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邪魔しない、否定しない、やりたかったらやれ。遊びながら。
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「こんな不真面目なことばっか言ってていいのかな…。でもそれを良しと思ってくれる人がいいんだよね」。
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株式会社ケイビーエムジェイ
代表取締役社長
木村 武弘
(32歳)
Takehiro Kimura
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福井県生まれ。幼少の頃からコンピュータに慣れ親しみ、ハードやソフトをいじくって遊ぶ毎日を過ごす。SFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)環境情報学部出身。マーケティングを専攻していたが、本人曰く「専攻は、ウインドサーフィン」というほど、毎日のように海へ。「ウインドサーフィンをもっと普及させたい」と今も燃える。だが、あえて何をするわけでもなく現在に至る。2000年7月、株式会社ケイビーエムジェイをSFCの仲間(現取締役)と共同設立。2001年9月に大学を卒業。2002年11月、同社代表取締役社長に就任。
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設立以来、“いい加減さ”を大切にしてきたというだけあって、一見するとちゃんと考えていないように見られることも多いという木村社長。しかしそれは、“遊び心”や“いい加減さ”のなかにこそ、新しいモノを生み出すキッカケがあると信じているから。「わかる人にはわかる」という社長に、思う存分語っていただいた。
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エンジニアには、本人にしか理解できない“美的感覚”がある。
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社長が持っている“エンジニア像”について、聞かせてください。
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エンジニアとは、一種の芸術家ですよね。他人が何と言おうが気にしない。評価されようがされまいが、そんなの関係ない。誰かに理解されたいからではなく、自分がこうしたいからこうする。コンピュータの分野でも何でも、エンジニアにはそういうアーティスティックな面が必要だと思うんですよね。
あとは“こだわり”ですよね。よくいるじゃないですか、たとえばモノづくりの職人でも「ここの、このカタチはゆずれない」みたいな。明らかに機能的には必要ないのに、そういう“こだわり”を主張する。他人が見れば別にいいじゃんってところで、トコトンこだわる。そういう職人気質なところがコンピュータの世界でも大事。「このソースの、この美しさは俺にしか出せない」みたいなね。あるんですよエンジニアには、本人にしか理解できない“美的感覚”というものが。
私が小学生の頃のパソコンにもよくありましたもん。「このソフト、いったい何の役に立つんだろう」というものが。でもまあ、そういう“遊び”の部分こそそれを作ったエンジニアのこだわりでしょうし、そういうのが使う側には工夫の余地があって結構面白いものになってたりするんですよね。当時のパソコンは本当におもちゃ感覚でしたけど、いろいろ好き勝手にいじくって遊んでました。
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「とりあえず、やってみようか」みたいなノリで、会社をはじめた。
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“遊び”をとても大切にされていますが、もともと社長はそういうタイプなのですか?
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ん〜、自分ではよくわからないけど、たぶんそうだと思いますよ。たとえば、どうして会社を創ったのかと聞かれても、「明確な目標があり、広く社会に貢献できるような会社を創りました」というと嘘になりますし、単純に金儲けをしようと思っていたわけでもありません。本当に“たまたま”なんです。「とりあえず、やってみようか」みたいなノリで仲間とはじめました。最初にやったことは、『株★魔人』という株情報を扱うサイトだったのですが、とりあえず金があるから仲間と何かやってみようといった感じです。金融系のゼミをとっていたやつがいて、だったら「株で」みたいなノリでしたね。ビジネスというよりは、本当に“遊び”の延長です。子どもがボールを蹴って遊ぶような、「何かわからないけど楽しいからやる」みたいな。
そういう風に会社自体を遊び感覚でやっていたから、普通に就職することも考えていましたね。でも、結局は内定を辞退してそのまま会社を続けるんですけどね。人事の方から「明日、内定式だけど来る?」―― 「たぶん行きません」みたいなことがあったと思います。本当にいい加減ですよね(笑)。「なんとかなるだろう」と。とはいえ、真剣に受けたところは内定を全部もらっていました。ただ、あるテレビ局の面接で「あんたやる気あんの?」と言われて「ありません」と答えたところは、さすがに落ちましたけどね…。
とまあ、いろいろあってちゃんと“会社”という形になり、数名の仲間とともにこのケイビーエムジェイははじまったわけです。仲間は仲間で、これもまたいい加減でしたね。せっかく入社した会社を3ヶ月で辞めて、うちにきたりね。まあこれは、今の技術部門を統括している取締役のことなんですけどね(笑)。
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今でも、そんな“いい加減さ”や“遊び”の精神は、社内に残っていると思いますか?
