチなビジネスモデルは、どのように生まれ成功していったのか―――その軌跡を、同社代表取締役社長 千葉氏に伺った。
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偶然受け取った名刺が、チャンスに気づくヒントだった。
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どのようなきかっけで、デザイン名刺にビジネスチャンスを見出したのでしょうか?
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飲み仲間と一緒に「会社を起こそう」と話をしていたことがきっかけで、起業することになりました。そのパートナーが社長として出資してくれることになり、「一般企業向けに名刺印刷やコピーサービスを提供する仕事を始めよう」と誘ってくれたんです。「名刺を作ろう」と思ったのは、在庫を抱えずにすむから。そして、前職で印刷物の商品知識があったため、印刷物の利益率の高さを熟知していたからです。しかし、当時の月商は8万7000円……何件も飛び込み営業をしましたが、一向に売れない。さらに名刺がなくならなければ、発注は来ません。一般企業は一度注文すると、次の注文までに時間がかかっていたんです。
「なぜ売れない? もう少し頑張ろう」と励ましあいながら、またいつものように何気なくクラブに飲みに行きました。そのときに、店内で偶然にも名刺をもらったんです。「この名刺、いくらするの?」と尋ねると、「100枚で5000円」という返事が返ってきて驚きました。「高い! これなら2000円でできるのに!」―――そこから、現在の主軸事業である“デザイン名刺”ビジネスが始まりました。当初は「本当に成功するのか?」と不安になったこともありましたが、売上をたてなければと思う使命感に駆られて、社長に提案しました。「ぜひやりましょう」と。
早速、市場調査を開始し、あらゆるスナック・クラブ・飲食店の名刺を集め、値段を調べました。女性に人気の高いデザインと価格のバランスを考慮し、『働き始めたときの時給額=2000〜2500円』で販売することにしました。さらに「売るためにはカタログが必要だ」と思い立ち、2週間でカタログ・サンプルを作成。これを契機に、売上が月ごとに倍増していきました。3ヶ月で60万円売るのもやっとだった会社が、あっというまに1ヶ月で100万、150万と増え、次の3ヶ月で300万円の売上を立てて、ついには2000〜3000万円を達成するまでに成長しました。ちょうど1999年の創業から3年目のことでした。その後、組織編成を経て有限会社フリーウィルが立ち上げ、現在に至るというわけです。
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一生懸命取り組むこと。そして、コミュニケーションを取ること。
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会社を経営するにあたって、今もなお大切にしていることはありますか?
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『仕事も遊びも、一生懸命』。これに尽きます。どちらが欠けてもダメですし、中途半端が一番身にならない。一生懸命仕事をして得た給与で、一生懸命遊ぶ。そのメリハリが大切だと思っています。そして、『勉強しつづけること』。これも大切です。興味を持った出来事を分析するためにも、様々な本を読み、勉強をすることが必要。そうしなければ、相手と話を合わせることができないですからね。
私個人のことを振り返っても、大学に行って必死にバイトや学業に打ち込み、恋をして趣味の釣りもして……あらゆる経験をしてきました。そのいずれかが欠けても、学生時代は語れません。社会人になってからも同じなんです。「今日は納品配達を集中して2時間で終えたので、仕事は終わり!」 「昨日は早く帰宅したから、ちょっとがんばって遅くまで仕事をしよう」。そういう社風が生まれたのも、メリハリのある生活を自分自身が求めてきたからでしょう。毎日ダラダラ仕事をするとかえって疲れてしまいます。
また相手とコミュニケーションを深めることも、ビジネスでは必要不可欠です。コミュニケーションをひとことで説明したら、何だと思いますか? もし目の前に小学生がいて、分かりやすく説明するとしたら、どんな言葉で教えてあげるか想像してみてください。私は結局、コミュニケーションは“会話”だと思っています。本を読んで新しく学んだことや、得た情報を自分なりに咀嚼し伝える手段が、会話には必要です。手紙、電話、声をかけるなど、方法は様々ですが会話を続けることから仕事が生まれることもあるのです。
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ニーズに対して「こちらはいかがでしょうか?」と提案できるか?
