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情報・通信(ソフトウェア開発)
最終更新日: 2008/08/21
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プロの仕事研究
お客様へ逆提案することで、使いやすいシステムの改良に成功したシステム改善のプロ。
ソフトウェア系−システムエンジニア(オープン、WEB系)
東京事業所 システム開発本部 第3グループ
古矢 仁志 (38歳) Hitoshi Furuya
入社6年目 / 二松学舎大学 文学部 国文学科 出身

プロフィール
大学卒業後、自主映画を製作したり、ライターとして執筆したりと、多彩な活動を展開。その後、知人の工場で社内SEとして働いたことがきっかけとなり、エンジニアの道に目覚める。独学で知識を蓄えたのち、IT業界へ飛び込む。SEとして活躍するなか、アワーズを知り、2002年12月に転職。現在に至る。

プロローグ
新しいプロジェクトが始動して、わずか1週間。早くも古矢は悩んでいた。

「このまま、お客様の要望通りに進めるべきか。それとも…」。

入社3年目の頃、東京事業所のリーダーを任されるまでになった古矢。そんな古矢に託されたのは、工作機器のアフターサービスを手がける企業の販売・修理管理システムの改善プロジェクトだった。すでに3年前に開発されたシステムで、これらをより使いやすくするために機能追加を行なうのが古矢のミッション。システムはかなり大規模で、組み込まれている各機能もやや複雑。だが、すでにお客様先に納品されているということもあって、メンテナンスもそれほど難しくはないだろうと思っていた。

しかし、蓋を開けてみると、想像以上にプログラムが複雑に絡み合っている。明らかにテストが不十分である箇所も見られ、お世辞にも完璧なつくりとは言えない。お客様から言われた部分だけ直すことはできたとしても、このままではこのシステムを長く使うことは難しい。プロのエンジニアとして仕事に妥協はしたくないと、頭を抱える古矢。そこで、思い切ってある提案をすることにした。

システム改善とは、いわば“住宅リフォーム”。 1
「最近、システムの調子が悪くて…。どうにかならないだろうか」。

そんなお客様からの問合せが、ことの始まりだった。依頼主は、工作機器のアフターサービスを展開している企業。3年前から使用している社内向け販売・修理管理システムの機能改善・機能追加を行なって欲しいと、アワーズのもとへ依頼が舞い込んできたのだった。

システムの機能改善・機能追加は、いわば住宅リフォーム。すでに完成している建物に、お客様の要望に応じて新しいオプションを追加したり、部分的な修理を施したりするように、システムにおいても環境や組織の変化に応じたメンテナンスが必要になってくる。そこには、お客様の声を反映することはもちろん、メンテナンス後に長く使っていただけるような工夫を凝らすことがエンジニアに求められる。そこで、エンジニア経験も長く、豊富な知識を有する古矢に白羽の矢が立ったのだった。前職ではリーダーとして活躍していた時期もあり、腕には自信がある。「依頼には、期待以上の成果をだす」。そんな意気込みは、どんな状況下でも共通だった。

要望を反映させるだけでは、根本的な解決にならない。 2
システムは3年前に別の会社が開発したものであり、当然ながら当時の仕様書や開発に携わったメンバーの話を聞くこともできない。事前情報もないところから、自らの経験でシステムの癖を掴んでいくしかない。まずは、そんな地道な作業から始まった。

すると早速、大きな課題が見つかった。それは、アフターサービス会社が修理を承った際に指示書を発行するシステム部分。これまで紙で管理していたものをコスト削減のためにデジタル化したものだったが、データで管理するがゆえに、チェック漏れや発行の二度手間を引き起こしてしまうような仕組みになっていたのだ。「これでは、単に負荷がかかってしまうだけだ。しかも、これによって、システム全体を複雑化させてしまっている…」。古矢は、この欠点を見逃さなかった。

これこそが、システムの使いづらさの要因の一つだった。正直なところ、お客様はここまでの改善は求めていない。「いま不備がある箇所だけを一つひとつ直してほしい」。そんな要望だった。しかし、この部分を放っておいては、どんなに他が完璧でも、またトラブルが起こってしまう。古矢は、この事実を思い切って直接伝えることにした。

思い切った逆提案に、思わず熱が入る。 3
「これでは、同じことの繰り返しになりかねません。まずは、この部分を直しましょう」。

お客様を前に、古矢は熱弁した。現時点のシステムでは仕組みが懲りすぎているゆえ、逆に負荷がかかってしまっていること、そのためにシステムが複雑化しトラブルを誘引してしまっていること、そして部分的な修正では根本的な解決につながらないこと。一つひとつを丁寧に説明することで、いかにシステムが本来のチカラを発揮できていないかを訴えた。それは決して、現状に対する不満ではなく、今あるものをよりよく使うための提案。そんな前向きな意見に、お客様も首を縦に振らずにはいられなかった。

「ぜひ、それでお願いします!」。

お客様の快諾は、古矢に対する期待の表れでもあった。早速、新たなシステム改善に取り組む。膨大な時間がかかると判断し、開発要員を10名に増やして対応に徹した。仕組みを調査し、課題点を洗い出す。改良したプログラムを導入し、入念にテストする。この繰り返しである。全ては、お客様の期待以上の成果を残すため。迫る納期に向け、パソコンと向き合う日々が続いた。

ユーザー視点を極めることが、成果に直結する。 4
プロジェクトの始動から4ヶ月。まずは、一番最初に問題視していた部分の改良が完了した。そこには、複雑に絡み合ったシステムではなく、情報交換がスムーズに行なえる実にシンプルなシステムが完成していた。使いやすさを第一に考え、無駄な部分は一切排除。すっきりと洗練されたシステムに対する評価は、実際にシステムを使うユーザーからも上々だった。

「さすが!古矢くん、やるじゃないか!」

システムの改善を受けて、お客様からは直接お褒めの言葉をいただいた。依頼をそのまま受け取っていたら、ここまでの成果と感謝は得られなかっただろう。システムを使う側の立場になり、物事の本質を見抜くこと。これが、今回の勝因である。

しかし、まだまだこれは序章に過ぎない。ここで乗り越えた壁は氷山の一角であり、この先にもたくさんの難題が待ち受けている。ここで得た自信を糧に、古矢は果敢に挑戦しつづける。お客様が本当に必要としているシステムを生み出すために――。

エピローグ
「システムだって、“シンプル イズ ベスト”。最近は、新しい技術もどんどん出てきて、凝ったつくりのシステムが多いけれど、一番大切なのはユーザーにとって使いやすいかどうか。仕組みがシンプルなものは、使う側にも分かりやすく、何より長く使ってもらえる。僕は、それを追求したいんです」。

古矢の仕事に対する考え方は、この言葉に集約されている。確かに、高度な技術ばかり使っていても、ユーザーにやさしくなければ意味がない。その本質を理解しているか否かが、システムの質にも関わってくるのだ。現在は、約20名で構成されるチームを統括し、メンバーからの信頼も厚い。その姿勢は、確実にチームメンバーにも浸透している。
東京事業所のコアメンバーとして活躍中の古矢。「プロジェクトのマネジメントだけでなく、若手の教育にも注力したい」と語る。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代は、バンド活動に明け暮れる日々。軽音楽部の副部長を務め、約50名のメンバーを纏めあげていた。その時に培われたのは、さまざまな個性を持つ人々と話し合いを進めるコミュニケーション能力。イベントがある際は、周囲の意見を聞きつつ、自ら率先してアイデアを発信。これらの経験が現在の仕事にも息づいている。
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