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メーカー(紙・パルプ) / 商社(専門商社(紙・事務機器・OA関連)) / マスコミ(印刷)
最終更新日: 2007/10/22
(マークの説明) 正社員 理文不問
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プロの仕事研究
趣味の段ボール工作を人気商品へと進化させた、段ボール包装技術のプロ。
技術系−技術系その他
CS本部 包装技術部/課長代理
中川 喜尊 (35歳) Yoshitaka Nakagawa
入社14年目 / 立命館大学 経営学部 経営学科 出身

プロフィール
「素材としての紙の可能性」に興味を持ち営業として入社。しかし、CADを自ら学ぶうちに商品設計も担当するようになり、2001年からは包装技術部に所属。段ボールの包装仕様検討と提案を行う。趣味を兼ねて作っていた段ボール工作が商品化され、現在、『ダンモデ』として全国発売されている。


プロローグ
「自社商品を自分の言葉で売り込めたら面白い。そのためにはメーカーだ」。そう考えた中川は、王子チヨダコンテナーに入社した。デジタル化が叫ばれる中でも、紙という素材の可能性は失われない、という確信もあっての入社だった。そして、加工開発事業部に配属され、紙を素材とした建材という新たな商材の営業として業務を開始した中川だったが、そのキャリアは意外な展開を見せた。

建築業者などを対象として営業を行っていた中川だが、その傍ら、自ら望んでCAD設計の勉強をしていた。そんなある日、開発担当者に欠員が出た。だがCADを使った設計を行える人間は、まだ開発担当者には少ない。そこで中川は、「開発をやらないか」と打診をされた。営業先の意向が一番わかる存在でもあり、図面が描けるのであれば、仕事の幅も広がる。中川は、営業と開発という二足のわらじを履いた異色の存在となった。

そして入社から6年。中川は、包装技術部に配属となり、段ボールでの包装仕様の検討と提案を行う職務に就いた。その傍ら、段ボールで工作をし、作ったモデルを展示会などに飾るなどしていたのだが、ある日、このモデルが独り歩きを始めた……。

文系出身の営業から技術畑へ。異色の転身。 1
営業として入社した中川だったが、CADが使えるようになったことで製品の開発担当もするようになった。造形をCADで描き上げることはさほど難しくはない。しかし、工業生産物として成り立たせるためには、力学に基づく構造設計を行わなければならないのだ。それは、文系出身の中川にとって容易なことではなかった。段ボール素材の建材を営業しながら、中川は勉強を重ねた。そして、次第に開発者として成熟していった。自分で作ったものを自分で売り込む。それは楽しくもあり、やりがいのある仕事だった。

2001年。中川はその経験を踏まえて、包装技術部に異動した。箱に入れられる中身によって、どのような箱にしてどのような強度を持たせ、どのような詰め方をするかを検討し、提案する業務である。技術担当として営業担当者と共に客先に出向き、提案をするのだが、これは営業出身の技術者という異色の存在にはまさにうってつけの仕事であった。こうして中川は、新たなキャリアをスタートさせたのだった。

「何か飾るものを作れないかな?」。そんな依頼に思いついたのが段ボール工作。 2
そんなある日のこと。宇都宮工場を訪ねた中川は、同期の社員から、「工場の入り口を飾れるようなものを作れないか」と依頼をされた。「段ボールの工場だから、段ボールで作った作品を飾るのがいいだろう」。普段から、複雑な形状の家電製品などを梱包するための段ボール製品は設計している。中川は考えた。「飾るなら栃木県らしいものがいいな。何だろう…」。栃木県には、著名なレーシングコースがある。「では、レーシングカーはどうだ」。

試しに、仕事の合間に何台かを作ってみた。いろいろな角度からのレーシングカーの写真を検討し、そこからデザインを作り上げる。サイズは机に置けるくらいのもの、ということで全長30cm以内、と決めた。図面を起こし、試作してみる。出来はいい。そこで、この工場だけではなく、段ボール包装の展示会などがあるときに飾ってみた。本社のオフィスにも飾ってみた。するとだんだんと注目を集めるようになった。あちこちの展示会に貸し出され、そのまま返ってこないことも多かった。ある日、営業の1人が中川に言った。「これ、ちょっと貸してくれない?」。特に疑念も抱かず、中川はレーシングカーを貸し出した。それが、中川にとって予想外の展開となった……。

