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情報・通信(ソフトプロダクト開発(パッケージ商品)) / サービス(専門コンサルティング(情報通信系)) / 情報・通信(ネットワーク・通信技術)
最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
インド人開発チームと連携し、海外製品の日本導入を成功させたブリッジSEのプロ。
ソフトウェア系−ソフトウェア系その他
テクニカルコンサルティング部/テクニカルエンジニア
吉村 明洋 (34歳) Akihiro Yoshimura
入社4年目 / 明治大学 法学部 法律学科 出身

プロフィール
テクニカルエンジニアとして、主に自社開発製品のローカライズ(日本語化)や販売促進、サポートを手がける。インドの開発センターと日本人ユーザーとの橋渡し役、ブリッジSEとしての役割も担い、幅広く活躍中。現在、新入社員を含めて5人のチームメンバーを率いる、プロジェクトリーダーである。

プロローグ
ネットワーク管理ソフトを手がける米国AdventNet社。その日本法人であるアドベントネットの主な事業は、米国で製品化された自社ソフトを日本市場へ導入することだ。インドに開発センター、中国にもオフィスを構える国際的IT企業である。

「情報処理の仕事か…やったことないけど、おもしろそう」。学生の頃、最先端技術に興味を持ち、未経験でSEの世界に飛び込んだ。20代で勤めた保険・証券会社では、社内システム構築を担当。ITの奥深さを知り、より専門的な技術に興味を抱く。「独自の強みがある自社製品を扱う仕事をしたい」。2005年夏、こうして吉村は自社製品を多く持つアドベントネットへ転職した。

2005年12月。米国AdventNet社の製品“ManageEngine”シリーズの一つ、ヘルプデスク構築に用いられる“ServiceDesk Plus”ソフトの日本導入が決まった。このプロジェクトにおいて、吉村はインド人エンジニアと日本人ユーザーを結ぶ橋渡し役を担うことになる。吉村は意気込んだ。「このソフトが売れるかどうかは、自分の腕にかかっている。絶対に成功させるぞ!」。

吉村の手腕が、ソフト売り上げの明暗を握る。 1
早速、ローカライズ(日本語化)が始まった。画面上の言語を英語から日本語に翻訳することはもちろん、日本語入力を可能にする等、プログラムを日本専用の仕様に作り直す。実作業は、インドの開発センターで働く“ManageEngine”開発チームに委託。チーム編成は全員、ITを極めたインド人のエンジニアだ。吉村の仕事は、作り直されたプログラムの運用試験。バグや不具合の修正を依頼することで製品の完成度を上げていく。

インドへの連絡は、全て英語でのメールやチャット。文中で1語でも間違えば、重大ミスに繋がる恐れもある。「aの条件でbの操作を行なうと、エラー表示が出ます。原因としては、cのプログラムの異常が考えられます」。このような単純な文章を作るのにも、辞書で必ず単語の意味を確認する。日本に常駐しているインド人エンジニアにインド特有の英語を教わりつつ、注意深く作業を進めていった。

インド人開発チームとの間に感じたのは、物理的な距離だけではなかった。 2
2006年6月、半年かかったローカライズがついに完了。“ServiceDesk Plus”は無事に日本での発売を迎え、まずはほっと胸をなでおろした吉村。が、もちろんこれで吉村の仕事が終わったわけではない。

次の仕事は、“ServiceDesk Plus”を購入したユーザーへの技術的サポート。『アプリケーションが起動しない』『文字化けが起きた』等のヘルプメールが、1日に5件は届くようになった。自社のパソコンで一つひとつのトラブルを再現し、原因を探り、対応する。しかし、吉村1人の力では限界があった。操作や仕様の説明ならともかく、バグ等プログラム異常の問題を解決するには、インド人開発チームに修正プログラムの作成を依頼しなければならない。

