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最終更新日: 2007/11/05
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プロの仕事研究
自ら数字を上げ、後輩を育て、唯一の女性チームリーダーとなった営業のプロ。
営業・販売系−営業(個人・新規開拓が中心)
営業本部 第3営業グループ/チームリーダー
酒井 利恵 (27歳) Rie Sakai
入社6年目 / 大正大学 文学部 国際文化学科 出身

プロフィール
数々の接客アルバイトを経験し、「人と接する仕事をしたい」と決心。なかでも「自分らしく仕事ができそうだった」というトーシンパートナーズへ入社。以来、投資用マンション販売のトップ営業として活躍。入社4年目には、女性でただ一人のチームリーダーに昇進。現在は部下6名を抱え、マネジメントとチーム作りに奮闘中。

プロローグ
入社以来、係長まで順調にキャリアアップしてきた酒井の次なる目標はチームリーダーだった。しかし、係長とチームリーダーとでは歴然とした差がある。係長は部下を持たず、自ら営業も行うが、チームリーダーは多くの部下を持ち、原則マネジメントに専念する。このため、係長までは営業成績次第で昇進できるが、チームリーダーは営業成績にマネジメント能力を加えた総合力で判断されるのだ。

酒井は「チームリーダーになりたい」と強く願っていた。「チームリーダーになって、突出した営業成績を上げた女性社員はまだいない。私がそのパイオニアになることで、『やる気と目標さえあれば、どんな人だってこうなれるんだ』と自分でも確信したいし、後輩たちにもそう思ってほしい」との思いがあったからだ。上司に「もう少し数字を上げれば(チームリーダー候補の)土俵に上がれるぞ」と励まされた酒井はいつも以上に営業活動に力を注ぎ、後輩の商談にも積極的に同行した。

しかし、成果は思うように上がらず、途中スランプに陥ったせいで、惜しくもチームリーダーの選にもれる。半年間、チームリーダーになるために全力で突っ走ってきた酒井だけに、そのショックは大きかった。

契約が取れず、新人からの信頼が揺らぐ。 1
係長に昇進したばかりの酒井だったが、その眼差しはすでにさらなる高みを見ていた。「半年後にチームリーダーになる!」。そう心に誓っていたからだ。上司も酒井の意気込みを買い、後輩の交渉に積極的に同行させた。チームリーダーとなるにはトップ営業であるだけでは足りず、後輩を指導し、同行して成約まで持っていく力が求められるのだ。通常、新人はアポイントを取り付けるまでで、実際の商談はチームリーダーが行う。チームリーダー不在時はサブリーダーがそれに代わるのだが、酒井がその役割を果たしていた。

新人に同行しては、彼らがどれだけ大変な思いをしてアポイントを取ったのかが痛いほど解るゆえに、自分のアポイントよりもむしろ懸命に商談をする酒井。しかし、どうしても契約が取れない。「なぜうまくいかないんだろう。新人たちに『この人に同行してほしくない』 『すごいって聞いていたけれど、実際はこんなもんか』と思われているんじゃないか…」。酒井はすっかり自信を失い、自分の契約すら取れなくなっていた。

お客様の励ましで自信を取り戻す。 2
自信喪失状態の酒井を救ったのは、お客様であり、上司の言葉だった。酒井には懇意にしているお客様がいた。2005年の秋に成約をいただいたご夫婦で、自宅に招くなど、酒井を娘のように可愛がってくれている。そのお客様からもう一軒マンションを購入したいとの連絡があり、酒井は早速資料を持参した。このとき「最近どうなの?」と聞かれ、酒井は思わず正直に「ちょっと悩んでいて…」とこぼした。すると、「今のままで自信を持ってやるのがいちばんよ。私たちは明るく元気な酒井さんが気に入って買ったんだから」と励ましてくれた。

その言葉は何より酒井の背中を押してくれていた。「うまくいかないことばかりでいつもの明るさ、自分らしさがなくなっていた。成功していたときの自分のやり方や長所をよく思い起こし、失敗を気にせず自信をもってやろう」。酒井は、失った自信を取り戻していった。

