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商社(専門商社(アパレル・ファッション)) / 流通・小売(専門店(ファッション))
最終更新日: 2007/12/06
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プロの仕事研究
お客様をご満足させる提案力で自社のファンを増やすファッションアドバイザーのプロ。
営業・販売系−販売スタッフ・サービス
日本橋三越店
清水 千瑛 (24歳) Chiaki Shimizu
入社3年目 / 女子美術大学 芸術学部 ファッション造形学科 出身

プロフィール
大学ではファッション造形学科に通い、主に染色や織について学んだ経歴を持つ。就職活動もアパレル業界を目指して展開。その中で、豊かな商品力に魅力を感じてエトロジャパンへ2006年に入社。現在、日本橋三越店のファッションアドバイザーとして勤務し、自社ブランドの店舗運営に幅広く携わっている。

プロローグ
エトロはイタリアを代表するブランドとして、世界中にその名を知られている。日本でもファンは多く、支持する年齢層も20歳代から60歳代までと実に幅広い。

学生時代からファッションに敏感だった清水千瑛も、同社の存在は気になっていた。就職活動の際、彼女が最初に注目したポイントは、『テキスタイル(布地)メーカー』としてのルーツを持つこと。大学では染色や織について学んでおり、エトロが醸し出す素材感やカラーコーディネートされた素晴らしいプリントと技術に関心を抱いた。“高級ブランド”という単純なイメージよりも、アパレルメーカーとしての変遷に興味が湧き、それが入社を希望する一つの動機となった。加えて、「人と接する仕事に携わりたい」との気持ちも強かった。つまり、エトロのファッションアドバイザーになることは、清水にとって理想的な就職と言えた。

2006年の春、社会人としての第一歩を刻んだ清水。「自分にも社名に負けない接客ができるのだろうか…」。不安もあった。しかし、立ち止まるわけにはいかない。新人研修で「エトロならではの接客スタイル」を積極的に吸収し、販売の最前線となる日本橋三越店での勤務を開始した。

ラグジュアリーブランドという意味を肌で知る 1
日本橋三越店は都内屈指の有名デパートである。その中でも、エトロを訪れるお客様となれば、商品だけでなく、上級のサービスを求めて来店される。新人研修で聞いた“ラグジュアリーブランド”という意味を、清水は肌で感じていた。

肝心のファッションアドバイザーとしての業務も、初めはギクシャクしてばかりだった。配属から1ヶ月が過ぎた頃、ショールの担当を任された。「これに合うショールはどれかしら」。お客様の問いに、スムーズな答えを出せずに戸惑った。「新人なのだから…」。そんな言い訳は一切通じない。プロの厳しさを早くも味わった。

清水は先輩たちの動きを見て、お客様と交わす会話に耳を傾け、時間を見つけてはそれをメモに取り、実践した。少しずつ、ファッションアドバイザーらしい仕事ぶりになってきた。それでも、満足できない自分がいた。「先輩に追いつき、追い越したい。私なりの接客を身に付けたい」。それは清水にとって大きな目標であり、一方で悩みの種でもあった。配属から約半年が過ぎ、自らを成長させようと奮闘する清水。そんな折、思いがけない打診を受けた。

新人にしていきなり任された、“店舗VMD担当”という大役 2
「VMD(ヴィジュアルマーチャンダイジング)担当を任せたい」。清水は「私で良いのだろうか…」と不安にかられた。VMDという役職は、イタリア本社とエトロジャパンにそれぞれいる。その名の通り、各シーズンで発表されたコレクションなどに合わせ、店舗で打ち出す商品やディスプレイなどを決める役割を担う。そして、VMDの指示によって店内の商品配置を変えるのが、清水に託された店舗VMD担当の役割。それまで日本橋三越店では店長が担当していたが、会社側は清水を育てる意味も込めて、この仕事を任せてくれた。

