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マスコミ(出版)
最終更新日: 2007/10/18
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プロの仕事研究
企業と制作スタッフとの“絆”を生み出し、40周年の社史を完成させた編集のプロ。 
専門職系−クリエイティブ職
大阪ヘリテージサービス事業部 編集
吉國 弘之 (32歳) Hiroyuki Yoshikuni
入社5年目 / 立命館大学大学院 文学研究科 出身

プロフィール
学生時代には日本史を専攻し、主に近代史の研究に携わっていた。卒業後は、京都にある老舗茶道具店の社員を経て、2003年10月株式会社出版文化社に入社。以来、一貫して社史編集に携わる。大阪を起点に関西地方にある企業の社史編集を担当。現在は、大手企業の『70年史』を手がけている。

プロローグ
「歴史に関わる仕事に携わっていきたい」。
昔から日本史に強い興味を抱いており、企業の歴史や文化を学んでみるのは魅力的だと考え出版文化社に入社した吉國。一時は、博物館の職員を目指し、学芸員の資格を目指したこともあるほどの歴史好きである。そんな吉國は、入社後、社史編集のアシスタント業務に追われていた。
「写真の提出期限が本日中になっていますが、どのような状況でしょうか?」。
お客様に依頼していた素材が期日どおりに提供されないことがたびたびあった。また、お客様からの要望をライターやデザイナーに十分に伝えきることができず、「結局、何をしたらいいの?どう修正をしたら良いの?」と指摘を受けることもあった。編集業務を進めるにあたってのコミュニケーションに苦手意識を抱いていた吉國。右も左もわからない状況で、営業の先輩方のフォローを受けながら編集を学んでいく・・・。そんな吉國に大きな転機が訪れたのは入社2年半を迎えたとき。大手フォークリフト販売会社『40年史』の編集をイチから任されることになったのである。

40年の歴史を紐解く壮大なプロジェクトが、吉國のもとで立ちあがった。 1
「最初から編集を手がけるのは初めて・・・。自分がリードしていくしかない」。
アシスタントを通じてでしか編集業務に携わってこなかった吉國。初めてトータルに編集を任せてもらえるこの仕事は、大きなチャンスとなった。依頼があった会社は、フォークリフトを販売している会社。大手自動車メーカーのグループ会社で、40周年の節目に社史を編纂したいとのことだった。

「私たちの40年の歩みを社史にしてほしい」。
社長の社史に対する熱意を、感じとった吉國。「会社を設立したのは、どういった背景からですか?」「技術面に対する強みは何ですか?」。吉國は会社のことや今までの経緯について社長から詳しく聞き出していた。社史は、今までの企業活動を振り返る記録としてとどめておくものである。そして、今後の経営方針を立てていく際の指南書になるもの。企業の歴史を紐解く文化資産ともいえる書物だけに、あらゆる情報が必要であった。そのため、納期は最短でも半年以上という期間に及ぶ。また、編集の途中で社史の方向性がずれてしまわぬよう、明確なコンセプトが求められるのであった。それだけに社長をはじめ、企業の関係者からさまざまな要望を把握していった。

――会社の今までの歩みを記すとともに、次の世代の経営にもつながる社史を。
制作期間は1年と6ヶ月。40年の歴史を一冊の社史に落とし込む吉國にとって初のビッグプロジェクトは、幕を開けた。

40年近くにわたるフォークリフトの歴史を、次の世代にも伝えていけるような社史を。 2
――新型フォークリフト誕生。
――車両販売台数10万台を突破。
――海外進出をスタート。

