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メーカー(重電・産業プラント) / インフラ(建設) / サービス(環境・リサイクル関連)
最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
デザイナーのイメージをアトラクションとして実現させた、噴水設備施工管理のプロ。
技術系−建築・土木技術者
企画開発部
神保 正樹 (34歳) Masaki Jinbo
入社11年目 / 日本大学 理工学部 航空宇宙工学科 出身

プロフィール
学生時代に学んだ流体・熱力学の知識を活かして、社会貢献できる企業はないか探していたところ、第一テクノを知る。そして製品ラインナップに内燃機、ポンプ流体機器を持ち、下水・上水等の基盤整備の要素も備えていたことから入社を決意。以来、水景(噴水)設備等の設計・施工管理を手掛けている。

プロローグ
神保は眼前の光景に、浮き立つ心を抑えることができなかった。「この噴水の飛沫(しぶき)を、何万、何十万という人が目にするんだな…」。プロジェクト開始から約1年、流してきた汗に見合うだけの充実感がそこにはあった。「先輩やお客様にもいろいろ迷惑かけたけど、ちょっとは俺も成長できたかな」。

入社2年目の9月、「某テーマパークの建設工事」というビッグプロジェクトに加わることになった神保は、その仕事のスケールの大きさにただただ圧倒されるばかりだった。第一テクノに託されたのは、パーク内の噴水施設を含む9ヵ所での工事。その中で神保は、多くの業者や職人を管理する「施工管理」としてタクトを振るわねばならなかった。しかし必要資材の調達をはじめ、人員の手配から管理、時間・工程・安全と幅広いマネジメントスキルが要求されるこの責務を全うするには、あまりに未成熟。時には工程管理の不徹底から現場で働く職人の反感を買い、また時には時間管理の甘さからクライアントの怒りも買った。それでも先輩の助けを借りるなどしながら業務をこなし、どうにか施工は終了。この時の経験は、神保の中で一つの大きな財産となって刻み込まれていた。

「神保さんにお願いしたい」――“直電”で入った仕事とは? 1
「こちらが当社が手がけた噴水設備でございます」――

2002年某日、神保は大勢の関係者を引き連れて、都内の高層オフィスビルに新設した噴水設備を案内していた。基本的には排水設備や非常用発電設備を多く手掛ける第一テクノにとって、こうした「景観」のジャンルでも技術を有することを示すのは大事な機会。ここから新たな仕事につながるケースも十分ある。「他にも当社はこれまで…」。入社5年目となり、仕事にも随分慣れてきた神保の説明にも力が入った。

それから数日後、移動中の神保の携帯電話が、見慣れぬ着信表示と共に音を立てた。「はい! 神保ですが」。電話の主は懐かしい声。数年前に某テーマパークの建設工事で仕事を共にした、クライアント社のA氏だった。「実は神保さんにお願いしたい件がありまして…」。用件は仕事の依頼。無事にオープンを迎えたテーマパーク内で、新たなアトラクションが企画されており、そのアトラクションで必要になる噴水設備の設計・施工管理を頼みたいとのことだった。「もちろん喜んでお引き受けしますよ!」。営業担当も跨いでの直接の指名。神保は喜び勇んで会社へと戻った。

「non(ノン)」――何よりも芸術性が優先される仕事。 2
「こんなの本当にできるのかな…」――

新アトラクションのための噴水のデザイン原案に目を通した神保は、深い溜め息をついた。世界的に有名なデザイナーが描いたというそれは、まさに“幻想的”で“ファンタスティック”な空間を表現しており、実現できれば多くの観衆の驚きと感動を誘えるはず。しかしそれを実現するのは、他ならぬ自分自身。しかも予め提示された期限は、設計・製作・施工で1年間と、通常の約半分だったことからも、そのプロジェクトが大変なものになるであろうことは容易に想像できた。「大丈夫! お前一人にやらせようって訳じゃないんだから」。上司である髙橋(現・社長)をはじめ、技術部長など社内のそうそうたる顔ぶれのサポートのもと、挑戦は始まった。

