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マスコミ(出版)
最終更新日: 2007/10/18
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プロの仕事研究
若者にフォーカスすることで、ベストセラービジネス書を生み出した書籍編集のプロ。
専門職系−クリエイティブ職
出版企画部
丑丸 博樹 (38歳) Hiroki Ushimaru
入社4年目 / 大東文化大学 法学部 政治学科 出身

プロフィール
建設会社で約5年間営業の仕事に従事したのち、「本を作る仕事に携わりたい!」と出版社に転職。自転車専門誌の編集部にて、編集、広告営業、記事の執筆などを担当する。その後、「じっくりと本を作りたい」という思いが強まり、書籍編集の道へ。出版文化社に入社し、現在は書籍編集者として活躍している。

プロローグ
「自分の手で価値ある書籍を制作し、世に送り出したい!」。
そんな強い思いを持って出版文化社に入社してきたのが、出版企画部の丑丸博樹だ。

大学を卒業してすぐ建設会社に就職した丑丸は、やがて本作りに憧れを持つようになった。その後、念願叶って小さな出版社に転職。雑誌編集者として活躍し、やがて「今度は雑誌ではなく書籍を手掛けてみたい」と出版文化社への入社を決意した。

こうして意気揚々と書籍の世界へと飛び込んできた丑丸だったが、入社後の彼を待っていたのは、想像以上に厳しい現実だった。「思うほど本が売れない」「ヒット作を生み出せない」。何冊本を作っても、いくら頑張って仕事に取り組んでも、どうしても自分で納得できるほどの結果が出せなかった。
「このままじゃマズイな。早く自分の代表作といえるようなヒット作を生み出さなくては…」。
着実に仕事をこなしながらも、どこかで焦りを感じ始めていた丑丸。そんな彼が、苦しみの末にやっと生み出した初のヒット作が若者をターゲットにしたビジネス書だったのである。

たった1本の電話が、著者との運命的な出会いにつながった。 1
その日、丑丸は“企画を持っていそうな人に電話をかける”という作戦で、新しい書籍の企画を掘り起こそうとしていた。コンサルタントや税理士などの人物を雑誌やネットで調べ、1件1件に電話をかけていく。だが、電話をかけたからといってすぐに企画は出てこない。まともな話に発展しないケースのほうが圧倒的に多いのだ。

それでもめげずに電話をかけ続けていたそのときのことだった。とある公認会計士の男性が、丑丸の「書籍にしたい企画はありませんか」という問いかけに、驚くほど気持ちよく応えてくれたのだ。
「ちょうど本にしたい企画があるんですよ!」。
男性は嬉しそうにそういうと、早速「人事関係の本を出したいと思っていた」ということ、「社員の教育用にまとめあげた文書が、既にある程度完成している」ということを、丁寧に説明してくれた。
「これは具体的な内容だぞ。行けそうだ!」。
話を聞いて、即座にそう直感した丑丸。これが、久野康成氏との出会いだった。

トントン拍子で出来上がっていく原稿。しかしデザインは…? 2
電話のあと、久野氏と直接対面した丑丸は、まず氏がまとめあげた資料を見て驚愕した。説得力のある理論、現在の社会情勢を的確に洞察した独自の見解。どれをとっても素晴らしく、「これはすぐ原稿になる、絶対に売れるぞ」とその場で確信できるほどの出来だったのだ。また久野氏自身の人柄も魅力的で、丑丸はそのカリスマ性や情熱にもほれ込んでしまった。こうしてスタートした丑丸と久野氏の書籍作り。お互いの意欲の高さや信頼もあり、制作はトントン拍子で進んでいった。

しかし、原稿がある程度形になってきたところで、丑丸は突如、”デザイン”という壁にぶつかることとなる。
「原稿の内容もいい、著者も魅力的だ。でもデザインは? これだけいい内容の本なのだから、手に取ってもらえるデザインを徹底的に考えなければ」。
丑丸は頭を抱え、以来毎日、会社を抜け出しては都内の本屋を巡るという生活を送るようになった。
「目につく本はどれだ?」「買いたくなるイラスト、手に取りたくなるデザインはどんなものなのだろう?」。そんなことを考えながら、店頭に並ぶ本を眺める日々。やがて丑丸は、新宿の大型書店で、パッと目に飛び込んでくるような、魅力的な本に遭遇した。

