 |
|
「Do One’s Best」――あなたは誰のため、何のために働くのか?
|
 |
 |
 |
|
「うぬぼれちゃいけない。学ぶ姿勢が大切だ」。数々の経験を積んできた野口氏の、一つひとつの言葉に重みを感じた。
|
|
|
 |
|
 |
カインズグループ
代表取締役
野口 正一
(49歳)
Shoichi Noguchi
|
|
 |
 |
 |
|
▼司法書士関連の専門学校を卒業後、縁あって人材派遣会社に入社。人材業界に足を踏み入れる。その後、トラックの運転手、別の人材派遣会社勤務を経て、1989年6月にカインズグループの前身となる「コスモ研機」を設立。さらに1996年には「アーデントスタッフ」を設立し、2003年には「カインズサービス」 「カインズスタッフ」を設立。東京、神奈川、千葉エリアに特化したサービスを実現し、規模拡大を目指す。▼2000年国際規格ISO9000シリーズを取得。「お客様第一主義」の実現に尽力している。▼今の夢は、5年、10年先の会社の将来を語れる仲間をどれだけ増やせるか。部下ではなく、“仲間”にこだわりたいと願う。
|
|
|
|
 |
|
「Do One’s Best」(全力を尽くす)を社是としながら、エリアに特化した人材派遣業を展開しているカインズグループ。大手同士の統合や合併が相次ぐ中、独立系の人材会社としてお客様の信頼を獲得し、成長を続けている。そこで、代表取締役、野口氏に同グループの独自性、そして今後の展望について伺った。
|
 |
会社設立までには色々なご苦労があったようですが、創業の経緯からお聞かせください。
|
 |
 |
実は初めから人材業界に興味があったわけではないんです。縁あって、社会人1年目に入社したのが大手人材派遣会社だった。今から4半世紀も前の話ですね(笑)。それが、この業界に関わることになったきっかけです。そこには5年ほど在籍していまして、人事業務管理を担当していました。当時は「季節労働者」と呼ばれる北海道や東北から出稼ぎに来ていた方たちを、工場に連れて行って、身の回りの世話から工程管理までをサポートしていました。
ですが、急な人事異動に納得がいかず、退職したんです。その後は4年ほどトラックの運転手をしました。自分でトラックを買って、4年ほど請負でやっていたのですが、「Xトンの荷物をXキロ先まで運んでX円」という給与の算出方法で、どんどん単価が安くなっていったんです。そのときは結婚して子どももいたんで、「男30歳…一体自分に何ができるんだろう」と悩んだときに「やっぱり人材業界しかない」と思ってね。ちょうどバブル期の頃だったので、どこの企業でも人材が必要な時代でしたから。早速また別の人材派遣会社に入社したんですが、入社3ヶ月で突然「東京営業所の所長をやれ」と言われて(苦笑)。やっぱり急な人事異動には納得がいきませんから、断って退職しました。「困ったな」と思っていたところ、知り合いに「会社をやろう」と声をかけられたんです。それが1989年の5月。翌月には、貯金をはたいて調達した資本金200万円、社員2名の有限会社を設立しました。中古のスチール机を3台買って、ワンルームマンションを借りてね。8月の売上高は1万6000円でしたよ。設立して5年が経ち、社員も20名弱に増えて、やっと企業として形になった気がしました。弱電系、電気系の工場に労働者を派遣していたのですが、事務派遣もスタートさせようと事務職専門の「アーデントスタッフ」を設立したんです。
|
 |
 |
業界を取り巻く環境が大きく変化する中で、御社はどのように成長してきたのですか?
|
 |
 |
最近では、景気の回復や、団塊世代の退職を受けて、企業は正社員の雇用を増やしています。人材の確保が厳しい市場の中で、成長を維持しているのは、業種ではなくエリアに特化して事業展開をしていること。そして、派遣スタッフと密にコミュニケーションを取り続け、スタッフケアを大切にしてきたこと。その2点が、挙げられます。
東京は日本人口の1割が集まる巨大都市。その隣の神奈川県には、川崎という100万都市がある。そのまた隣には360万人の横浜。そして千葉、埼玉もあります。つまり、人がいるというのは人材の宝庫なんです。これを有効利用しない手はありません。さらに、企業の業種も色々ありますから、マッチングさせるためには非常にいい場所です。どういう能力を持っている人が必要なのかを見極め、できる限り多くのスタッフを集める。それから派遣先の企業も多く集めて、双方にとってベストなマッチングを提供できるのが、私たちの特色です。業種にこだわらず、エリアにこだわり続けるのが、私たちのやり方。「新潟に工場ができるから、スタッフの派遣をお願いします」と言われても、断りますね。「首都圏だけで派遣させてください」って。
|
 |
とにかくスタッフに会う、それが設立以来のスタイル。
|
 |
 |
 |
もう一つのスタッフケアとはどういったものですか?
