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サービス(医療・福祉) / サービス(官公庁・公社・公共団体)
最終更新日: 2007/10/01
(マークの説明) 正社員 老舗
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“誰かのために”を実現するには、まず“自分のために”仕事をして欲しい。
「神戸福生会では福祉系はもちろんそれ以外を専攻する方も求めています。介護業界に興味のある方は、話を聞きに来てください」。
社会福祉法人神戸福生会
理事長
中辻 直行   (58歳)
Naoyuki Nakatsuji
【プロフィール】
幼少期から、自宅が養老院を開いていた。襖を開ければ隣の部屋にはご老人がおり、そのような環境で子ども時代を過ごす。親に後を継ぐように言われるも大学時代は他の道を志し、卒業後は大手百貨店に就職。しかし10年余りが経過した時、自宅で1冊の本に出会う。日本が抱える福祉の危機を知り「何とかしなければ」という使命感が湧き上がる。そして再び福祉の道へ。「福生会」から法人分離し「神戸福生会」を設立。福祉施設の居住性を高めるため全国に先駆けて部屋にベランダを取り付けるなど新しい取り組みを行う。現在も厚生労働省が描く新しい介護のカタチに挑むなど「社会福祉法人」の使命である“公益”を全うする取り組みを実施している。
INTERVIEW
介護労働者全体の人材定着率が”79.8%”である中、 “95%”の定着率を誇っている「神戸福生会」。その秘密は介護職員の意欲を高める評価制度や給与体系にある。その背景を同所の理事長だけでなく、全国特定施設連絡協議会代表理事、日本経団連社会福祉懇談会理事など数々の役職にも就く中辻理事長に伺った。
Question 半世紀にわたり福祉に携わっておられますが、設立のきっかけは何だったのですか。
Answer 福生会の設立年は、1951年。僕が1歳の頃でした。ちょうどその年、社会福祉について規定している法律「社会福祉事業法(現法名:社会福祉法)」が制定され、障害者や老人などを対象とした各種福祉施設を運営する「社会福祉法人」が生まれました。父親は法律が施行されたことを知るなり、東京の厚生省(現:厚生労働省)に出向いて「社会福祉法人」の認可を受けたのです。当時はまだ戦争の爪あとが人々の生活に残る頃。帰る家は戦火で焼かれ、頼りの息子は戦死してしまった。そんなご老人が多くいました。父は認可を受ける前に、自宅を開放し身寄りのないご老人との共同生活を始めたのです。

父がなぜ養老院(1963年老人福祉法の制定により老人ホームと改称)を始めることにしたのか。それは戦争体験からきています。中国で終戦を迎えた父は戦後の混乱により祖国に帰れずにいたのです。それは同胞たちも同じでした。「生きて帰ることがあれば、親を頼む」。皆、思いを馳せるのは家族について。父はその後、日本に帰ってくることができたのですが、ずっと同胞たちの言葉が忘れられずにいたのです。

このような背景があり、私財を投げ打ち福祉の道へ進んだのでした。ですから僕の物心がついた頃には既に自宅には40〜50人くらいのご老人が住んでいました。戦前は地主でしたので2000坪くらいの土地があったのです。といっても戦争中にほとんどの私財を失っていましたので、ギリギリの生活。皆がやっと食べることのできる生活を送っていましたね。襖を開けると隣の部屋には何人ものご老人がいて、親に叱られ泣いていると「ぼん、泣きなや」と頭を撫でてもらったものです。
Question それでは生まれてからずっと、福祉の道を歩んでこられたのですね。
Answer それがね、違うんですよ。養老院の運営だけではとてもじゃないけど暮らしていけない。そういうわけで他の収入源も必要だと、親からは医師になるよう勧められたのです。僕は医師になることにあまり魅力を感じていなかったので、結局大学を卒業した後は、百貨店に勤めることにしました。頭を使って人々の購買意欲を高め、収益を上げていくのです。面白かったですね。数年後には独立して会社を興そうなんて考えていましたよ。

そんな僕がなぜまた、福祉の道に戻ったのか。きっかけは1冊の本に出会ったことにあります。ある日、自宅で父の書棚を見ていると気になる本があったのです。そこには日本が迎える超高齢社会の状況が統計的に記されていました。衝撃的でしたね。体が震えるようでした。「団塊の世代が一気に高齢者となった時、何の対策も立てていなければ日本は崩壊するだろう」。読み進めるたび、危機感は募っていきました。そして気がついたのです。こんなに心が打たれるのは、やはり育ってきた環境が影響しているからだと。「あと10年経てば社会も福祉の重要性に気づくはず」。僕は、福祉の道に戻ることを決意しました。「時代が追いついてきた時、業界内で確固たる地位を築いていよう」。そうして父が経営する「福生会」から法人分離し「神戸福生会」を設立したのです。
Question 設立以来、サービスを多角化し、施設数を増やしてこられましたがその方針とは?
Answer 事業拡大に向けた「方針」は実はないんですよ。なぜかと言うと、私たちは公益を目的とした法人(社会福祉法人)だからです。“公益”とは社会一般の利益のこと。つまり民間企業のように利益の追求や事業拡大を目標にはしていないのです。私たちの使命は人々の生活をより良いものにすること。これまでに、施設福祉や在宅福祉、地域包括センターの運営などサービスを多角化してきたのも、施設数を増やしてきたのも、利益を確保するためではなく、利用者の満足を向上させるため。満を持して新しいことに挑んできました。しかし、非営利団体だからといって甘えることは許されません。うちには200名以上の介護スタッフがいます。経営者の責任として人件費など最低限の収益を確保することを忘れてはいません。

