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メーカー(重電・産業プラント) / インフラ(建設) / サービス(環境・リサイクル関連)
最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
『こどもの国』に新エネルギー・太陽光を導入した、発電設備施工管理のプロ。
技術系−電気・電子設計
企画開発部/主任
新井 延弘 (36歳) Nobuhiro Arai
入社14年目 / 信州大学 繊維学部 繊維システム工学科 出身

プロフィール
「ものづくり」をキーワードに就職活動を進め、第一テクノと半導体メーカーで内定を得る。人の役に立っていることのわかりやすさと“工事現場”への興味から第一テクノを選択。入社後3年間ポンプ現場の施工管理を経験した後、同社初の試みであった「太陽光発電」の部署に異動。現在に至る。

プロローグ
「当社が設置する太陽光発電設備は、お客様がご想像されている“屋根に取り付けて温水を沸かす設備”とは少々仕組みが異なります。一番の違いはこのガラス管ですね――」。2007年春、工事現場には慣れた口調でクライアントを相手に太陽光発電についての丁寧な説明をする新井の姿があった。「――あとは“シリコン”です。シリコンは光を浴びると電気を発生させる性質がありまして、このシリコンを使っているか否かが大きな違いです」。


「環境保全」「地球温暖化」「CO2削減」――こうした言葉を頻繁に聞くようになった頃、時を同じくして注目され始めたのが「エネルギー」の問題。中でも「太陽光発電」は、資源面や自給率、またCO2排出量削減への貢献という点で産業界からの期待も大きく、各メーカーや研究機関は競うようにその技術開発に取り組んだ。第一テクノがそんな太陽光発電設備市場に本格参入したのは1998年のこと。会社としても「いずれは収益の柱の一つに」と大いに期待を寄せていた。そのための新設部署に配属されたのが入社4年目の新井だった。しかし繊維学部出身で入社以降も「水処理一筋」だった彼には、「電気系」の知識は皆無に等しかった…。

「現場こそすべて」――そんな新井の異動先とは? 1
「新しい部署に異動してもらうことになった」――

突然の辞令だった。入社以来、新井は排水ポンプ設置現場の施工管理士としてさまざまな経験を積んできた。時には真夏の熱気に耐えながら、また時には腐臭と汚物にまみれながらの作業もあったが、「現場こそすべて、現場にこそ仕事の面白みが詰まっている」、そう感じていた。それだけに異動先が気になったが、その先を告げられた新井は更に戸惑うことになる。――「太陽光発電を、やってくれ」。

時代のニーズが「環境重視」にシフトしつつある中、太陽光発電も必ず需要が伸びてくると見込んでの進出。会社はその先陣を切る役割を、入社4年目の新井に託したのだ。「でも私は電気系の知識は一切ないですよ…」。一応言ってはみたものの、「会社としても初の試みなんだ。エキスパートなんかどこにもいやしない。サポート役もいるんだから、思い切りやれ」と逆に発破をかけられた。「そうだな。まぁやるしかないか…」。ミッションは太陽光発電設備の事業を一定の収益を上げられる部署にすること。どんどん顧客を増やしていく営業的な役割も課され、「企画開発部」として動き出した。

「いよいよ始まるんだ…」――『こどもの国』に太陽光発電システムを。 2
「第一テクノさんにお願いしたい仕事があるのですが」――

始動から約1ヵ月。新井のもとへ1本の電話がかかってきた。電話の主は事業パートナーである大手メーカー・A社の担当者。聞けば、神奈川県にある社会福祉法人から、太陽光発電設備に関しての問い合わせが入ったのだという。連絡先を聞き、さっそくアプローチを試みた新井。先方の要望は、団体が運営する施設『横浜こどもの国』内で走らせる「豆電車」を太陽光発電で走らせられないかというもの。話は思いのほかスムーズに進み、第一テクノ・企画開発部の初仕事は意外なほどすんなりと決まった。