やっとの思いでイラストレーターを見つけたが、予想外のイラストが上がってきた! 3
丑丸が書店で見つけた本は、少々脱力系のシンプルなイラストが書かれたものだった。なんとも親しみやすく、およそビジネス書らしからぬデザイン。だが逆にそのやわらかさが斬新に感じられ、丑丸はその場ですぐさま本を購入した。

そして翌日。なんと丑丸は、購入した本のデザイナーとイラストレーターを調べ上げ、「久野氏の書籍を担当してほしい」といきなり依頼の電話をかけたのだ。幸いにもすぐ話がまとまり、打ち合わせをすることに。こうして、悩み続けていた表紙デザインに一筋の光明が見え始めてきたのである。

しかし、問題はここからだった。丑丸は「デザイナーやイラストレーターはその道のプロなのだから、仕事はお任せしたほうがいい。自分があれこれ口出しすべきではない」という強い信念のようなものを持っていた。だからこそ今回も、あまり具体的なイメージを伝えないようにしていたのだが、それが逆効果となり、イラストレーターから予想外のイラストが上がってきてしまったのだ。上がってきたのは、“ビルから暗い表情の若者が列をなして出て行く”という、ややネガティブなイラスト。明るく前向きなイメージにしたいと思っていた丑丸は、ここでまたしても、頭を抱えることになってしまった。

思い切って描き直しを決断。結果、丑丸初の大ヒットに! 4
「描き直しを依頼するか、それともこのまま行くか――」。
丑丸はイラストを見ながら悩み続けていた。もし書き直しを依頼したら10日以上の日数がかかってしまう。当然発売日は延びるし、著者にも迷惑をかけることになる。それに今のイラストだって、決して悪いというわけではない。ネガティブな印象がかえって目を引くこともある。いったいどこまでこだわればいいんだろうか…。

こう悩み続けていた丑丸の背中を押したのが、上司のひとことだった。意見を求めた丑丸に対し上司はあまりにもアッサリと「これじゃ売れない」と言い放ったのだ。その瞬間、迷いが晴れたような気がした丑丸は「よし、描き直してもらおう!」と決意。発売日を延ばしてまでポジティブなイメージの表紙に変更した。

その甲斐あって、久野氏初の著書は大反響。書店からの注文が殺到し、なんと発売前に増刷が決定するという異例の事態にまで発展した。日刊ゲンダイで日垣隆氏から高評価を得たり、アマゾンで一時、売上第2位を記録するなど、順調なセールスを記録した。
「ああ、やっぱり最初に感じた『売れる』という確信は、間違いのないものだったんだな――」。
夢にまで見たヒット作を生み出した丑丸は、NHKの『日本の、これから あなたの働き方』という番組にコメンテーターとして出演する久野氏を見ながら、静かに確かな自信を噛み締めていた。

エピローグ
「編集者にとって必要なのは、なによりも企画力。売れる企画を見極めたり、自分で企画を考えたりと、常に脳ミソに汗をかきながら仕事をしています」と語る丑丸。現在は今回のビジネス書の続編を制作するため、毎日調査や打ち合わせに奔走しているという。

「ビジネス書は人の人生に直結する書籍なので、そこが面白いですね。編集者は縁の下の力持ち。地味な仕事ですが、とてもやりがいのある仕事だと思っています」。ヒット作を世に送り出し、仕事へのやりがいと自信を感じるようになったという丑丸。今後も世間をあっと驚かすユニークな書籍を、次々と制作していくことを誓っている。
幅広い分野、ターゲット向けの書籍を手がけてきた丑丸。従来にはなかった企画でベストセラーを生み出すことが今の目標である。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学時代の後半は、政治学原論のゼミで、仲間とともに夢中になって研究に取り組んだ。このときの仲間は今でも連絡を取り合う貴重な友。信頼関係の大切さや、コミュニケーションの重要性などを実感した。現在も仕事をするときは、「いかにして信頼関係を築くか」「コミュニケーションを取るか」を意識している。
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