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どうでしょう。このくらいの規模になると、やっぱり薄まってきた感はありますよね。最初の頃は、皆、「コンピュータはおもちゃだ」みたいな感じで遊んでた人が多かった。本当に遊んでばっかでしたからね。今でこそ出回っている音楽の再生ソフトなんかも当時誰かが自作して、勝手に楽しむみたいな。軌道に乗りはじめたのは、システム開発の仕事をちゃんとやりはじめた頃からですね。何かを作ってまともにお金が入ってくるようになった。まあ、軌道に乗ったというよりは、“仕事をちゃんと見つけた”という方が正しいんでしょうけど。それに伴って、だんだん社員も増えていきました。
しかしこの時代、エンジニアが“遊ぶ”のは難しくなっていると思うんです。生活していて不便さを感じないから、何とか工夫してやろうという精神も生まれない。ちょっと昔なら、カセットがCDに、ビデオがDVDになっただけでも、そこに“感動”があったじゃないですか。だけど、今は便利すぎる。技術的に工夫しつくされて、人間の認識が追いつかないような“見えないところですごい”という技術革新しかできなくなってきている。最新の電子ジャーと言われても、普通に使っていたら何がよくなったかわかりませんから。「前のでも、おいしさ変わらないじゃん!」みたいなね。
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エンジニアにとっては、“面白くない時代”になっていると…。
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ええ。そう言えば、知り合いの教授はこうも言っていましたね。「俺たちが若い頃は、アメリカに行くのも不便だったんだから」。それくらい昔は簡単にできないことが多かった。それが今は、いろんなことが問題解決されすぎて、不便さを感じなくなっている。人々の感動が得られない。だから、エンジニアに返ってくる“達成感”も少なくなる。試行錯誤してさらに上を目指すような土壌は薄れてきていると思います。これは当社だけでなく、世の中全体が抱えている問題だと思います。
とはいえ、私は“遊び心”を持ったエンジニアと一緒に何かを創りたいと思っています。当社のエンジニアには、“遊び心”を忘れてほしくないんです。社内で今やっている『アイデアの種コンテスト』もそういう考えから取り入れているものです。でも、“新規事業発掘プロジェクト”みたいな堅苦しいものではなく、あくまでも“自由に”というのがコンセプトです。「邪魔しない、否定しない、やりたかったらやれ」。これが私の主義です。なかには、「くだらねえなぁ」と思うものもあるんですよ(笑)。でも、やらせてみることが大事なんです。皆、くだらないことを業務時間内だろうが、勝手にやってますよね。
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ありがとうございました。最後に学生に対するメッセージをお願いします。
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エンジニアには“いい加減さ”がある程度はないと、面白くない。特に、この“ネット”の世界というのはいい加減なもんです。今でこそサービスがしっかりしているものでも、昔は何と言うか、いい意味での“いい加減さ”があった。エンジニアたちが純粋に面白いと思ったから、それをやっているみたいな。金儲けしようなんて気はどこにも感じられない。でも、そういう“遊び”のなかから、世界のスタンダードとなる仕組みや技術は生まれていったわけです。
創業間もない頃は、仲間が集まって「こんな面白いもんがある! これを使って、こういうことやって遊ぼう!」みたいなやつばかりだった。たとえば、パソコンを買ったらまず分解して、中身を確認する。そして自分が安心したら、元の状態に組み立てて使っていく。本当にコンピュータはおもちゃとしか考えていないやつばっかり。たとえるなら、それしか仕事がないからタクシーのドライバーをやっているんじゃなくて、車が好きだからタクシーの運転手をやっている。コンピュータが好きだから、ネットが面白いから、だからこの仕事で“遊んでる”。今ももちろん、そういうやつはたくさんいるけど、もっとその数を増やしていきたい。そういう“いい加減”なやつと、もっともっと面白いことをやっていけたらなって思います。
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