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メーカー(化学・ゴム)
最終更新日: 2008/04/28
(マークの説明) 正社員 理文不問 外資系
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プロの仕事研究
単独で九州へ乗り込み、“接着”技術で大型客船建造の一翼を担った営業のプロ。
営業・販売系−営業(法人・新規開拓が中心)
工業製品本部・営業/マーケットフィールドマネージャー
倉田 知久 (38歳) Tomohisa Kurata
入社15年目 / 東京理科大学 工学部 経営工学科 出身

プロフィール
「おもしろい化学メーカーがあるよ」。大学の研究室の教授に紹介され、選考を受けてみた倉田。数学・物理は得意だったが、化学は決して得意ではなかった。しかし話を聞くうちに、この企業にだんだんと興味を持っていった。「将来はグローバルに働けるかもしれない!」と思い、入社を決めた。その企業が日本シーカだ。

プロローグ
本社はスイス。世界70カ国以上に展開。従業員は世界中に1万人以上。このグローバルカンパニーで作られる製品は、世界各国の建造物、自動車、船…あらゆるものに使用されている。コンクリートに混合し、耐久性・施工性を向上させる混和剤。自動車の窓ガラスと車体をくっつける工業用接着剤。このように、土木・建築・工業などで用いられる化学製品を作っている。それが、シーカグループだ。

シーカグループ・スイス本社で品質管理のアドバイザーを務める大学研究室の教授に勧められ、シーカグループの日本法人・日本シーカに入社を決めた倉田。そんな倉田が描く将来は、「グローバルに活躍すること」。それが可能だと思ったからこそ、全くの未踏分野である化学メーカー、しかも営業職に足を踏みこんだのだ。入社後、バス・トラックメーカーへの営業、マーケティングサービス(新商品の提案、営業支援ツール作成)、マリン系メーカーへの営業を経て、現在は電気・建材メーカーへの営業マネージャーとして活躍する倉田。日本を代表する建造物や自動車を作るメーカーを支えている。

造船の街、長崎。2002年夏、倉田はそこに単身で乗り込んだ。ある決意を胸に―――。

造船プロジェクト、スタート。 1
2004年春、長崎。2隻の大型客船が、シアトルへと向かった。人々から拍手喝采を受けながら、悠々と大航海へと旅立っていく船。たった一人で長崎へ乗り込んだこと。海外の社員と英語でやりとりをしたこと。お客様に技術的な説明も行ったこと。一人でいろんなことをやり遂げたこと…。無事出港する船を見て、倉田はプロジェクトにおける様々な出来事を思い出していた―――。

2001年、ある大手重工業メーカーA社が、2隻の大型客船を造船することになった。全長290m、重量11万6000t以上、定員数4000名弱の超巨大客船だ。あらゆる船の床や壁、窓など様々なものを接着する際に、シーカ製品が使用されている。この造船プロジェクトでも、A社や造船プロジェクト関連企業にシーカ製品を使ってもらうべく、シーカはある男をこのプロジェクトに送り出した。営業・倉田知久だ。「倉田、一人でできるだろう?」。上司からのこの一言に、倉田は俄然やる気になった。

単身、長崎へ。 2
2002年夏、九州は長崎。日本屈指の造船業が盛んな都市だ。A社の造船プロジェクトも、ここ長崎で行われることになった。日本シーカの本社は神奈川県平塚市にあるため、さすがに通うことはできない。倉田は、長崎に単身で乗り込むことになった。長崎には家族もいない。事業所もない。もちろん同僚もいない。仕事始めは、引越しと事業所開設だった。

倉田たった一人。まわりには相談する相手もいない。そんな状況下で、倉田は一人の大変さとつらさを痛切に感じていた。しかし幸いにも、造船プロジェクトに関わる地元企業の中に、以前から親しくしていた商社や工事会社がいた。住む場所を探してくれたり、情報を共有してくれたり、長崎を教えてくれたり、お酒を一緒に飲んだり。地元企業の人々とは、いつしか仕事上のパートナーを越え、信頼のおける仲間になった。「一人ではないかもしれない」。倉田は、次第にそう思うようになっていった。

多くの役割が、倉田一人に圧し掛かる。 3
お客様は、製品の価格のほかに安全性など品質面や技術面を重視する。だからこそ営業は、製品の化学的な特長や建造に関する技術的な知識も持ち合わせていなければならないのだ。「ここの内装には、この点に気をつけてこの接着剤を使用してください」「この窓でしたら、このシーリング材はいかがでしょうか」「船内プールには、こういう性能を持つ製品がいいです」。技術説明も施工指導もできる倉田は、お客様からどんどん信頼されていった。「ここの部分で、何かいい接着剤ない?」とお客様から直接相談されることもあった。競合他社が多くいたにも関わらず。

倉田は、ただ製品の提案をしていただけではない。お客様の「早くほしい」という要望を叶えるべく、本社の製造グループに「何日までに届けて」と懇願した。それでも届かない場合は、自らの足で配達した。日本シーカで取り扱っていない製品を海外法人から輸入することもあった。窓口は輸入グループが担当するが、製品の説明を受けるのは倉田だ。海外法人の社員と、製品について英語でのやりとりを繰り返した。また、見積書の作成のような事務処理や在庫管理など、多くの作業を一人で行うことが求められた。

長い、長い大航海へと向かう船。 4
倉田はもがきながらも自分で考え、行動した。気がつくと、いろんな作業を自分一人でできるほど成長していた。この努力の結果は、形となって表れた。この船における接着剤とシーリング材は、ほぼ日本シーカのもので埋め尽くされたのだ。もちろんそのかげには、本社の上司や製造・輸入グループの社員、海外の社員、地元企業など、多くの人の協力や支えがあった。船は完成に近づき、プロジェクトは終盤へと向かっていった。

―――2004年春。大型客船は長い長い大航海へと旅立っていった。船から紙テープが舞う。窓から嬉しそうに手を振る船員たち。「一仕事、終わったな…」。次の仕事へと向かうべく、倉田は長崎をあとにした。倉田はまだ、長い、長い挑戦の途中だ。

エピローグ
現在、有名な豪華客船として世界中をクルーズしているこの船。新聞やテレビで話題になることも多い。

このように大きな仕事や海外とのやりとりが多いのが、日本シーカの特長だ。倉田も、先々週までは中国で会議、その前はヨーロッパへ出張していた。「入社当時、正直言って英語はサッパリできなかった。でも上司が外国人だったり、海外出張があったりと、英語に触れる機会が多く、いつの間にか身についていた。今後、もっと英語力を身につけ、海外へ飛び出したい!」。

「グローバルに活躍したい」。当時大学生だった倉田の夢。夢は今、一歩ずつ現実に近づいている。
シーカオーストラリアにて、同僚と。「スイス本社はもちろん、アジア、ヨーロッパ…各国に行き、刺激を受けています!」。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
倉田が学生時代に学んだのは、数学や物理。しかし計算式よりも役に立っているのは、論理的思考力。「この答えを示すためには、どう証明すればよいか」という考え方が、今の仕事の「この接着剤を売るためには、どうすればよいか」という営業方法に結びついている。
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