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数値化することのできない“感覚”を提案する。そこには、無限の可能性があります。
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「自分が目指すものを追いかけてほしい。クラフトも、これからさまざまな新規事業も立ち上げていきたいと考えています」。
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株式会社クラフト
代表取締役
加藤 光男
(58歳)
Mitsuo Kato
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1950年生まれ。学校を卒業後、自動車ディーラーで営業をしていたが、「本当に自分が提案したいものを提案できる仕事がしたい」と考え、1973年に転職。趣味でダートトライアルやラリーにも参加するなど、自らの興味を追求し続けてきた。国内での大きなレースの際に、大手タイヤメーカーのサポートとして、タイヤのフィッティングを一手に担ったという経験ももつ。1992年に(株)クラフト代表取締役就任。現在、株式上場と新規ビジネスの創出を目標に、日々挑戦を続けている。
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独自の事業戦略で、業界内でも一風変わった存在感をもつタイヤ・ホイール専門店『クラフト』。そのビジネスの特殊性はどこから生まれ、どういった戦略のもとで展開されているのか、そこで求められる能力やタイヤ・ホイールの魅力など、クラフトの独自性を形成するさまざまな要素について、縦横無尽に語っていただいた。
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90馬力のクルマで、170馬力のクルマに勝つことも可能。
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単刀直入に伺いますが、自動車におけるタイヤ・ホイールとは何なのでしょう?
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「最も簡単に替えることができて、最も走行感覚が変化するパーツ」ですね。極端なことを言えば、素人であっても、タイヤ・ホイールを付け替えることはできます。それだけに、本来タイヤやホイールに秘められた可能性を活かしきれていない部分もあるのではないか、と。そもそもタイヤやホイールの種類というのは、世界中のブランドだけでも3000種類。それに加えてオリジナルで開発されているものまでありますから、バリエーションとしては数え切れないほどのタイヤ・ホイールが存在します。私たちは、そうした世界中のタイヤ・ホイールを熟知して、そのドライバーの志向や好み、求める機能に合わせて最適なパーツを提案しているのです。
タイヤやホイール、サスペンションというのは、知れば知るほど本当に面白いもので、奥深いものです。たとえば、私は20代の頃にラリーやダートトライアルといったモータースポーツに参加していたことがあるのですが、90馬力のクルマで170馬力までチューンアップされたクルマに勝ったこともあります。それはタイヤが路面コンディションにマッチしていたからこそできたことなのですよ。実際世界最高峰のカーレースなどでは、22台のマシンのために毎回千本以上のタイヤを装備した上でコースの状態や天候、ドライバーの好みやレース戦略に合わせて選択していきます。タイヤやホイール、サスペンションというのは自動車のパーツの中でも最も重要なものなのです。
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多様なバリエーションがある中で、御社の強みはどういったところにあるのでしょう?
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いち早く、海外からパーツを輸入して、いわば布教活動のように、タイヤ・ホイールの重要性を世の中に伝えているところでしょうか(笑)。やはり自動車の走行性というものは、人によってさまざまですし、どんなに言葉を尽くしても伝わりにくいものです。大切なのは、来店されたお客さまの話を聞きながら最適な商品を選択して、提案するということ。一般的に、タイヤ・ホイールを購入しようと来店される方の多くが、「安いやつをください!」と。あとは、個人的な好みの問題になってしまいますよね? そこからが私たちの仕事の始まりなのです。
どんなデザインが好きなのか、ドライブで重視するのは何なのか、快適さ、静音、雨の日の安全性、交換の頻度……、さまざまな角度から話を聞いた上で、「これはいかがですか?」と提案する。そして、実際に着け替えると「これは凄い!こんなに違うなんて知らなかった!」と(笑)。ただ、すべてのお客さまに満足していただくことはできないとは思っています。量販店の商品で満足するお客さまを否定するつもりはありませんが、私たちのターゲットになるのは、“違いの判る人たち”なのです。ですから、100名のお客さまがいたとして、ターゲットになるのは10〜30名というところですね。
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仕事の秘訣は、お客さまの車を自分の愛車だと思うこと。
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では、大規模に展開するチェーン店などとは、事業戦略としても異なる訳ですね?
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そうですね。新店に関してもそのほとんどが、自動車用品の大手量販チェーンの近辺を狙って出店しています。どんなに多くの種類を揃えていても、どんなに安価で販売をしていても、そういった“違いの判る人たち”が本当に求めているのは、自分が相談できる場所ですから、私たちはそういった存在になりたいと考えています。極論すれば、私たちは商品で差別化しようとは思っていません。規模や価格で勝とうとも思っていません。いろいろな個性が集まって、一人ひとりのお客さまが求めているものを探っていくことが大切です。お客さまの感覚というのは数値化できるものではありませんからね。そのためには、お客さまの車をお客さまのものだと思わないこと。つまり、すべてが自分の愛車だと思って接することで、本当の意味での理想の車を作っていくことができるのです。自分たちにとってもその方が楽しいですよね。
社員の中には、インターネット上でいろいろな情報を公開したり、相談に乗ったりしている人もいます。常に「自分だったらどうするか?」という視点でアドバイスをしていて、なかなか好評のようですよ。クラフトの売上には全く繋がるわけではないので、商売上決して嬉しいことではありませんが(笑)応援をしていきたいと思っています。
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世界中のパーツを対象にしていると、知識や経験も重要なのではないでしょうか?
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確かに、基本的なタイヤ・ホイールの知識は大切ですが、最初のうちは誰にでも聞けばいいんです。社内には、あらゆる分野のスペシャリストがいますからね。イタリアのメーカーならこの人、データ重視ならこの人、あの車種ならこの人というように、タイヤやホイールの知識よりも、困った時には誰に聞けばいいかを知っている方が、強いかもしれない。今いる社員だって、すべてを熟知している訳ではありません。私も含めて、いつまで経っても“一人前”になることはありません。常にこだわりを追求し続けていくからこそ、社員も会社も成長していくのだと思っています。
あとは、何よりもお客さまのことを想う気持ちですね。クラフトで配布している冊子などでも、私を含めて全社員の顔と名前を公開しています。これが、私たちのお客さまへのスタンス。顔を出している以上、逃げも隠れもしませんよ、と(笑)。そういったスタンスで仕事をしていると、来店した車のタイヤとホイールを見ただけで、ドライバーの性格が解るようになるんですよ。そこまでになったら、大したものです。
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ありがとうございました。最後に学生に対するメッセージをお願いします。
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何でも良いので、自分が好きなものを追求してほしい。最近の若い方と話をしていると、あまり“志”が見えないと感じることが多いんです。面接をしていて、「なぜクラフトに入社したいの?」と聞いても答えられない。やはり仕事をしていく以上は、自分が目指すものをもって、それを追いかけてほしい。クラフトも、今はタイヤ・ホイールの専門店ですが、これからはさまざまな新規事業も立ち上げていきたいと考えています。タイヤ・ホイールを扱っているのも、もともと私が自動車が好きで、この分野で仕事をしていきたいと考えたことから始まっています。好きなことを追求すれば、それは必ず実現します。クラフトというフィールドを使って、自分のやりたいことを突き詰めていきたいという意欲を持った方をお待ちしています。
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