だが、当初はそれがプレッシャーだった。1〜2週間に一度、電子メールで写真付きの指示書が送られてくる。その中には打ち出す商品の写真やディスプレイの方法が詳細に記されていた。清水はそれに従い、店頭のマネキンを着せ替えていく。さらにジャケットやスカートは、素材感や色合いをマッチングさせてレイアウトする。これはエトロのイメージを理解した上で行うだけでなく、彼女自身のセンスも必要とされた。実はそこが、プレッシャーを感じる最も大きな要因。ディスプレイをレイアウトするための、自分なりのバリエーションがまだまだ乏しく、清水は自信が持てないでいた。

より良い店舗づくりのために… 3
店舗VMD担当となって1〜2ヶ月が過ぎた頃。清水は現実の厳しさを目の当たりにしていた。自らが店舗VMD担当になって以来、店舗の売上が思うように伸びていかないのだ。まもなく、入社2年目を迎える。ファッションアドバイザーとしてのスキルも着実に高まり、お客様がご満足される提案ができるようになったとの手応えもつかんでいた。しかし、何かが欠けていた。

改めて自分の仕事ぶりを振り返ってみる。お客様とコミュニケーションを図る時、たまに話がかみ合わず、お客様のニーズに100%応えられていないと思うケースがあった。日本橋三越店へ来店するお客様の年齢層は50歳代以上の方々が中心。他店と比較すれば年代は高く、洋服へのこだわりを持つお客様は多い。ならば、VMDが出す指示にプラスアルファをして、何か日本橋三越店ならではの特色をアピールすべきではないだろうか。

試行錯誤を繰り返すと、次第に答えが見えてきた。清水は自分なりに考えた改善点を先輩の店舗スタッフにも話し、アドバイスをもらった。「より良いお店づくりがしたい」。それは誰もが抱く共通のテーマ。だからこそ、参考になる意見が耳に響いた。大切にすべき目標は、エトロのファンをさらに増やすことだった。

心から「ありがとう」と言って頂けるファンがいる 4
単に商品の良さを伝え、それに合わせたコーディネートを提案する――そのプロセスを、清水は改善した。お客様の好み、さらには現状のライフスタイル、どんな場所や場面でその服を着るのかを詳細に聞き出すようにしたのだ。それも、直接的ではない。自然な話の流れから細かなニーズを聞き出し、それにマッチした商品をお客様の眼前に並べていった。

店舗VMD担当を務めたことで各商品を瞬時にコーディネートする力が養われ、清水はより多くの商品を紹介できるようになっていた。加えて、お客様がきれいに洋服を着るためのポイントもアドバイスできるようになった。またVMDに対しても、情報としてお客様のニーズなどを考慮した上での意見を伝えた。清水は、日本橋三越店に合わせたディスプレイとは何かを追求したかった。

変化はすぐに表れてきた。それは売上数字だけではない。清水を信頼して来店する常連客の数が確実に増えたのだ。一度の接客で費やす時間は平均で30分。長い時は1時間以上にも及ぶ。しかし、その時間が清水とお客様の信頼を高め、最後はこんな言葉でお客様が帰っていく。「ありがとう、良い買い物ができました」。その言葉を聞く度に、清水は心から喜びを感じていた。

エピローグ
入社して2度目の夏を迎えると、清水には“ウエア担当”という新たな役割が与えられた。ジャケットやスカートといったエトロの看板商品のストック数やその台帳を管理する。この業務によって、サイズや色違いなど在庫を理解した上での提案が可能になった。また、在庫や売上の数値から見られる売れ筋の傾向やお客様の反応も把握できるようになり、その情報がファッションアドバイザーとしての清水の新たな武器になった。

しかし、よりスキルアップするほど、さらに上のステージへ飛躍したい自分がいる。常にお客様の先を行く提案で、もっとエトロのファンを増やしていきたい――店舗運営のスペシャリストになるべく、今日も努力を積み重ねている。
お客様のニーズを先取る形で提案し、そこから信頼の輪を広げる清水。今後もエトロの魅力を多くのお客様へと伝えていく。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学時代は大学祭や様々なイベントで、ファッションショーなどを企画から運営まで手がけた経験を持っている。これにより、「いかに相手の意思を汲み取るか」ということを考えたコミュニケーション能力を磨けた。また臨機応変に、かつ自発的に行動する力も身に付けられた。
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