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最終更新日: 2007/11/26
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プロの仕事研究
ロケットの燃料タンク装置の設計を成功させ、航空宇宙技術の進化を支える設計のプロ。
技術系−機械・機構設計
航空宇宙技術部 強度解析グループ
志谷 徹 (32歳) Toru Shitani
入社11年目 / 日本文理大学 工学部 航空宇宙工学科 出身

プロフィール
幼い頃から飛行機や宇宙に対して憧れをもっていた。就職活動を通して、中央エンジニアリングに出会い、その事業分野に惹かれ入社を決意する。入社後は一貫して、H2Aロケットの装置設計に携わっている。現在は後輩の育成も担当。確かな技術力で、社内外から信頼を集めている。

プロローグ
―― 「Now we’re ready to launch. All systems are ready!……5・4・3・2・1 Lift off!」

多くの人が固唾を呑み、その瞬間を見守る。エンジンに点火され、轟音を発する機体。先端の技術力が結集され、人類の夢が詰め込まれた、全長50mの機体は、無事に発射成功した。ロケットの開発は、巨額の予算が投入され、千人単位の人達が関わるビッグプロジェクト。その開発者の中に、株式会社中央エンジニアリングの志谷徹も名を連ねている。入社2年目で携わった、H2Aロケットの装置開発設計。自ら手を挙げて、チャンスを掴んだ彼は困難にもめげずに、設計を完成させた。そして自らの設計した装置を搭載したロケットが大空に飛び立った時、彼は言葉では言い尽くせないほどの感動を覚えたのだった――。

幼い頃から抱き続けた、宇宙への思い。 1
幼い頃から、空・宇宙に夢を感じていた志谷。いつかは宇宙に関わりたいという思いをもち、大学でも航空工学を専攻した。そして就職活動を通して、株式会社中央エンジニアリングに出会う。同社は、航空宇宙機器の設計・開発・製造に強みをもち、技術力も高く、取引先からの信頼も厚いのだ。「宇宙関係の仕事をしたい。ここならその夢を叶えられるはずだ!」 志谷は、大きな志をもち入社を決意したのだった。

入社後は希望通り、航空宇宙技術部に配属された。そこで、H2Aロケットに使用される装置設計に携わることになった。学生時代の、航空工学の知識はあるものの、やはり仕事で扱うとなると話は違う。先輩から設計のOJTを受けながら先端技術に触れ、少しずつ実践的な技術力を身に付けていった。そして彼が2年目を迎える頃、チャンスが訪れる――。

「是非、私に!」 ―― 夢への第一歩を掴み取る。 2
「今度この様な設計があるんだけれど……」。取引先から、H2Aロケットの設計案件の話を聞いた志谷。「是非、私にやらせてください!」 彼は即座に答えた。1年間先輩の開発サポートをしながら、その設計の素晴らしさに感嘆する日々。そして、「いつかは自分も」と憧れをもっていた。そして彼はとうとう、チャンスを掴んだのだ。抱き続けてきた夢の実現に向けた第一歩。彼は大きな期待に胸を膨らませながら、設計に着手するのだった。

今回、彼が担当するのは、人工衛星打ち上げ用に使われているH2Aロケットの、燃料タンク内部に艤装(ぎそう)される装置の設計である。燃料タンクの底部に取り付けられる装置で、エンジンに燃料を送り込む時に起こる渦流を防止するもの。タンクから大量に燃料が供給される際に、渦が発生することがある。その後、液体の燃料は霧状にされ点火されるため、渦が発生することにより燃焼が不均一になってしまう。エンジンに与える影響も大きく、更には機体の飛行姿勢にも悪影響を及ぼしてしまうのだ。それを防ぐための装置を今回、志谷が設計することになった。

先端技術の結集、H2Aロケットの開発。―― その要求の高さは、想像を絶する。 3
まずは、構造の強度解析を行う。装置に燃料が接触する圧力を解析ソフトを使用し、計算していく。このプロジェクトへの参加が決まったその日から、専門書を読み漁る日々が続いていた。しかし今まで経験したことがないため、戸惑いを隠せない。手を止めては、専門書を読んだり、先輩に相談する毎日だった。積極的に調べたり、周りの人に協力を仰ぎ何とか解析を終了させた。

その後は、装置に使用する部品の選定をしていくことになる。装置にかかる重量は、数百キロにも及ぶ。それだけの力に耐えられる材料を選定する必要がある。更に、コストや重量の面も考慮していかなければならない。ロケットの重量は軽ければ軽いほど良いため、各部品の重量はグラム単位で決定されているのだ。また今回の装置は1.5メートルにも及び、ロケットの中でも比較的大きなもの。組み立てやすさなど、後々の工程を考えて設計をしていかなければならない。強度・コスト・重量など数多くのことが、厳しく要求される。慎重に材料を選定し、図面を完成させた。

辛さよりも、喜びが勝る。―― そして宇宙へ旅立つ瞬間。 4
「これじゃあダメだ……」。真っ赤に訂正が入れられた設計図と共に、クライアントからは厳しい言葉が返ってきた。自分の力のなさに愕然とする志谷。しかし時間は待ってくれない。クライアントから指摘を受けた全体のバランスを考慮しながら、再度設計をし直す。強度を高めるために材料を重ねたり、燃料の重さに耐えるための設計の工夫も行う。またアドバイスを求め、社内のみならず他社の技術者とも積極的にコンタクトを取っていった。何度もやり直しを行い、情報を集めるために奔走する日々。しかし彼は辛いとは感じなかった。憧れ続けた宇宙に携わる仕事ができるという喜びのほうが、勝っていたのだ。

―― そして約半年間に及ぶ設計は、完了した。設計だけではなく、強度計算から材料の選定まで一貫して担当した今回の案件。クライアントからの評価も高く、上司からも労いの言葉をもらった。初めての担当案件を無事に完了させて、ほっと一安心する志谷。

その後、装置は製造されH2Aロケットに組み込まれた。そして数年後、彼が携わったH2Aロケットが打ち上げられることとなったのだ。手に汗を握りながら、その瞬間を眺める志谷。スクリーンに映し出されるロケットの様子、そしてカウントダウンの声。高まる緊張を抑えながら、画面を見つめる。そして彼が設計に携わったロケットは宇宙へと、旅立っていったのだった――。

エピローグ
志谷は、航空宇宙技術部にて、H2Aロケットの装置の強度解析から設計まで幅広く携わっている。彼の技術力に信頼を寄せるクライアントも多く、案件が任される際に志谷が指名されることも少なくない。

更に、後輩の指導も任されている。設計の技術指導はもちろんのこと、ロケットの開発の責任の重さもしっかり伝えている。「本当に多くの人が開発に携わるロケット。一人のミスが、全体に及ぼす影響は大きいです。その責任を感じ、誇りをもって開発に取り組んで欲しい」と語った。「今の仕事が楽しくて仕方ない」と言う志谷。彼は宇宙技術の発展を担うべく、今日も開発に力を注ぐのだ。
「やる気さえあれば、仕事を任せてくれるのが魅力です。また積極的に関われば、成長するチャンスがたくさんあります」。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
小学校から高校まで、野球部に所属していた。一つのスポーツに集中して取り組むことで、忍耐力や集中力、そしてチームをまとめる力が身に付いた。設計の仕事は、一つのものをつくり上げるために粘り強さが求められる。部活で培った力が、現在仕事を進める上で大いに活かされている。
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