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他社と比べたときに、貴社ならではのオリジナリティはどこにあると思いますか?
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競合他社と比べ、大きく異なっているのはたった一つ。営業担当がいるか、いないかです。営業担当とは、「提案ができるかどうか」ということ。名刺の入った紙袋を提げて、Tシャツを着たアルバイトが「名刺です」と配達するよりも、ネクタイを締めた社員が「名刺のほかに、このような商品はいかがでしょう?」と提案してくれるほうがリピート率も上がるはずです。多くの競合他社が、ファックスか電話だけで受発注を行なっています。そんななか、私たちはあくまで“訪問”にこだわりたい。ただ名刺を届けるだけでなく「他に必要なものはないですか?」と必ず一声かけて手渡すようにしています。名刺を販売するのは本当に大変な労力が要ります。特に新規顧客開拓は、相手の理解を得るまでが非常に大変。だからこそ、提案力が求められるのです。「こういうデザインの名刺、ないかな?」という要望に対し、より具体的に「5000枚で●万円です」 「両面印刷で●万円です」と即答できますし、逆に「こんな名刺はどうですか?」とサンプルを作って提案できる。だから注文が来るわけです。
幅広い商品ラインナップと、相談しやすい雰囲気にするコミュニケーション力のおかげでしょうね。「これと同じものを作って欲しい」と言われた要望に、「逆に、今使っていないので違うものにしませんか?」と提案できるところから、会話が生まれ、仕事が生まれるのだと思います。「いらない」と断られたら理由を聞いて理解し、別の提案をすることも可能ですよね。かゆいところに手が届くような一歩先んじた提案が、私たちのオリジナリティが最も発揮されている部分だと思います。
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今後は新たな事業拡大にも力を入れていく予定でしょうか?
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はい。様々な分野へ進出していこうと考えています。すでに飲食店・レストランのショップカード制作を狙って、新たな販路拡大に向けた動きをとっています。ナイトワーク系店舗だけでなく、多くの業界における需要を見込んでいます。大手企業との取引も増えてきていますし、ヘアサロン、歯科医院などにもニーズがありますからね。FC(フランチャイズ)の店舗では現場の店長が決済権を持っているため、手ごろな金額であれば気軽に名刺やショップカードを依頼してくれるはず。さらに今までは名刺を使う“個人”への営業も多かったのですが、対象が“店舗全体”になりますので営業スタイルも徐々に変わっていくでしょう。勤務体系も夜から昼間の時間帯が中心になっていきます。
また、パラリンピックに出場したバレーボール選手の活躍を描いた映画製作にもバックアップ、チャレンジしていきます。Happiness設立時に込めた「みんなが幸せになれるような会社を作りたい」という想いを忘れず、社会に貢献できる企業をつくっていきたいですね。自分たちだけではなく、社員みんなで社会に対してできることがあるのではないか。そんな気持ちで、新しいビジネスを生み出していこうと思っています。
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ありがとうございました。最後に学生に対するメッセージをお願いします。
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『働く』とは、『はたが、らくになる』―――つまり、周囲の人々を幸せにする意味が込められています。周りを幸せにできる仕事ができ、感謝の心を持っている方に来ていただきたいと思っています。一芸に秀でているのであれば、それでも良いんです。一番を取った経験のある方は、二番、三番の気持ちもよく分かる。そういう人材が入社後に活躍してくれれば、社内外ともに大きな影響力を発揮してくれるはず。期待しています。
何か疑問に思ったら、そのまま終わらせず立ち向かうこと。今まで私もいろんな壁に当たりましたが、自分が納得すればどんなに遠回りでも進んでいってほしい。もちろん失敗することもありますが、それも財産になるのです。たどり着くゴールが同じなら、短くする方を考えながら突き進むこと。そんなアクティブな学生を、お待ちしています。
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