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メーカー(精密機器) / メーカー(半導体・電子・電気部品) / メーカー(化学・ゴム)
最終更新日: 2007/10/01
取材のウラ側 コース別企業
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プロの仕事研究
初めての設計業務を通じ、モノづくりの流れを学んだ生産技術のプロ。
技術系−機械・機構設計
生産技術部 生産技術課
齋藤 義郎 (33歳) Yoshio Saito
入社10年目 / 岐阜大学大学院 工学研究科 機械システム工学専攻 出身

プロフィール
シリコンウェハー用研磨材の世界シェアNo.1を誇る同社に魅力を感じ、入社を決める。入社後は製品の試作業務を担当し、その後、設備設計へ。先輩や上司からアドバイスをもらいながら成長。設備設計の基礎を身につける。現在は生産技術部 生産技術課に所属し、現場のスペシャリストとして、第一線で活躍する。

プロローグ
携帯電話、パソコン、デジカメ、DVDプレーヤーなどに利用される半導体。その進化を支えるシリコンウェハー用研磨材の開発元として、世界シェア90%を誇るのがフジミインコーポレーテッドである。生産技術部でエンジニアとして腕を振るう齋藤義郎も、現場の第一線で活躍し、フジミを支える一人。特に工場の設備を稼動させるプログラム設計に関しては、彼の右に出るものはいないほど。「齋藤さん、この場合は…?」と、今日も彼のもとへ相談がくる。齋藤から解決のヒントをもらうと、後輩は安心して作業を再開するのであった。

キャリアを積み、一人前の生産技術として成長を果たした齋藤。現在は自分と同じような生産技術のスペシャリストを育てるため、業務を通じて後輩を指導している。「妥協してはダメ。より良いものを追求していく姿勢が生産技術には必要」と語る。齋藤はどのようにしてそれを学んだのか。齋藤のエンジニアとしての軌跡をたどる。

任された設備設計。プレッシャーが齋藤の肩にのしかかる。 1
―― 1999年冬。入社後、生産技術部で製品の試作業務を担当していた齋藤は、正式に工場の設備設計を担当することになった。初めてのミッションは、稲沢工場での設備の立ち上げ。もともと、別工場で生産をしていた研磨材の需要が急増。生産が間に合わず、稲沢工場でも同じ機能をもつ研磨材を生産することで、その需要に対応しようというのが、その背景だった。しかし、もともと生産をしていた工場と稲沢工場では環境が違うために、同じ製造方法をそのまま採用することができない。だから、別の方法を開発することが求められていたのだ。

初めて挑む本格的な設備設計。まずは、どのような設備で製造をするかフローを組み、図面を書く。その図面をもとに工事が行なわれ、設備が稼動し始めることになる。果たして自分にできるのか…。そんな不安がよぎるものの、もし齋藤が設備フローを組めなければその分工事が遅れてしまう。工事の遅れは製造開始の遅れにもつながり、果ては納品、市場への製品普及の遅れまでも引き起こすのだ。齋藤の肩に、プレッシャーが重くのしかかる。齋藤は過去の事例を徹底的に調べ上げ、工場の設備フローを構築していくのだった。

過去の事例を踏襲し、設備フローを完成させる。 2
工場の設備フローの完成は、生産現場における第一ステップ。設備フローが組めなければ、どんな設備が必要なのかがわからず、一向に設備が立ち上がらない。そのため、齋藤はいち早くフローを完成させなければならなかった。過去の事例を参考にしながら、求められる機能を果たす研磨材を量産できる設備フローを考えていく齋藤。研磨材は、原料を混ぜ合わせ、それをある程度一定の粒の大きさに粉砕、それを分級という作業で求めるべき大きさにそろえていく。そして、大きさのそろった粉を乾燥させれば製品ができ上がる。生産技術としては、製造時に使い勝手が良い、より効率的な設備フローをいかに組むかが腕の見せどころだ。

このときの齋藤には自分のアイデアを活かす余裕はほとんどなかった。現在であれば数時間もかからない仕事でも、知識の引き出しがないため1日がかりで過去の文献を調べ、設計に反映していく。しかし、その中でも彼は効率化を諦めなかった。他工場の事例からヒントを得た装置を新たに付加することで、分級をより短時間でできるようにしたのだ。過去の事例とアイデアを統合させ、齋藤はついに設備フローを完成させた。

動かない設備。原因の見当もつかない。 3
設備フローの資料がまとまると、工事を依頼し設備導入が始まる。しかし、齋藤は安心してはいられなかった。「齋藤さん、この配管はどうしますか?」 工事会社から問い合わせが入る。「それは…」。知識不足から言葉に詰まる齋藤。工事で問題が発生する度に、経験豊富な上司や先輩に確認をとり、なんとか回答をしていった。さらに、設備導入が終われば、次に待っているのは設備を制御するプログラムの設定。そのプログラムを組むのも、齋藤の仕事である。機械を導入しても、動かなければ一向に製品が生まれることはない。これまでプログラムを導入した経験のない齋藤は、とにかくがむしゃらになって調べ、プログラムを組んでいった。

「それでは、スイッチを入れますよ」。製造部の担当者が齋藤に言った。工事会社の社員と製造部の担当者、そして生産技術部の一員である齋藤の3者が見守る中、設備が稼動するときがやってきた。「上手くいってくれ」。祈る気持ちでその状況に臨んだ齋藤。が、しかし――。「あれ…。様子がおかしいですねぇ…」。スイッチを入れると、すぐにその異変に気づいた。本来なら稼動するはずの設備が全く動かなかったのである。原因を調べるものの、齋藤には全く見当がつかない。悩んでいるとその間にも業務に遅れが生じてしまう。悩んだ末に齋藤は、上司へ解決のヒントを求めた。

生産技術として必要なこと。 4
「まったくしょうがねぇヤツだなぁ」。状況に焦る齋藤とは対照的に、上司は寛容に受け止めてくれた。そして、原因を調べるとすぐに改善案を提示した。動作の不具合の原因は、プログラミングミスだった。気がつけなかったことに、自身の実力不足を感じる。それとともに、アドバイスをくれながら自分に成長の機会をつくってくれた上司の温かさも感じるのだった。そして、上司の助けもあり設備は無事に期間内に完成。その後は止まることなく、製品を生産し続けたのであった。

―― 現在では、製品の高純度化が進み、当時よりもさらに精度の高い設備が必要となっている。設備ができ上がらなければ、どんなに高いビジョンや高品質の材料があったとしても、製品を生み出すことはできない。常に高品質の製品を生み出していくために、これからも齋藤の挑戦は続いていく。

エピローグ
「私にとっては製造部がお客様ですね。実際に現場で製品をつくってくれるのは彼らですから。だから製造部の要望にはいつも応えていきたいと思っていますよ」と、目に力を込めながら語る齋藤。実際は細かい注文をされることもあるが、使い勝手が良い設備であればあるほど、現場の仕事が進みやすくなるのだという。

「フジミでは分業制ではなく、全ての製造工程に携われることにエンジニアとしての面白さを感じますよ。全ての工程を見ることは、つまりフジミの生産現場で使用する全ての設備に携われるということですからね。だからさまざまな現場で応用が利いています」。フジミの設備を知り尽くした男・齋藤。これからも生産現場を支えていく。
「現場ではいつ・何が起きるかわかりません。迅速に対応できるフットワークの軽さが、生産技術には求められます」

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
フジミインコーポレーテッドの設備には流体に関する技術を利用したものが多い。設備をいち早く理解するためにも、学生時代に学んだ流体理論に関する実験・研究が役立った。当時の知識の蓄えが、設計業務にも活かされた。
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