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情報・通信(ソフトプロダクト開発(パッケージ商品)) / サービス(専門コンサルティング(情報通信系)) / 情報・通信(ネットワーク・通信技術)
最終更新日: 2007/10/01
(マークの説明) 正社員 外資系
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プロの仕事研究
「甘えを許さない終身雇用」を掲げ、設立以来連続黒字を達成している会社経営のプロ。
その他−その他
代表取締役社長
山下 義人 (52歳) Yoshihito Yamashita
入社8年目 / 早稲田大学 理工学部 電気工学科 出身

プロフィール
某情報システム開発会社に勤めていた頃、取引先のアドベントネットアメリカ法人のトップに、アドベントネット日本法人立ち上げの話を持ちかけられる。同社のビジョンに将来性を感じ、快諾。山下を含め、社員5名で日本法人を設立した。現在、人事・経理・財務・営業・技術…と何でもこなす、技術出身の経営者である。

プロローグ
自社製ソフトウェアパッケージの開発・販売・サポートに加えて、ITコンサルティングを行っているアドベントネット。アメリカに本社をおく同社は、世界中の大企業にネットワーク管理システムなどを提供しており、企業を始め社会全体のIT化に貢献している。まだインターネットが普及していなかった1990年代初めから、インターネットが情報ツールの主流になると予測を立て、ビジネスを展開してきた企業だ。

「日本法人を立ち上げてくれないか?」。2001年の冬も終わる頃、同社のトップであるトニー・トーマス、そしてベンブ・シュリダーが食事の席で山下に言った。当時、某情報システム開発会社に勤めていた山下は、海外企業との仕事が多く、アドベントネットもそのうちの1社だった。トップ二人とは普段から親交があったとはいえ、この一言は突然だった。驚きながらも、アドベントネットの将来に可能性を感じていた山下はすぐに快諾した。制度も顧客も、ましてやオフィスの場所も何も決まっていないゼロからのスタート。そんな状態から、設立以来途切れることなく連続黒字を現在まで保ち続けている。しかしその道のりは、決して平坦なものではなかった。

何もかもハンドメイドの会社作りは、楽しくて仕方がなかった。 1
2001年9月6日。『コストパフォーマンスの高いソフトウェアを日本市場に提供して、社会に貢献する』というミッションのもと、日本に新たな株式会社が誕生した。アドベントネット日本法人だ。同社には、アメリカ法人という大きなバックボーンがあったが、それを頼りにするつもりはさらさらなかった。山下を慕って以前の会社を退社してきた部下4名を加え、社員は合計5名。「自分たちの手で自分たちの会社を作ろう!」。その想いのもと、アドベントネット日本法人はスタートした。

資本金は3000万円。限られた予算内で、いかに無駄のない経営を行うか。それが設立時のミッションとなった。パソコンは自作、オフィスの棚は中古品、事務用品はすべて激安ショップで買う。経費を最低限に抑え、まさに手作りのオフィスとなった。他にも、新規顧客の開拓、顧客基盤の確立、製品の輸入業務・ローカライズ、社内システムの構築、人材戦略、教育…しなければならないことは山ほどあった。人事も経理ももちろん会社経営も初めての経験だったが、片っ端から本を読み、知人に聞くなどして知識を貯めた。休日も返上して、営業や制度確立のために日々奔走する山下。その顔は充実感で満ちていた。

設立1年目のベンチャー企業とは思えない、好調なスタートを切る。 2
まず山下は、顧客基盤を確立すべく、企業や販売店などと代理店契約をするパートナー開拓に奔走した。商品を販売する場所や機会をより増やすためだ。電話や訪問、時には飛び込みまであらゆる手法で営業を行い、顧客基盤を順調に築いていった。社内制度では、週に1回全員参加のミーティングを設けた。会社の経営状況・各種ステータスの共有や、社員の考えを聞き、社内での情報の行き違いや誤解を防ぐためだ。また、社内コミュニケーションを活発にするため、飲み会、有名テーマパークツアー、テニス大会など、様々なレクリエーションを山下が率先して計画した。社員のモチベーションを上げるため、昼食費補助、フリードリンクサービスなど福利厚生の充実も怠らなかった。このような施策はすべて、『社員がずっと働きたいと思える会社』にするためだった。

