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メーカー(化学・ゴム)
最終更新日: 2008/04/28
(マークの説明) 正社員 理文不問 外資系
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プロの仕事研究
化学物質有害性を調査し、労働安全衛生法に基づいたラベルを作成した品質管理のプロ。
技術系−製造技術開発・生産管理
品質管理グループ
櫛部 園江 (40歳) Sonoe Kushibe
入社18年目 / 北里大学 理学部 化学科 出身

プロフィール
入社後、製品の品質検査・分析などを行ってきた。現在はそのほかにも、製造工程の安定性を分析する品質管理も行っている。中学生と小学生の2人の子供を持つ母であり、日本シーカ選りすぐりの技術と知識を持つ化学者である。

プロローグ
「白衣を着る仕事がしたい」。

就職活動で、櫛部がこだわったことだ。白衣を着る仕事、つまり化学実験や測定をする仕事がしたかった。学生時代の経験を役立てたいということもあったが、「実験が好き」という大きな理由があった。しかし就職活動は簡単には進まなかった。そんな時、研究室の教授から声がかかった。「研究も分析も検査もできる仕事があるよ」。OB・OGも5人ほど、理系職でその会社に入社していた。先輩たちは皆、今の仕事が楽しいと言う。こんなチャンスはない、と櫛部は勇んでその会社に入社した。その会社こそが、日本シーカだ。

入社17年を過ぎ、現在2児の母。2度の産休を経験し、今も現役の化学者、櫛部。「家族はもちろん同僚や上司の助けがあったから、ここまでやってこられたんです」。化学だけではなく、環境関連法や消防法にも精通しており、衛生管理者、甲種危険物取扱者の資格も保有。そんな日本シーカきっての逸材が、会社を背負った一大プロジェクトに立ち向かった。

製品の品質を見張る『化学者』、櫛部。 1
化学製品メーカーの日本シーカ。車のガラスと車体をくっつける工業用シーリング材やコンクリート同士をくっつける土木用接着剤などを作っている。

入社以来、櫛部は品質検査を担っていた。完成した製品が、世の中へ出荷できるものかどうかを検査する、いわば最後の審査員だ。化学製品の比重・粘度はどうなっているか。量は適量か。規格に合っているか。安全性を保てているか。お客様の要望を満たしているか。それらをくまなく検査する。また、製品の安全データシート、つまり取扱説明書の作成も櫛部の仕事だ。化学物質、組成、成分情報、危険性、安全対策など製品の詳細を分析し、記載する。さらに、製品の検査データや数値を統計・分析して、工場は安定しているか、今の試験方法に問題はないかなど、製造工程の管理も行うようになった。

『化学者』として着実に成長していった櫛部。そんな櫛部に新たなミッションが課せられた。

ミッションは、労働安全衛生法に基づいたラベル作成。 2
2006年、労働安全衛生法改正に伴い、日本ではGHSに対応したラベル表示の義務化が決まった。GHS(Globally Harmonized System)とは、化学製品の分類および表示に関する世界調和システムのこと。化学製品において、国際的な危険有害性分類基準と表示方法に基づき、危険または有害な化学物質はその表示をするというシステムである。これは主に、化学物質などを使用する際に起こる労働災害を防ぐためにある。

日本の義務化は、世界でも最速の試みだった。日本シーカをはじめ日本中の化学製品を取り扱う企業が集められ、ラベル表示についての講習会が開かれた。施行は2006年12月1日。これを過ぎてしまうと、法律違反になってしまう。遅くとも11月下旬には製品にラベルを貼った状態にしなければならなかった。8月、日本シーカでもラベル表示プロジェクトがスタートした。期間は、3ヶ月強。『ラベル表示原案を作成すること』。これが、櫛部に託されたミッションだった。

50以上の製品の化学物質有害性を調査。 3
櫛部はまず、危険性・有害性物質を含む製品をリストアップしていった。危険性・有害性物質とはたとえば、キシレン、エチルベンゼン、トルエン、酢酸エチレンなどの有機溶剤。使用方法を間違えたり、大量に使用したりすると、『発ガン性がある』『目がクラクラする』『頭痛を引き起こす』など人体に危害を及ぼすものである。製品数は50以上。製品の処方を読み取りながら、物質別に細かく分類していった。

ラベル表示プロジェクトは、通常業務の合間に行っていたため、仕事量は普段の倍以上になった。体や家庭にかかる負担は思いのほか重かった。日々の残業、家庭との両立、迫る期限…。櫛部はあらゆるプレッシャーに押しつぶされそうになっていた。しかし、部署の同僚、上司、家族、様々な人の理解とサポートに助けられた。何よりも――「キシレンが〜%、酢酸エチレンが〜%入っているから、この液体の毒性は…」と、製品を分析・計算する。この結果をもとに、表示内容を考えていく――この作業が、根っからの化学好きの櫛部にとっては楽しくて仕方がなかったのだ。

櫛部の分析結果が、製品に次々と貼られていく。 4
ラベルの原案を考えるのは櫛部だが、仕事は一人でするものではない。処方で解らないところを教えてくれるのは、研究開発グループ。ラベル原案をもとにラベルのデザインを決め、印字をしてくれるのはマーケティング・営業グループ。「私が早く仕事をしないと、他の人が困るだろうな…」。ラベル原案が遅くなればなるほど、各グループに負担がかかるのだ。櫛部は、作業が少しでも効率良く進められるように工夫を凝らした。たとえば、各グループとの連携がスムーズにいくように、各グループへ進捗情報を共有する。化学が解らない社員でも作業工程が解るように、優先順位の一覧表を作る。10月下旬。櫛部は、残業も繰り返しながら、ラベル原案をすべて仕上げた。正式なラベルにすべく、原案はマーケティング・営業グループに渡っていった。

2006年11月下旬。法律施行日の12月1日には、十分間に合う時期。櫛部の原案をもとにしたラベルが、50以上の製品すべてに貼り付けられた。「終わったなぁ…」。櫛部が、本当の達成感を得た瞬間だった。

エピローグ
「仕事とプライベートを両立できる環境が、日本シーカにあります。家族のご飯だって毎日作っていますからね」。母であり化学者である櫛部。今では、他部署やお客様からの依頼・問い合わせも受けるほど、化学者として社内外から信頼されている。

そんな櫛部が、活躍の場をさらに広げる。「当社はシーカグループの日本法人なので、海外に出ていく機会が多いんです。シーカの各国法人の工場を見学したり、品質管理の人と話したり、技術面でもかなり刺激を受けています。もっと英語力を身につけて、諸外国との会議中に日本シーカのアピールができるようになれれば、と思っています」。

仕事と家庭を両立する化学者・櫛部。まだまだ成長を続けていく。
接着剤やシーリング材など製品の粘度を測定中。念願の『白衣』を着て――。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学時代、体育会系弓道部で毎日練習をした。「何でこんなに練習しなきゃいけないの?」と思ったこともあったが、その日々の努力が、団体優勝という結果をもたらした。この経験から、努力をコツコツ重ねることの大切さを知った櫛部。現在も、化学に関することだけでなく、環境関連法や消防法などあらゆる勉強を重ねている。
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