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金融(証券・投資関連)
最終更新日: 2007/10/01
(マークの説明) 正社員 理文不問 老舗
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プロの仕事研究
断固として信念を貫き、経営者の信頼を勝ち取った資本政策アドバイザリーのプロ。
専門職系−金融系専門職
投資銀行本部 投資銀行第五部
戸田 成治 (32歳) Seiji Toda
入社9年目 / 商学部 出身

プロフィール
入社後、兜町支店(現:日本橋支店)に配属。個人向け営業として活躍。2004年4月に投資銀行第二部に異動。2005年10月、三菱UFJ証券の誕生とともに、投資銀行第一部へ。主に時価総額1000億円以上の上場企業を対象に、資本政策・財務政策のアドバイザリー業務に従事。現在は組織変更により第五部に在籍。

プロローグ
学生時代、ハリウッド映画を見て投資銀行の世界に魅せられた戸田。「自分もいつかあんな風に、かっこよくなれたなら…」。そして、その夢は叶う。だが、現実は甘くはなかった。さまざまな企業のオーナーや社長と対等に渡り合い、資本政策や財務政策のアドバイザリー業務を行う。それは、生半可な知識や論理では太刀打ちできないものだった。それでも、「この会社のために…、この人のために…」と考え、戸田は最適と思うアドバイスを投げかけてきた。

入社以来、戸田は兜町支店(現:日本橋支店)で個人向け(リテール)営業として活躍していた。「兜町と言えば、アメリカで言うウォール街といったところか…」。投資銀行本部への配属を夢見ながらも、日本のマーケットの中心で活躍できるという喜びを胸に、多くの取引を成功させてきた。そして2004年4月、戸田は投資銀行本部への切符を手にする。念願だったインベストメントバンカーへの道…、期待を抱きながら、戸田は新しいキャリアの扉を開いた――。

1年間の努力が実り、チャンスが到来する。 1
投資銀行本部に配属となり、戸田はA社へのアドバイザリー業務を担当することとなった。だが、A社とは、それまでの取引の中であまり良いリレーションを保てていなかった。しかし、戸田は怯むことなく、「それはそれ」と割り切り、A社の社長とコンタクトを取り続けた。社長といえども臆することなく面と向かう、という兜町時代に培った“度胸”がそこで活きていた。目先の状況よりも、社長の発言内容に着目し、社長が求めることの本質をつかむことに専念した。

A社以外の顧客も担当に持ち、投資銀行の世界に身を置いて早1年。ある日、戸田の携帯電話が鳴った。「戸田君、資本提携のことで相談したいんだが…」。A社の社長だった。ようやく大きな資本政策のアドバイザリーを行えるチャンスをもらい、戸田は嬉しかった。1年間の行動が評価されたと感じた。だが、その後、戸田とA社の社長は、真っ向から意見を対立させることとなる。

「これは、負け戦も同然だ」。 2
「社長、その意見には私は反対です!」。A社に訪問し、社長の話をひと通り聞き終えた戸田は、きっぱりと言った。社長の話によると、同業のB社との資本提携を考えているという。だが、そのためには、敵対関係にならないよう、いかにうまくB社の株を買うか、また、両社の株価レベル、ビジネス上のシナジー、投資家の反応など、検討すべき課題は山のようにあると思えた。さらに、社長の考えとしては、資本提携を果たした後、A社が業界内でイニシアティブをとる立場に躍り出る、というものだった。

「今、資本提携するのはタイミングが悪い。イニシアティブをとるどころか、今のままだとB社に吸収されてしまう。これは“負け戦”も同然だ」。確かにA社は売上高を見ても業界内でトップクラスの地位にあった。だが戸田は、A社はまだまだ企業として“足場”を固める時期、つまり資本提携よりも、企業基盤を強固にするための“資本調達”が先決だと考えていたのだ。しかし、社長はかなり乗り気で、断固として意見を曲げない。「なんとか、納得していただかなければ…」。その後、戸田はA社へ何度も通い、説得を続けた。

オフィスに響き渡った、戸田と社長の怒号。 3
「それでも、うちの会社を理解しているつもりなのか?!」 「はい、だから、今はそのタイミングではないと申し上げているんです」。――A社の社長室で、戸田と社長が怒鳴り合う声が聞こえた。その声は壁を越え、オフィス中に響き渡っている。資本提携で話を進めたい社長。一方で、“資本調達案”を突き通そうとする戸田。社長と大きく意見が食い違っていることに気づいた最初の日、それから数日間、戸田は社長と議論を交わし、提案を続けていた。だが、溝は埋まらないまま今日まで至っていた。社長室には重たい空気が流れる。沈黙していたかと思えば、半ば感情的になり、意見をぶつけ合う。だが、戸田は意見を曲げなかった。

「今後のマーケットのことを思えば、A社の株主、そして何よりA社の将来の成長を鑑(かんが)みれば、資本提携は命取りになる」。社長の意見に同調すれば、話はスムーズに進むと予想された。戸田自身の利益を優先的に考えれば、そうする選択肢もあった。だが、戸田は自分の意見を曲げるわけにはいかなかった。「社長には、解ってほしい…」。その日、社長と激しい議論を繰り広げた戸田は、A社を後にした。

信念を貫いた先にあった、“信頼の証”。 4
翌日、社長への想いが伝わらない状況の中、戸田の心は晴れやかではなかった。そんなとき、戸田の携帯電話が急に鳴った。「…戸田君、昨日は申し訳なかった。君の言うとおりかもしれない」。これまで戸田が続けてきた提案、社内のアナリストたちからデータを収集するなどして戸田が予測したA社の将来…、それらを踏まえてもう一度考え直した社長は、戸田の意見に賛成してくれたのだ。最初の電話から始まって、1ヶ月。その間、ときには沈黙が流れ、ときには感情的に激しい議論を戦わせた戸田と社長。だが、最後に戸田の想いは確実に社長に伝わっていたのだ。

その後、戸田が提案した資金調達の案で、話は本格的に進み、三菱UFJ証券はA社から当該業務に関する正式な委任状を受けることとなった。それは、最後まで信念を貫き通した戸田に寄せられた、“信頼の証”そのものだった。「ビジネスの基本は“信頼関係”」。投資銀行の世界でも、支店時代でも、それは変わらないことを戸田は痛感していた。

エピローグ
「非常に精神的にタフでなければ乗り越えられない状況でした。マーケットや投資家、A社を大きく左右する仕事の一端を担っていることを強く意識する瞬間でした」と当時のことを振り返る戸田。「A社のために…、社長に納得してもらうために…」。その想いが戸田をずっと突き動かしてきた。

将来の夢を戸田はこう語る。「かっこいいことを言うと、マーケットを動かせるような責任あるポジションに就きたいですね」。たとえば、業界全体に影響を与えるような大型の取引、それを自分の力で成功させたいという。学生時代に夢見た投資銀行の世界。その世界で、さらなる飛躍を誓い、そう遠くはない夢を見る戸田がいた。
昼夜を問わず、電話が止むことはない。多くの社長やオーナーとトップシークレットに関わるやり取りが繰り返される。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学時代、国際金融論のゼミで学ぶ。毎年、各学年の代表であるゼミ長を務め、メンバーをまとめた。ディスカッションや勉強会などのとりまとめを通じて、統率力や問題発見力、問題解決力などを磨いた。そのことは、現在の仕事においてもベースとして役立っている。
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