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メーカー(食品) / 商社(専門商社(食品)) / 流通・小売(専門店(食品))
最終更新日: 2007/10/01
(マークの説明) 正社員 理文不問 老舗
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プロの仕事研究
工場と商品の新規展開を実現させ、自社の発展に貢献した中華食材製造のプロ。
事務系−経営企画
瑞穂工場/取締役兼工場長
大家 伸之 (49歳) Nobuyuki Oya
入社24年目 / 横浜商科大学 商学部 出身

プロフィール
大学卒業後、インテリアメーカーの営業として数年間を過ごす。1985年に菅野製麺所へ転職。当時の入間工場を立ち上げ、中華まんなどの中華惣菜を製造する工場の運営や営業活動に尽力。その後、事業拡大に伴い、瑞穂工場への移転を推進。現在は同工場の工場長と取締役を兼任するキーパーソンとして手腕を発揮している。

プロローグ
これは今から約20年前の秘話である。1949年に創業した菅野製麺所は、長年をかけて独自に培った技術力で製麺事業を拡大させ、いわゆるラーメン文化の一翼を担ってきた。そして、創業から40年を迎える頃、新商品の開発に動き出す。着目したのは、中華まんなどの中華惣菜。偶然にも東京都下の八王子市に、その展開を可能とするチャンスが眠っていた。中華まん製造を専門とする小さな工場。自社のネットワークを通じて、同工場の譲渡がオファーされた。経営状況は決しておもわしくなかった。そんな悪条件がありながらも、この工場の受け入れを会社は決断する。次の飛躍への挑戦である。その指揮を託されたのが当時、入社2年目の大家伸之だった。それは1987年の秋のこと、社長は新事業の着手を前にこう告げた。「君の好きなようにやればいい…」。大家にとってはやりがいになる反面、プレッシャーでもあった。先行きが見えない小さな工場での悪戦苦闘が始まる。中華まんの市場をリードする大手企業との戦い。その最前線に立つほどの実力がこの工場にはなかった。「何かもうひと工夫しなければ…」。それで向かった先は、中華料理の中心地である横浜中華街だった。

大きな中華まんは、なぜ売られていないのか? 1
中華まん製造の大手企業がコンビニエンスストアへの供給を開始した――そんな時代に、大家もこの食材の展開をビジネスとして成立させようと奮闘していた。コンビニで売られること=消費者にとってより身近な食べ物になることを意味していた。そして、横浜中華街を訪れた大家はこの地で売られる中華まんを見て、疑問符を浮かべた。「こんなに大きなものは、他では売っていないかもしれない…」。中華街で販売される中華まんは、他で売られているよりも、ひと回り以上も大きかったのだ。ここを訪れた人々が土産として買って帰るなど、中華街を代表する名物商品だ。「そんな売れ筋をスーパーマーケットなどで本格的に販売したならば、ビジネスとして成立するはず」。つまり、大手企業が見過ごしていた盲点だと大家は思った。

大家に託された八王子工場でも、他社と同様のサイズの中華まんを製造していた。だが、近隣のスーパーへ卸される量は限られていた。そのため、材料の原価計算、製造機器の減価償却などから損益をはじき出すと、作れば作るほどに赤字が生まれる。その改善策としてクローズアップされたのが、中華街の名物を販売することだった。

新商品の開発と販売に向けて奔走する。 2
八王子工場へ戻り、大家はさっそく中華街の中華まんを再現しようと製造機械の前に立った。まんじゅうの皮や中身となる具材を機械に仕込み、スイッチを押す。通常通りに機械を動かしたならば、約90グラムの中華まんができる。だが、それ以上の大きさにするならば、機械のギア比を変えて動作スピードを遅くし、できるだけ多くの具材を絞り出さなければならない。それでも、約120グラムの中華まんを作るのが精一杯だった。そこで大家は機械メーカーに問い合わせてみた。「機械の改造は可能」との返答だった。メーカー側に具体的な要望を伝え、ついには理想の大きさを実現できる機械が納入された。再び具材を仕込み、機械から絞り出されてくる。「いい感じだな…」。大家は笑みを浮かべた。

