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メーカー(紙・パルプ) / 商社(専門商社(紙・事務機器・OA関連)) / マスコミ(印刷)
最終更新日: 2007/10/22
(マークの説明) 正社員 理文不問
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プロの仕事研究
段ボール製造機械の入れ替え作業に成功した、設備管理のプロ。
技術系−製造技術開発・生産管理
CS本部 品質保証部/マネージャー
春岡 伸洋 (39歳) Nobuhiro Haruoka
入社16年目 / 福岡大学 工学部 機械工学科 出身

プロフィール
「環境問題に取り組む企業」に興味を持ち、紙パルプ業界でも特に“環境”に取り組むことに力を入れている、王子チヨダコンテナーに入社。機械工学の知識を活かし、九州北工場で生産管理、設備を担当。現在は本社品質保証部にて、製品の品質を保つための検査システム構築立案などに活躍中。

プロローグ
1993年12月。8ヶ月間に及ぶ長い研修を終えた春岡は、九州北工場の製造部へと配属された。本社で業務知識の学習、北海道で紙パルプ製造の研修、宇都宮工場で段ボール製造研修などを経験し、段ボールに関するさまざまな知識を吸収した後のことだった。

段ボールが出来上がるには、内側になる波型の紙を作る工程、外側になる紙を貼り付ける工程、そして切れ目、折り目を加えて製品として完成させる工程など、いくつかの工程がある。それぞれの工程を担当し、段ボール製造のすべてを学んでいく。すべてが終わるには、さらに1年の月日を要した。

実際に業務に取り組んでみて、春岡は思った。「なんて細かい仕事なんだ…」。日常生活の中では気軽に使い捨てされている段ボールだが、その製造工程はとても繊細で、知れば知るほどに奥深い。そして入社から3年目。機械の専門家として、設備担当を任され始めた春岡は、段ボール製造の心臓部分とも言える設備の更新作業を、初めて1人で担当することになった。新しい機材への入れ替え業務だ。もし失敗するようなことがあれば、工場の稼動を止めてしまう。限られた時間の中、重責を感じながらの作業が始まった……。

初めて担当した機械の入れ替え作業。 1
日常生活のさまざまなシーンで使われる段ボール箱。軽いし丈夫だ。ミカン箱に使われているものでも、箱になった状態なら上からの加重には数百キロのレベルで耐えられる。その反面、手で破れる軟らかさも持つ。気軽に使われているが、その能力は非常に優れたものなのだ。

設備担当・春岡が初めて1人で担当することになったのは、この段ボールのもっとも特徴的な部分である、内側の波状になった部分を作り出す設備(シングルフェーサー)を新たな機器に入れ替える作業。段原紙を段ロールで加圧して波状にし、その両サイドに板状の紙を接着することで段ボールは出来上がる。この波状の紙がなければ段ボールにはならない。段ボール製造の心臓とも言える部分だった。

機械の入れ替えは、工場が稼動しておらず、ある程度の日数があるときにしかできない。このシングルフェーサーの入れ替えも、工場の夏期休暇中に行われた。この期間内にすべての作業を終わらせ、休暇終了後はすぐに生産ができる体制にしなければならない。それだけに責任は重大だ。初めて任された大きな仕事。春岡は、その責任の重さを胸に業務に取り組み始めた。

万が一失敗したら、工場に大損害を与える重要な業務。 2
それまでも、設備担当として師匠格の保全担当者に教えを受けながら、多数の業務を経験していた。製品に出る不具合の原因などは、多くの経験があってすぐに見つけ出せるもの。それだけに、設備担当の業務はベテランの先輩の知識から学ばねばならないことばかりだった。

そしてようやく、初めて春岡が1人で担当するチャンスが巡って来たのだが、正直、不安だった。「万が一失敗したら、工場の運営に損害を与えてしまう。本当にできるだろうか」。そんな想いが脳裏を掠める。もし工場の稼動を止めるようなことになれば、全社を揺るがす大損害となるのだ。ミスは許されない。それだけに、春岡は慎重に慎重を重ねて業務を開始した。