「これ、貸してくれない?」。段ボールのレーシングカーが独り歩きを始めた。 3
営業担当者がこの段ボールのレーシングカーを持ち込んだ先は、王子製紙のグループ企業であるアピカだった。このアピカは、児童向けの文房具や事務用品などを販売する会社である。

実は、「この段ボール工作を商品化できないか」というアイデアは王子チヨダコンテナー内でも持ち上がっていた。だが、そこには大きな問題があった。商品化しても、王子チヨダコンテナーにはこの子ども向けの商品を売るための販路がないのである。そこで、営業担当者は、文具、という形ではあるが、子ども向けの販路を持つアピカに商品化のアイデアを持ち込んだのだ。

しかし、アピカとしてもこのような形の玩具を扱った経験はない。「売れるのか?」という疑問は当然のように生じた。だが、商品化を推す声は多く、販売は決定した。「本当かな…」。半信半疑の中川も、試作モデルを量産できる商品にすべく、動き始めなければならない。子ども向けの商品だけに、作るのが難しくてもいけない。かといって簡単すぎてもいけない。中川は、小学生の目線になって考えてみた。特に、段ボール加工の持つ面白さ――切る、折る、貼る、差し込むなどの工作に必要な要素はすべて取り込んで、工作用品として魅力的なものにしようと工夫を凝らした。それでも「本当に売れるのか?…」という疑問は消えなかった。

『ダンモデ』発売開始! 4
まず発売されるものとして、レーシングカーとヘリコプターの設計をした。他の開発チームが蒸気機関車を作り上げた。名前は『ダンモデ』と決められた。そして2006年6月、先行3種が発売となった。『ダンモデ』は、中川の予想を超えた反響を呼んだ。TVや新聞でも紹介され、売れ行きは上々だ。それを受けて、さらにスケールアップしたトレーラー、旅客機のモデルも作られた。

店頭に並んだ『ダンモデ』を見た中川は、素直にうれしかった。もちろん、普段作っている包装用の段ボールが並んでいるのを見るときもうれしい。しかし、メインの商品として直接消費者に届くような製品を作ったことはなかった。これまでに経験したことがない喜びがあったのだ。

とはいえ、これはあくまでも趣味で作ったものが生んだハプニング。しかし、これ以後、通常業務のお客様に先方の商品である飲料のケースデザインを使った『ダンモデ』を作って飾ってもらったり、紙の博物館で製品が陳列されたりといった形で、この『ダンモデ』は王子チヨダコンテナーという会社をアピールする絶好の製品となった。営業マインドを忘れない技術者・中川は、趣味で行った仕事を、本業に活かすことにも成功したのだった。

エピローグ
「“仕事の合間に時間があれば”ですが、現在もこの『ダンモデ』には関わっています」と中川は言う。遊び心が生んだ製品だが、子どもたちの夢を育むものになった。「王子チヨダコンテナーには魚も入れられる水に強い段ボールなど、新機軸の商品が多数ありますが、これもその一つだと思います。これからも、段ボールにさまざまな形で夢や工夫を吹き込み、新しいものを創り出していきたい」。

「業界内でのシェアを上げていくことはもちろん、その原動力として、もっと段ボールの需要を増やしていけるような製品開発が出来れば」。中川は、その想いを胸に、新たな製品を創り出していく。それは、段ボールの未来へと続いていく道のりなのだ。
段ボール製工作シリーズ『ダンモデ』のレーシングカー。基本設計は中川が最初に作ったものとほとんど変わっていない。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
小学校から現在に至るまでずっと野球を続けている。野球の基本はチームワーク。現在も会社で軟式野球のチームを作り、監督をしているが、本社と工場など、普段は顔を合わさないメンバーと野球を通して交流をし、培うことが出来た人間関係は仕事上でも活かされている。
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