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サービス(医療・福祉)
最終更新日: 2008/06/12
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プロの仕事研究
お客様に“選ばれる”介護サービスを提供した、営業のプロ。
営業・販売系−営業(個人・新規開拓が中心)
本社 お客様相談室/チーフアドバイザー
小野 弘志 (28歳) Hiroshi Ono
入社5年目 / 追手門学院大学 経営学部 経営学科 出身

プロフィール
2004年4月入社。営業として入社したが、介護の知識を学ぶため、入浴オペレーター、老人ホーム・グループホームスタッフとして7月まで勤務。その後、営業本部に戻りエンドユーザーへのアドバイザー業務にあたる。2007年7月から東京勤務となり、『ロングライフ梶ヶ谷』の立ち上げに携わる。

プロローグ
「こんにちは、日本ロングライフです。資料請求をしていただきまして、ありがとうございました」。

日本ロングライフとお客様との最初の出会いは、電話で資料請求をしたお客様のもとへ資料を届けるときであることが多い。資料の内容は、終身介護付き有料老人ホームや認知症の方対応のグループホームなどの入居案内。“より生活しやすくなる環境”を求める高齢の方々に提供する介護サービスの一つだ。介護事業は、高齢化の進行によってお客様の数が増え続けている成長産業。新規参入も多い。事業を継続していくためには、ボランティア精神だけでは乗り切れない。お客様に満足してもらえるだけのサービスを提供し、“選ばれる存在”にならなければならないのだ。その取り組みの一つとして、日本ロングライフでは請求された資料は手渡しすることを徹底していた。

「担当の小野です。よろしくお願いします」「あらビックリした。他みたいに郵送で来るかと思ったから。どうぞお上がりなさい」。2004年7月。いつものように資料を携え、営業の小野弘志はあるお客様と挨拶を交わした。いつもと変わりのない出会い。だが小野は、次第にこのお客様の入居を強く願うようになった――。

“中長期のお客様”は追いかけない。 1
「たくさんお洋服があるんですね。私アパレル業界を志望していたくらい、服が好きなんですよ」「そうなのね。私アパレル商社を営んでるの。79歳だけど今も現役よ」。自身が所有するマンションの2階に、お客様の自宅兼オフィスはあった。洋服の話で盛り上がった後、小野は聞き出しを始めた。「どうして老人ホームへのご入居をお考えになられたんですか?」「私は体が不自由だから、将来が不安なの。まぁ仕事もあるし、すぐって話じゃないんだけどね」「ご生活で不自由な部分、今はどうされているんですか?」「ヘルパーさんに来てもらってるの。会社の子にも手伝ってもらってるわ」。こうして1時間ほど話をする中で、まだ具体的な検討段階には来ていないことが分かった。

「分かりました。また何かあればご連絡くださいね。いつでも飛んでいきますから」。中長期で検討しているお客様には必要以上の営業はしない。お客様の準備が整わなければ、入居に満足してもらうことができないからだ。「これはお客様からのアプローチを待つ感じだな」。このお客様も例外ではない、と小野は思っていた。

万が一のことが気掛かりで訪問を繰り返す。 2
「本日はありがとうございました。またよろしくお願いします」。小野がマンションを後にしようとすると、お客様が見送りに来てくれた。その足取りはおぼつかない。また1階へ降りる階段は急勾配で、お客様が日常的に昇降するには危険なものだった。「ここで大丈夫ですよ。ありがとうございます、また来ますね」。――1ヶ月後、お客様のマンションに小野の姿があった。本来であれば追いかけないお客様。だが小野は、「ホームに入居してほしい」と強く願っていた。ご主人は既に他界している。社員は寝食を共にしてくれるわけではない。入退院を繰り返し、体も決して良い状態ではない。それに加え、現在の住まいは体の不自由な方には危険だ。万が一のことを思うとあまりに不安で、小野の足は自然とお客様の自宅へと向いた。