すでに導入される機械は決定していた。後は、この工事に関係する多数の業者と打ち合わせを行い、それぞれとスケジュール調整をする。そして実際の更新業務が行われた。機械を入れ替えるだけではない。機械を設置する地面の基礎工事、電気の配線、蒸気パイプの繋ぎ変えなど、付帯したさまざまな作業が必要なのだ。それらをスムーズに行うためには、事前の周到な準備が必要だった。

「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ」。春岡は慎重に作業を進めた。 3
機械をどこに置いて、どう配線し、どのように配管するか。そのすべてが、春岡の判断に委ねられる。工事の順番を決め、業者ごとにスケジュール割をする。そして工事が始まる。

「機械が立ち上がるのはいつだ?」。上司が春岡に尋ねた。「最終日の4時です」。上司が言った。「では、そのとき見にいこう」。それまでの作業は、春岡にすべてを任せる、ということだ。その言葉に、春岡はさらに緊張した。「間違いがあってはならない…」。春岡は、十分に打ち合わせを重ね作業を行った。機械を納入するメーカーの担当者が「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ」と言う程、春岡は慎重だった。使われていた機械が撤去され、基礎工事が行われた。そして新しい機械が設置され、配線、配管と工事は進んでいく。ちょっとでも不安な点は先輩に聞き、解決をした。工事は無事に進んでいった。

すべての工事はスケジュール通り終了した。後は機械を立ち上げ、試験を行うばかり。機械の前には椅子が置かれ、その椅子に上司が座った。「最初の仕事にしてはうまくいった」。春岡はそんな気持ちだった。工事にミスはない。春岡は自信を持って、試運転を行うためのスイッチを押した。

予期せぬ事態を乗り越えた先にあったもの。 4
すると、突然頭上から大量の水が噴出してきた。水が雨のように降り注ぐ。その真下には、新設したばかりの制御盤がある。「大変だ!電源を落とせ!」。叫び声が飛び交う。もしこれで制御盤が壊れたら、すぐに復旧することはできない。数週間にわたって工場を止めなければならないかもしれないのだ。

原因はすぐにわかった。不必要となり、撤去された周辺機器に取り付けられていた配管を切った際、それを塞ぐ作業が行われていなかったのだ。水はすぐに止められた。「制御盤は大丈夫か?」。水をふき取り、ドライヤーで乾かした。完全に乾いたのは3時間後。「大丈夫だろうか」。春岡は、祈るような気持ちで再びスイッチを入れた。機械は無事稼動した。

胸を撫で下ろした春岡に、上司が言った。「よくやった」。予期せぬ事態を巻き起こしたが、機械の更新作業自体はほぼ完璧だった。そのことを、上司は評価したのだ。春岡は安心した。そして再び、このようなことを起こさないことを胸に誓った。

その後、さらに数々の更新作業を担当した春岡は、それらをすべて問題なく行った。初めての作業での失敗が、春岡を大きく成長させたのだ。こうして、春岡は設備担当者として独り立ちすることができたのだった。

エピローグ
「過信はいけないと言うことを、身をもって知りました。大丈夫だと思っても、念を入れて確認しなければなりませんね」。この経験を通じて、設備の更新担当が担う重責を痛感した春岡だった。

現在は、品質保証担当者として、より品質の高い製品を作り出すための検査システムを構築する。「現在では自動化も進み、人手を使わなくても高度な製品を作り出すことができるようになりました。反面、熟練の技術者は少なくなった。これからは、技術者を育てたい。そして、シェア日本一の会社となるようにしていきたい」。優れた人材を育てること。それが春岡の次の目標である。
工場で検査機器を確認。より良い製品を安定して作り出すために、春岡はより高度な品質保証業務を目指し続ける。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
小学校から高校まで剣道をやっていた。副キャプテン、キャプテンと要職を務めたが、大勢の部員を統率すること、厳しい練習に耐えること、強さよりも礼儀を重んじることなど、数多くのことを学んだ。仕事をするようになってさまざまな困難にあっても、くじけることのない根気強さを身に付けることができた。
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