次第に不慣れだった同行にも自信がついてきた。当初は自身でアポイントを取っていないため、お客様の感じや性格がよく解らないまま商談しては戸惑っていた。しかし、短期間ながら場数を踏み、そうした状況にもすぐに対応できるようになった。また、あれもこれもでは散漫になるため、「こういうところが○○さんにとって必ずいいと思っていただける」というポイントに絞って伝える工夫もした。

勝負をかけたラストスパート。 3
気持ちややり方が変われば、結果もガラリと変わる。物件を見ず、酒井を信頼して契約してくれた遠方のお客様へ2件目の紹介をする。「しばらくは厳しい」と断られたが、積極的に資料を送り続け、お客様の立場を考え提案をしていくと、「確かに良いですね」と気に入ってくれ、2件目の契約に至った。また、「今は無理です」と言われ諦めていた後輩のお客様も、「物件と時期のよさを聞いてから、ご判断ください」とストレートに伝えたところ、それが功を奏し、「この物件だったら」と申込んでもらえた。

契約が取れるようになり、自信を取り戻した酒井は、頼れる先輩へと変貌を遂げた。覚えなければならないことや新しい発見で頭がいっぱいになりがちな新人だからこそ、まず何が解らないか、教えてほしいところがあるかを聞き、「聞きたいところを優先して教えたほうが本人の成長になる」と、そこにポイントを絞って酒井は指導した。また、自分や周囲のこれまでの経験から、こうすれば必ず上手くいくという必勝法も伝授した。「確かに酒井さんの言った通りにやったら上手くいった」と思ってもらえれば、より信頼してくれるからだ。

この時すでに約3ヶ月が経過。チームリーダー選出に向けてラストスパートをかけたが、いかんせんスタートが遅かった…。

昇進のチャンスは半年に一度。 4
チームリーダーになると心に決めて半年、酒井はチームリーダーにはなれなかった。ショックを受ける酒井にリーダーがこう言った。「昇進できずに落ち込んで低迷するケースが少なくない。だから前の半年よりももっと頑張れ。お前ならチームリーダーになれる!」。その言葉に酒井は奮起し、新しい半期のスタートを切った。

「よし! もっと頑張ろう」。今の酒井はもはや以前の酒井ではなかった。「常に全力で取り組む」 「自信を持って」 「お客様のメリットを解りやすく、ポイントを絞って伝える」という自分のやり方を確立できたからだ。また、以前なら悩んだり落ち込んだりするとチームリーダーのフォローに頼りきりだった酒井だが、サブリーダーとしての自覚が芽生えてきてからは「以前の成功例をイメージする」など、自分自身で落ち込みを打開する方法も見つけた。酒井にとって前期での苦労は決して無駄などではなく、むしろ大きな糧となっていた。

そして、係長昇進から1年、酒井はついに念願のチームリーダーとなる。社内のチームリーダーの女性は酒井だけだ。また、新たな彼女の道のりがこうして始まったのだ――。

エピローグ
全社員の前で社長から昇進が発表される数時間前に、その事実を耳にした酒井は「やっとなれたんだ」という喜び、感動を味わうと同時に、「頼りになるのは自分だけ。部下を自分の判断で指導しなければならないんだ」と覚悟を決めた。

現在、営業本部でチームリーダーを務める女性は酒井一人。だからこそ「女性社員のいいお手本になりたい」と言う。また、これまでチームリーダーから多くのことを学んできたため、「私も『酒井さんからこういうことを学んだ』と部下に言ってもらえるようなリーダーになりたい」と思う。今、酒井は自身の理想とするチームリーダーへと着実に進化を遂げている。
女性ならではの考え方や視点を持つチームリーダーとして、部下はもちろん、他の社員からも頼られる存在へと成長。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学時代に教育実習を経験し、解りやすく話をする力が身に付いた。これはお客様への商品説明や、部下を指導する際に大いに役立っている。「教えるときはポイントを絞って伝え、ときには紙に書いて渡します。そうしたメモを『今でも大切に持っています』と言ってくれる後輩もいて、うれしくなりますね」。
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