2002年4月。初の決算は、黒字。ベンチャー企業としては快挙と言える好スタートだった。この成果を称え、韓国旅行を社員全員にプレゼントした。しかし、初年度の黒字に満足する山下ではない。「企業なら、前年より利益を出さなければならないのは当たり前だ」。次の戦略――ビジネスの拡大に踏み切った。4名の部下たちもそれに賛同し、様々な方向から投資を始めた。まずは人材戦略。新たな人材を採用すべく求人を始める。次に、新規顧客開拓。商品の価格を一定期間安くするなど様々なキャンペーンや広告を打ち出す。その結果は…。

売上に見合わない投資。利益は減っていく一方だった。 3
「大赤字だ…」。設立2年目の秋、アドベントネットは初めての経営難に直面してしまった。投資に対して見込んだ売上が出ない。新たに採用した人材は、なかなか育たない上に、数ヶ月で辞めてしまう人もいた。広告も効果はなく、資本金は減っていく一方…。この泥沼から抜け出すべく、山下は改善策を打ち出した。

まずは、賞与の額が業績の良し悪しに応じて変動する業績連動型にした。その頃から、社内ではある考え方が浸透し始めていた。『甘えを許さない終身雇用』。成果は、年功序列ではなく、実力に応じて正当に評価する。しかし、『長く働きたいと思える会社』にすることが、社長である山下や企業の役目だ。勤続年数が長い社員には、相応の報酬となるように退職金制度を設けた。積み立てはすべて外部機関に任せ、アドベントネットに何があっても社員に不利益が起こらないようにした。また、改革を進める中で、山下には気をつけていたことがあった。「こんな制度を設けようと思うんだけど、何か意見はある?」。社内体制を変える際、事前に社員に意見を聞き、経緯や詳細を説明していたのだ。これにより、社員の不満は早い段階で解消できた。こうして、日本企業の長所とグローバルスタンダードを融合した新日本型企業として、アドベントネットは独自のスタイルで歩き始めた。

決算期、フタを開けてみると…。 4
2003年に入り、売上は驚異的に伸びていった。新人の成長や、販売促進の効果が売上につながるなど、投資の成果が現われ始めたのだ。また、早い段階から社内体制を整えていたおかげで、社内で待遇面などの余計な混乱やもめ事が起きることはなかった。社員全員が「自分が会社を支えたい。会社を大きくしたい」という一つの目標に向かって一丸と頑張ることができたのだ。2003年4月。そんな社員たちの協力のおかげで、アドベントネットは大赤字の危機を乗り越え、黒字決算をたたき出した。その結果、社員たちは2度目の報酬旅行・台湾を満喫することができた。

それから3年後の2006年11月。南太平洋に浮かぶリゾート地セブ島。そこには、設立以来連続で社員旅行を楽しむ山下と社員たちがいた――。

エピローグ
「仕事をしているという感じはしませんね。毎日が楽しいです」と、日々の充実を語る山下。現在、新しいオンラインサービス事業『Zoho』の立ち上げを始め、営業・技術双方に携わっている。また中国法人の支援、台湾法人の立ち上げなど、世界中を飛び回っている。

2年目に導入された制度は、カスタマイズを続けながら、現在も運用されている。「当社は未完成。人間でいえばまだ小中学生です。今後、どんどん成長していきます。新入社員の方と共に、今の制度をさらに充実させて多くの企業にモデルにされるような会社にしたいですね」。アドベントネットの歴史は、まだ始まったばかりだ。
インド人の技術者たちと。「インドの開発拠点はよく訪問しています。たまに観光もしますよ。この前はテニスもしました!」。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代は、イベントを主催した。大きなイベントホールを貸し切り、たくさんの人を集めた。何事にも物怖じせず、新しいことにチャレンジする姿勢は、会社設立や新規事業の立ち上げの際にも活きている。また、若い頃に始めたテニス、ヨット、スキーは、現在も続けており、おかげで社員の誰よりも元気だと社内では評判だ。
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