「こんにちは、近くに寄ったんで来ましたよ」「小野さん、ありがとね。最近新しいお洋服は買った?」。訪問時の話は雑談ばかり。それでも、いつかホームに入居してくれることを願って小野は通い続けた。1ヶ月に1回の定期訪問に加え、台風が通り過ぎた翌日には「大丈夫でしたか?」と声をかける。そのうち、忙しくて小野が訪問できないときには、お客様から連絡が来るようにもなった。そのやりとりはまるで、母と息子のようだった。

お客様の決断を待ち続けるしかない。 3
お客様のもとに通うようになって、1年半が経過した。この間にお客様の病状は悪化の一途を辿っていた。「最近、階段を上がるのがつらいの。仕事ができないこともあるのよ…」と弱音を吐くようにもなった。小野は「ホームへの入居でなくても構わない。何かお手伝いはできないか…」と考え始めていた。オフィスから離れたくなければ、在宅介護を強化することもできる。ホームへの入居がベストな選択であることに変わりはないが、お客様に満足してもらえなければサービスを提供する意味がない。だがお客様はなかなか決断ができず、小野は待ち続けるしかなかった。

2006年2月。年末に連絡のなかったお客様から、久々に電話が入った。「小野さん、私また入院しちゃったの。一人で生活するのは、もう難しいかもしれない…」。退院した後、お客様は唯一の家族である兄弟の家に一泊した。兄弟もかなりの高齢。その際、「もう面倒は見れない」と、突き放されたことにお客様はショックを受けていた。「迷惑みたいなの。もう行くところがないのよ」。小野は今まで何十回と言ってきた言葉を、改めて投げかけた。「私はいつでもお待ちしています。ぜひ、見学に来てください」。

お客様に選ばれた小野の嬉しい驚き。 4
「体がしんどいから、見学はいらないわ。小野さんがいいっていう部屋でいいの」。それは小野にとって驚きの言葉だった。高額で、なおかつ“より生活しやすくなる環境”となる大切な部屋。一度も見ないで決めるお客様はいないに等しい。「本当によろしいんですか?ご入居先は車で10分のところです。行けないことはありませんよ」「いいの。あなたのこと、家族だと思うくらいに信頼してるの。資料をたくさん請求したけど、私に会いに来てくれたのはあなただけだった。安心してお任せするわ」。

営業の小野にとって、成約の瞬間が何よりも嬉しいとき。いつもなら「よっしゃ」という達成感がついてくるが、今回は違った。「よかった…」。これ以外、言葉は出てこなかった。ホームはお客様の自宅と近く、大きな公園の横に立地する。またベテランスタッフが揃い、サービスのレベルも高い。ホームの環境は、お客様が安心して余生を過ごすに足りるもの。入居後、笑顔で出迎えてくれるようになったお客様を見た小野は、改めてお客様が満足できるサービスを提供することの大切さを実感した。

エピローグ
「“介護はサービス業”である。お客様を満足させるものでなければならない」。これは日本ロングライフの社長が掲げる言葉だ。このお客様との出会いによって、小野はそれを体感した。「ホームは財産として後世に残すことができません。また高齢ですからローンも組めないんですよね。お客様はお体の不自由さとも葛藤しながら、大きな決断をします。そのような中でサービスに少しでも不安や不満が残るのは非常に残念なこと。満足のいく成約をするための努力は惜しみません」。

現在、神奈川県で新しく立ち上げられた有料老人ホームの営業を行なう小野。その営業姿勢は今も変わらない。
有料老人ホームの場合、入居するお客様と直接商談をすることも多い。分かりやすく、丁寧な言葉で語りかけることを忘れない。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代、コンビニのアルバイトをしていた。「おでん、あつあつですよ」と一声かけると、レジに並んでいたお客様が買ってくれたことをきっかけに、サービス業に興味を持つようになった。このとき培ったコミュニケーション力が、介護営業の仕事にも活かされていると感じている。
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