最近では、介護業界にビジネスチャンスが眠っていると考えて新規参入してくる企業が増えています。「介護をビジネスにするなんて」と言う人もいるようですが、僕は悪いことだとは思っていません。民間企業には民間企業の良い部分があると考えているからです。よく言われているのが、「民間企業の方が効率的な経営ができている」ということ。必ずしもそうとは言い切れませんが、非営利団体にない良い部分があるのなら、ぜひ真似てみるべきだと僕は思います。要は、新規参入企業が入ってくれば、既存の企業・団体と切磋琢磨できるということ。個人的には「非営利団体だらこそ効率的な経営をすべき」と考え、事業展開してきました。新規参入が相次ぐことで良くないサービスが生まれているようですが、学生や転職する人が真剣に良い企業を選ぶことで、悪い企業が自然と淘汰され、人材不足に陥り経営が成り立たなくなる。そして良いサービスをする企業のみが生き残る。僕はそう確信しています。
Question では、具体的にどのような事業に取り組んできたのですか。
Answer 介護業界のサービスは法の改正などにより変化し続けてきました。誰もやっていないことに取り組む際はどこも及び腰。しかし新しいサービスにも果敢に挑戦していくのが、「社会福祉法人」である私たちの役割だと考えています。1981年に特別養護老人ホーム「永栄園」を開設した時には、それまで病院のようなイメージを持たれていた老人ホームを“生活の場”に変えました。具体的にどこを変えたのかと言うと、部屋にベランダを取り付けたのです。全国に先駆けた取り組みだったと思いますよ。利用者さんからは、部屋が明るくなったと好評でした。

また、2001年には介護型ケアハウスと特別養護老人ホームを組み合わせた大型施設をつくったのです。ケアハウスにおいては、部屋の中にトイレとキッチンを設置することでより居住性が高くなりました。そして、2008年春、さらに居住性を高めたケアハウスが誕生。寝室とリビングが分けられた1LDKの部屋を提供します。これらの取り組みは全て利用者の満足を考え抜いた結果生まれたサービス。この姿勢は今後も変わることはありません。
Question 介護に取り組む職員に求めることとは?
Answer 介護業界を志望する学生に多いのが、「おじいちゃん・おばあちゃんのために働きたい」という人。この思いはとても大事だと思います。しかし同じくらい大事なのは、介護の仕事を通して「自己実現を図りたい」という気持ちではないでしょうか。また、働くことの根底にあるのは、「生活の安定」。僕は「生活の安定」と「自己実現」、この二軸がしっかりしているか否かで長く勤められるかが決まると考えています。

「生活の安定」とは法人から支給される給与ですよね。これは経営者である僕が責任を持って提供していきたいと思います。しかし「自己実現」をするためには本人の意欲が不可欠。そこで当法人では、意欲を高められる評価制度を確立しています。一方的に評価軸を押し付けるのでは意欲が高まるはずもありません。そこで神戸福生会では評価項目に現場職員の意見を織り込んでいます。その項目をもとに自分自身を振り返り、評価。その後上司とすり合わせを行います。このようにして「自分自身が納得できる評価」を確立し、職員の意欲や仕事を通じた自己実現につなげているわけです。もちろん、仕事に対するやりがいや意欲は介護サービスの充実につながります。つまり結果的に“おじいちゃん・おばあちゃんのため”も実現できるわけです。
ありがとうございました。最後に学生に対するメッセージをお願いします。
僕は福祉系の学生はもとより、それ以外の学生にも私たちを知ってもらいたいと思っています。採用段階では、別段資格も求めません。専門知識を養うのも、資格を取るのも、入所してからでも遅くはありませんからね。大事なのは、仕事に対する考え方。介護を通して自分がどうなっていきたいのか。“誰かのために”と思うのであれば、その思いを通じて自分がどう成長していきたいのか。それを考えていただきたい。これは面接の際にも必ず聞いていることですね。

現在は就職難と言われた時代が終わり、ある意味就職バブルの状態です。学生の皆さんにはそんな状況を冷静に見つめてもらいたいと思います。自分を見失わないようにしていただきたいのです。就職活動は自分自身を知ることから始まります。自己認識をしっかりとして本当に自分に合った仕事を見つけて欲しいですね。あらゆることを知った上で慎重に就職先を選んでください。先輩に聞くことも大切。現場に足を運ぶことも大切です。神戸福生会は事前に連絡をくれればいつでも施設見学を受け付けています。もちろんセミナーも開催します。介護を通じて自己実現したいと考える方には最適な職場だと自負していますので、ぜひ話を聞きにきてください。共に仕事ができることを楽しみにしています。
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