|
 |
 |
「営業はとにかくスタッフと会え」と言っています。“Face to Face”のやり取りが大切なんですよ。業界内ではタイムカードの打刻や契約更新、給与明細支給時にしか会わないなんて話も聞いたことがありますが、弊社ではうるさいくらいに現場に顔を出します。その方が、タイムリーにスタッフの話や悩みを聞けるでしょ。現場で働いているスタッフは、「こんなに頑張っているのに」と不満を抱えている人もいます。その不満が爆発したときに、「実は…」と悩みを聞くのではなく、その都度、その都度聞き出すことにより、スタッフも定着していきます。
これは会社設立時から続けていることでもあります。立ち上げ当初は、社員は私を含め数名しかいませんでした。その当時は、工場勤務で朝番、通常勤務、遅番、夜勤に出社するスタッフ全員の顔を見るために、どんな時間帯でもスタッフの出勤前には会いに行っていました。朝6時に工場に顔を出すこともありましたよ。このスタイルを今の中間管理職の社員が伝承していったのでしょう。今でも引き継がれています。社員全員、スタッフと積極的にコミュニケーションを取るのは当たり前だと思っていますからね。
|
 |
 |
 |
新卒社員には何を期待しますか?
|
 |
 |
「Do One’s Best」という社是があります。これは、とにかく全力を尽くして、ダメだったらだめ、という意味が含まれています。そこで重要なのが、「誰のため、何のために働くのか?」です。自分のため、家族のためは当たり前です。例えば、社長という私の立場では、会社のためだけでは不十分です。業界全体のことも考えて仕事をしていかなければなりません。新卒社員にも、誰のため、何のために働くのか、考えて欲しいですね。
また、人材業界で働くということは、人と人とのコミュニケーションが重要になってきます。スタッフとのコミュニケーションも大切ですが、クライアントに可愛がられることも大切。採用したスタッフが活躍している姿を見ると、営業としてもうれしいですし、クライアントも大満足です。しかし、スタッフにもさまざまな事情があり、途中退職してしまうケースもあります。クライアントは、「なんで辞めちゃうの?」って思いますよね。しかし、「カインズのキミは、よくやっているからね」で収まってしまうときもあるんです。やはり、特別な技術じゃなくて、誠意が必要です。上手く話そうとするのではなく、クライアントの話を聞く。そこから、クライアントが困っていることを聞き出し、何とかしようと思うのが我々の仕事です。
|
 |
 |
 |
それでは最後に、御社では入社後どのようなキャリアが描けますか?
|
 |
 |
1年目は、営業スタイルや労働に関する法律を覚えてもらいます。法律というと、固く考えてしまう人もいますが、どの会社に勤めても必要な知識ばかりです。その後は、自由に新しいことにチャレンジして欲しいですね。給料をもらっている以上は、キャリアは関係ありません。一人前として認めることを徹底しています。そういう姿勢で接するつもりですから、どんどん“改革”を推し進めてくれて構いませんよ。「こういうの、どうでしょうか?」と企画・立案していただいたら、「どうぞ、やってください!」と、応援します。もちろん、チャレンジしたことが全て成功につながるとは限りませんが、上司にアドバイスをお願いするのもいいですし、私に相談してもかまいません。毎日、社員一人ひとりの日報を見ていますから。
新しいチャレンジの一例として、「カインド福祉ネット」の立ち上げが挙げられます。「カインド福祉ネット」とは、2006年9月に、グループ内で設立された特例子会社です。この裏には、ハンディキャップを持っている人たちに働く場所を提供したいという想いがあるんです。さらに、拠点を増やしていきたいと思っています。そのためには中堅人材を育てて、細かなフォローアップを実現できるようにし、いずれは黒字経営に持っていこうと考えています。
|
|
ありがとうございました。最後に学生に対するメッセージをお願いします。
|
|
最近では、大卒でも1年以内の退職者が増えています。私は退職した方全員が、選択を間違ったわけではないと思います。だけど、すぐに辞めようとは思わずに、色々経験したほうがいいですよ。うぬぼれずに将来を考えて欲しいですね。私は将来、人材派遣会社の社長になるなんて、思ってもみませんでしたよ。また、フットワークよく行動できる方、体で仕事を覚えようと思っている方に来て欲しいです。いい意味でこの会社を変えていく、改革していくという新しい感性を持っている人を歓迎しています。
|
|
|