担当の方と設立からの年表をつくり、企業の歴史とともにフォークリフトが進化していく様子を調べつくしていった。一つひとつの情報を整理しながら、重要な出来事に関しては特に詳細なヒアリングを重ねていった。創業時代の情報ともなれば、当時のことを知っている社員はほとんどいなかった。そのため、企業のOBの方々にまで取材を依頼することもあった。「このネタにふさわしい写真はありますか」、「座談会コーナーで技術に対する誇りを語るのはいかがでしょうか」。製造現場、営業現場、技術環境・・・すべての現場で情報を洗い出し一つひとつの素材を厳選していく。そして、お客様とともに社史に盛り込むべきコンテンツを企画していく。気がついたときには、数十名にも及ぶ社員の方たちに取材をしていた。プロジェクトが立ち上がってから2〜3ヶ月。「フォークリフトにも歴史がある。企業文化ともいえる技術を伝承させていける社史にしないと」。素材を集めながら、吉國はフォークリフトの奥深さを実感するのであった。

1ページ、1ページに40年の歴史を刻み込んでいく。 3
素材が集まった段階で、デザイナーやライターなど制作サイドとの進捗管理を進めていった。社史の見出し、写真、図表などの基本的なフォーマットはデザイナーに依頼。また、コンテンツ内容に対する取材を行ない、ライターと原稿の刷り合わせを行なっていった。

「お客様からの要望としては、こうなんですよ」。
吉國は、お客様の要望を制作サイドに的確に伝えることを意識していた。企業から収集したネタをそのまま制作サイドに流しても、ライターやデザイナーは何をして良いかわからない。今までのアシスタント業務で学んできたことを、吉國は一つひとつ思い出して実践していた。「フォークリフトの技術を存分に語るコーナーです」「こんなエピソードもあるんですよ」。数ヶ月にも及ぶ素材集めによって、社史のイメージをはっきり伝えることができた。企業と制作メンバーとの間に立ち、互いの連携を強化することに徹していた吉國。「原稿OKです。レイアウトもチェックしました」。1ページ、1ページのレイアウトや構成をお客様と確認していく。40年の歴史は、吉國のディレクションのもとで少しずつ完成されていった。

大手フォークリフト販売会社『40年史』、ついに完成。 4
「今までの社史編集で一番スムーズにいったかな」。
自らリードした社史編集は今までにない順調な仕上がりを見せていた。一つ吉國が心がけていたことは、一つひとつの情報に明確な根拠、意図を伝えることであった。お客様の協力を得るためのプレゼン、制作サイドに対してもお客様の要望を的確に伝えることを意識していた。
「編集は一人ではできない仕事だ。全員の連携が必要なんだな」。トータルに編集を任せてもらうことで、吉國は気づいた。編集で一番大切なことは、コミュニケーションであることを。企業と編集者、そして、ライターやデザイナー、社史編集に関わる全員が協力してこそ良い社史は完成されるのであり、そのチームワークを作り出すのが編集の仕事なのである。

「無事に式典に間に合うことができた。ありがとう」。
制作期間1年半、ついに『40年史』は完成された。自ら主導となって進めて取り組んだ初の社史編集は無事に関係者の手に渡った。吉國はエディターとして、確かな自信を得ていた。

エピローグ
現在、大手企業の『70年史』の社史編集を手がけている吉國。当時の経験はいまもなお活かされているという。企業の想いを知る。そして、その想いを制作サイドに伝えること。「企業の想いをカタチにするのは自分じゃないんです。具現化するのは、あくまで企業の担当者さんと外注協力者の方たち。だから、企業の想いをしっかり伝え、ライター、デザイナーの良いところを引き出さないと」と、吉國は言う。企業と吉國。吉國と制作サイドの“絆”。この連携が生まれてこそ、満足のいく社史編集ができる。苦手意識を感じていたコミュニケーションも、いつしか消えていた。
フォークリフトのミニカーを使った表紙を提案したり、高級感ある紙を提案したりしましたね。いろんなアイデアが活かせますよ。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
経営者や役員の方など、年輩の方たちと会う機会が多い社史編集の仕事。大学の頃、近代史のことを学んでいたこともあり、昔の話で盛り上がることもあるとか。日本史を学んできたことが、商談や取材の際、お互いの信頼関係の構築に役立っている。
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