しかし、次の課題が待ち受けていた。新商品の売り先だった。まずは既存の顧客となるスーパーや食品卸会社などへの供給が始まった。だが、量をさばくことができず、工場運営は困難を極めたまま…。社内でも新事業を疑問視する声が上がり、大家へのプレッシャーが強まっていく。「何としても、この雰囲気を払拭したい」。そんな時、大家は自身の人脈を通じて魅力的な情報を入手した。

新しいビジネスパートナーと巡り会い…。 3
大家は知人を通じて、食品商社の設立を目指す人物A氏がいることを知った。立案された事業内容は高速道路のサービスエリアに食材を供給すること。そこで、商品供給で協業できる食品メーカーを探していた。当時、会社自体は設立の前段階にあり、信用という言葉は皆無。それでも、ピンと来た大家は都内で開催された説明会へ参加した。小さな雑居ビルに10数社のメーカー担当者が集まった。だが、信用が無いからこそ、時を経てその数は減った。結局、最後まで残ったのは大家のみ。チャレンジせずに後悔したくはなかった。ひとかけらのチャンスに賭けたいとの気持ちが勝り、A氏との提携関係が成立した。

そして、A氏が自身のネットワークを通じて営業活動を展開し、その商材となる中華まんの改良に大家は尽力。結果、ある高速道路のサービスエリアで、中華まんの販売が開始された。大きさは通常の約2倍、価格は横浜中華街の平均的な額よりも安かった。しかも、販売を開始したサービスエリアでは目新しさがあり、まさかのヒット商品となった。さらにこの噂が他のサービスエリアにも広がり、納入先が急増した。そのため、小さな八王子工場では手狭となり、工場の移転が検討されたのである。

事業拡大のために入間工場へ移転。 4
場所は東京都と埼玉県の境。国道16号線沿いの一角に、その物件はあった。廃墟となったこの空間は以前、食品工場として使用されていた。大家の使命はまず、この廃墟を新工場として再生させること。次に中華まんを中心に、餃子や春巻なども含めた中華惣菜を製造する生産ラインの構築に着手する。ラインだけでなく、商品の安全性を保つ検査体制の確立など、工場設立ですべきことは山積した。すべてが初めての経験だからこそ、右往左往する場面もあった。だが、大家は希望に満ち溢れていた。

そして、工場が竣工すると、八王子工場で勤務していた数人のスタッフと操業を開始した。大家自身も生産ラインに立ち、餃子や春巻を作った。加えて、営業活動も推進しなければならず、当然のごとく、人材の確保と教育も重要課題となる。人を増やすと共に、仕事も増やさねばならない。それでも、サービスエリアにおける販売の好調さが推進力となり、事業は着々と拡大していった。

気づけば、八王子工場を任されてから3年が過ぎようとしていた。目標としていた損益分岐はプラスに転じる。それは、ついに中華惣菜のビジネスが軌道に乗ったことを物語っていた。

エピローグ
だが、その後まもなく、入間工場は移転を強いられることになる。国道16号線の区画整理に伴い、入間工場の敷地の一部を明け渡さなければならなくなったのだ。敷地を明け渡せば、もはや操業は難しい。そこで大家は近隣での新たな物件探しに奔走した。結果、見つけ出したのが現在の瑞穂工場。敷地ばかりか、生産力も入間工場をはるかに凌ぐ規模だった。そしてこの瑞穂工場への移転は、菅野製麺所の中華惣菜事業をより発展させた。

入社から約20年を経た現在、大家は新たなビジネスフィールドを模索する毎日だ。そして、自身のポリシーとして頑なに守り続けているのは、“おいしさに加えて、安全、かつ安心な食品を提供すること”だという。
自社の基本理念を“中華惣菜”という領域で具現化した大家。休日は多彩な趣味でリフレッシュし、仕事の活力を蓄えている。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代の恩師から聞いた「安んじて事を託される人となれ」という言葉を今も大切にしている。これを実践することで、社内やお客様との信頼関係を厚くしている。また、機械メンテナンスなど多種多様なアルバイトを経験し、その間に学んだ知識が多少ながらも役立っていると考えている。
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