園内を走る列車となると天候に左右されるのは望ましくないという理由や、予算の都合も含め、原動力は太陽光と通常の商用電力の併用でまかなうということでプロジェクトはスタート。約1年後の「開通」を目指して、太陽光発電の10kWシステムを設置することになった。そして数日後、A社から届けられた設置までの流れを記した仕様書や解説書を前にしたところで初めて新井は焦りのようなものを感じ始めていた。「いよいよ始まるんだ…。俺はしっかりやれるんだろうか」。

「分かりませんじゃ済まされない…」――知識を詰め込む日々。 3
「そもそも“太陽光”ってどういう原理で働いているんですか?」――

現場での作業が始まると、すぐに新井の不安は的中した。施設としても初の試みとあって、根堀り葉堀り質問を浴びせかけてくる担当者。そしてどの質問に対してもたじろぎ、まともな返答すらできない新井。そこで初めて自分が立たされているのがそれまでのポンプの現場とは違う、全くのゼロから始めねばならない現場だということを痛感した。「初めてだから分かりませんじゃ済まされないんだ…。自分がしっかりしないと、会社の新規事業の未来もない…」。

また現場での業務以外に相当な時間を要したのが電力会社との調整だった。今回は電力会社が供給する電力と太陽光電力を融合させて使うため、果たして本当にその電力が正常に機能するかなどの技術的検証を行なわねばならなかったのだが、電力会社側からしても珍しいケースだったため、一つひとつのやり取りに時間がかかったのだ。さらに電気に関する契約には種別があり、その種類ごとに契約の仕方も変わってくる。当然そんなことも全く知らなかった新井は、ひたすら知識を詰め込む日々を送った。

「自分は新しいモノをつくり出している」――緊張の瞬間。果たして仕事の成果は? 4
「“地質” “地盤” “強度” ……。なんだか土木や建築系の知識まで必要になってきたな」――

次に現場に戻った新井を待ち構えていたのは、発電設備を載せる土台づくり。工事にあたっては、園内の他の箇所の工事を仕切るゼネコンと協同であたることになったが、地質や地盤といった部分から調査する必要があり、新井は話についていくだけでもやっとだった。それでも「自分は新しいモノをつくり出している」「これは環境保全にも役立っている」という自負が、そして「この事業を必ず軌道に乗せる」という責任感が新井のモチベーションを支え続けた。

そして無事に全工程を終え、いよいよ太陽光で発電できるかどうかの最終テストを行なう日がやってきた。取り付けられた表示装置の近くには新井をはじめ、A社の担当者、施設担当者、施工スタッフなど、総勢数十名が群がっていた。「いよいよだ…。これで1年間の仕事の是非が問われるんだ」。思えば全ての局面で後手後手にまわってしまい、クライアントである施設運営者に対して申し訳ないという気持ちもあった。しかし、この設備が正常に動きさえすれば仕事の成果は認められる――緊張の瞬間。施設担当者の指がスイッチに触れた。そして――

エピローグ
― ジジ…ジジジ… ―

10秒ほどの静寂の後、発電量を示す表示装置は鈴虫の羽音に似た音を立てて反応した。隣で「成功ですよ!」と言ってくれたA社の担当者の言葉を聞いて、新井の緊張もようやく解けた。

あれから約10年。第一テクノはこれまで大容量のものを中心に約200件に及ぶ太陽光発電設備の仕事を請け負っている。当然新井はその中心で活躍してきた。

「何事も自分で理解できていないことはお客様にも説明できない。だから私たちは学び続ける必要がある。さすがにこの年になると、新しいことに挑戦するのは億劫だけど」。そう言って笑うが、好奇心は人一倍旺盛。第一テクノが今後新たな分野に臨む時、新井の存在は欠かせない。
『横浜こどもの国』では、今日も新井がつくった発電システムが太陽光エネルギーを生んでいる。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
卒業研究の実験において、なかなか答えが見つけ出せない時や困難にぶつかった時、どのように考え、解決すべきか、またそのためにはどんな行動をすべきかととことん考えた経験は少なからず今にも活きている。また、周囲の人と協力して何かをする楽しさややりがいというのも学生時代に知った。
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