最初に行ったのは、デザイン原案をもとにしたヒアリング。フランスから来日したデザイナーと、クライアントの事務所で通訳を交えて意見を交換し、細かい仕様などを詰めていった。「しかし、ここは部品のサイズ的にどうしてもこれだけの大きさになってしまいますが…」。中にはどうしても原案のままでは実現が難しいと思われる箇所もあったが、デザイナーの答えは「non」。何よりも芸術性を優先する姿勢を頑として崩そうとせず、クライアントからも実現を強く要求されるばかりであった。

「イメージ以上のアトラクションにしてやる!」――掻き立てられた仕事への情熱。 3
「なるほど。ここはコレとコレを組み合わせれば何とかなるな…」――

今回のプロジェクトで神保が初めて挑戦したことの一つ、それは「機械そのものの設計」だった。それまである程度の設計や、機械そのものを据え付ける施工管理は手掛けてきたが、サーボ機構を含む機械そのものとなると携わる縁がなかった。そのため、学生時代に使用していた教材や、インターネット、各種文献からありとあらゆる情報を引きずり出しながら作業にあたった。

神奈川にある工場のスタッフと協働して、機械の試作品をつくってはA氏をはじめとしたクライアント関係者、デザイン事務所関係者にチェックしてもらう日々。「このシーンの水の広がり具合が少し足りない」 「このシーンでは、もう少し高く噴射できないか?」…彼らの一切の妥協なき姿勢は、自然と神保の仕事への情熱も掻き立てた。「こうなったら意地でも彼らのイメージ通りの、いや、それ以上のアトラクションにしてやる!」。アトラクション自体は20分程度のストーリー形式のものだが、その音楽に合わせた噴水の動きをつくり出す神保は、繰り返し繰り返し、もう何百時間同じメロディーを耳にしたか分からなかった。

「あと少しだ…」――遠くから聞こえる歓声に、高鳴る鼓動。 4
「今日も朝までかかりそうだな…」――

工期も終盤に差し掛かり、機械のプログラミングも最終確認段階に来ていた。ここまで来ても、最後までこだわりを捨てないデザイナー、クライアントからの要望は止むことはない。水と音楽の僅かなタイミングのズレから、噴射される水の微妙な量の加減まで、とことん要望を出してくる。日中にテストを行い、それに対しての要望を翌日のテストまでに反映させようとしたら、必然的に作業は深夜まで、時には翌朝まで及ぶことになる。華やかなアトラクション開演のための、埃まみれの作業は続いた。

ついに迎えた新アトラクションお披露目の日。パーク内は、新たなイリュージョンを心待ちにしていた来場者で埋めつくされていた。「いよいよだ。今日のために1年間やってきたんだ…。上手くいってくれよ」。神保は従業員用の小型船に乗り、万一の事態に備え、観客たちからは見えないスペースで待機していた。そして始まったアトラクション。その展開は、目を閉じていても手に取るようによく分かる。遠くから聞こえるどよめき混じりの歓声が、神保の鼓動も早くした。「あと少しだ…」。そして――

エピローグ
― ガーッ ―

アトラクション終了と同時に音を立てた無線機に、神保は冷やりとした。「まさか何かトラブルが!?」。しかし聞こえてきたのはA氏の労いの言葉だった。「神保さん、ありがとう!! 無事に成功したよ!」。ぽつんと浮かんだ小さな舟は、神保のガッツポーズで大きく揺れた。

あれから数年。第一テクノはその後も数件のテーマパーク内の噴水設備案件を続けて受注。いずれのプロジェクトでも、神保が中心となって結果を残してきた。

「入社当初はこんな仕事ができるとは思っていなかった」と言うが、歓声を浴びるアーチが夢をも描き出し始めた。「ここまで来たら、この(噴水の)世界の第一人者になりたい」。当然、本気だ。
華やかなテーマパークの舞台裏で続けた地道な作業。歓声に沸く多くの人の姿をイメージしながら夜を徹して取り組んだ。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
部活動(サッカー)を通して、「諦めない・妥協しない・負けん気の強さ」を身につけた。また、仲間で一つのことを達成しようとすることの尊さ・喜びを知ったことは、関わる人たち全てと協力して何かをつくりあげていく現在の仕事においても活かされている。
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