『修正プログラムは、まだ完成しないのでしょうか?』。お客様からのメールを読んで、吉村はため息をついた。「また、お客様をお待たせしてしまっている…」。このところ、開発チームに修正プログラムの作成を依頼すると、必要以上に待たされる。他業務に比べて後回しにされているとしか考えられなかった。吉村はお客様に申し訳ないと思うと同時に、開発チームに対し苛立ち、疑問を覚えることが増えていった。「今現在、お客様が困っているのに、なぜ最優先で対応しないのだろう?」。

安易な優先順位づけが生んでしまった、悪循環。 3
「できるだけ早く、修正プログラムを作ってください」。最初は、繰り返し要望を伝えるほか何もできなかった。しかし、インド人開発チームと日本人ユーザー、双方の意見を聞くうちに、吉村には問題の原因が少しずつ見えてきた。それは、立場の違いが生んだ、小さな溝だった。

大手競合ソフトの存在により、日本で発売したばかりの“ManageEngine”の販売は苦戦を強いられていた。日本人ユーザーは、同種のソフトを見比べ、より優れた製品を常に求めている。サポートへの要求レベルも高い。しかし、このことを開発チームの立場から見てみると『日本製品は、販売数が少ない割にサポートが大変』とも言えるのだ。他製品の開発業務も同時に抱えた開発チームは、日本製品のサポートをつい後回しにしてしまっていた。

「悪循環だ…」。販売数が少ないことが、業務の優先順位を下げる。そのため十分なサポートが実現せず、品質も上がらないため販売数がますます伸び悩む。この悪循環を断ち切るために何ができるのか。吉村は考え、一つの結論を出した。「インド人開発チームと日本人ユーザー双方の立場を理解する、アドベントネットのSEにしかできない仕事をしよう」。

コミュニケーションが、新しい品質を作り出した。 4
吉村のメールに変化が起きた。「“ManageEngine”の機能を使って、こんな事業を行ないたいとお客様は考えています。そのために、修正プログラムがどうしても必要なのです」、「サポートも“ManageEngine”の大切な品質です。皆さんのスピーディーなサポートがあれば、日本での売り上げアップが見込めます」。開発チームに対し、プログラムの問題点だけではなく『要望の背景』まで細かく伝える文面。それまでの業務を通して語学力も身につけた吉村は、開発チームとの距離を少しずつ縮めていった。

その成果は、決して劇的に現れたわけではなかった。けれど、開発チームの日本製品への対応が大幅に遅れることは、いつしかなくなっていた。購入を検討するお客様からの問い合わせも、発売当初とは比べ物にならない程増えた。日本での“ManageEngine”の売り上げは、少しずつ、しかし確実に上向いていた。スピーディーなサポート対応、要望の背景を汲んだプログラム作成による機能性の向上が、コストパフォーマンスの高さとしてユーザーに評価された結果だ。

『機能にもサポートにも満足。御社のソフトを導入して良かったです。ありがとう』。ある時、ヘルプメールに紛れて届いた、お客様からの感謝のメール。受け取った吉村の顔には、思わず満面の笑みが浮かんでいた。

エピローグ
“ManageEngine”シリーズの品質向上に大きく貢献した吉村。与えた影響は、一プロジェクトに留まらない。アドベントネットの未来において、なくてはならないインド人ITエンジニアとのより良い関係性。これを形成したのは吉村のコミュニケーション力だと言っても、過言ではないのだ。

吉村の今後の目標は、“ManageEngine”シリーズのローカライズをさらに進めること。「インド開発センターとの関係をさらに強めて、自社製品のシェアをIT業界の中で確固たるものにしたい。そして、いつかはアドベントネットの名を世界中に広めたいですね」。自社製品に自信があるからこそ、大きな希望を抱くことができる。
「担当する製品以外にも、情報は積極的に伝えあい吸収しようとする社風。孤独な作業ということは全くないんですよ」。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
コツコツと技術を身につけることが得意で、手品サークルの活動では発表のために何ヶ月も前から練習を重ねた。現在の仕事でも、一つのことに特化した技術以外に幅を広げたいと考え、自ら情報処理関係の資格を複数取得してきた。豊富な知識が、立場の異なる人と人を結びつけるコミュニケーション力を支えている。
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