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メーカー(化学・ゴム) / 商社(専門商社(化学・石油))
最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
4度目の成長チャンスを掴み、不織布事業の存在感を示した営業のプロ。
営業・販売系−営業(法人・新規開拓が中心)
第二事業部 営業三課
新谷 城 (28歳) Jo Shintani
入社5年目 / 法政大学 経営学部 経営学科 出身

プロフィール
衣・食・住に関わる仕事を志望していた就活中、出光ユニテックを知る。入社の決め手は先輩社員。年齢は1歳しか変わらないのに、自社製品を詳細、且つイキイキと語る様子は、新谷に衝撃を与えた。「1年で、ここまで成長できるものか…」。入社後は、容器・フィルムの営業、配送業務を経験。現在は不織布の営業に従事する。

プロローグ
「これ、いいね!」。その言葉を聞いた瞬間、新谷は心の中で両手を頭上高く突き上げていた。

このとき、新谷は4度目の成長チャンスに対峙していた。1度目は入社時だった。化学の専門用語が、全く理解できなかったのだ。2度目は、入社2年目の頃。大手取引先を担当するプレッシャーに、押しつぶされそうになった。3度目は、入社3年目の春。不織布の営業という、新たなミッションに就いたときだ。そして4度目。不織布事業の今後の行方を占う、大型案件を抱えていた。成約は目前。しかし、対する家具メーカー・A社は、なかなか首を縦に振らない。そんなA社を成約へと動かしたのは、新谷の熱意。そして、彼を強力にサポートした出光ユニテックの人々だった。

成約の数ヶ月前。1通のメールが、営業として新谷を大きく成長させる、大型取引の始まりを告げた――。

降って湧いた、大型取引の予感 1
「ぜひ、御社の不織布をご紹介いただきたく…」。

2007年2月。1通の問い合わせメールが、不織布事業部のもとに届いた。差出人は、家具メーカー・A社。大手の生活用品小売チェーンにベッドのマットレスを卸していた。ちょうど予定が空いていた新谷が担当となり、電話をかける。すると「さっそく明日、来ていただけませんかね?」と言う。A社までは、片道2時間かかる。やっとの思いで到着し、電話で話した男性と名刺を交換すると、なんと社長であった。めったに物怖じしない新谷も、このときばかりは緊張が走った。しかしやがて、緊張は興奮へ変化する。

新谷は、質にこだわり抜くA社の姿勢に、同じ製造業に従事する者として深く感銘を受けていた。不織布を使用するのは、マットレス内部のスプリング部分。不織布でスプリングを包むことで、ギシギシというきしみ音が軽減される。それまで使用していた不織布は、きしみ音は軽減できるものの、不織布がすれる摩擦音が生じていた。その点を改善すべく、A社は出光ユニテックに辿り着いたのだった。また、取引額の大きさや契約期間の長さも、営業としては大きな魅力だった。白熱して話し込むこと数時間。社長は右手を差し出した。「ぜひ、一緒に仕事しましょう!」。新谷は、その手を力強く握りしめた。

「あと1円」――熾烈な条件交渉。 2
「こんな高額の取引、不織布事業部では初かもしれない…」。

意気込んだ新谷は、すぐさま条件面の交渉に入った。提案していた不織布は、元々A社が使用していた他社の不織布より高額だった。「1キロ当たりあと1円、安くできませんか」。たった1円の差も、取引全体では数十万円の差額を生む。新谷は、利益だけを追求していては、製品の質を保証できないと考えていた。「この条件なら、少しですがお安くできますが…」。互いに納得できる着地点を探し、交渉は続いた。ついに新谷の粘り強い交渉の成果が出たのは、最初の訪問から2ヶ月後。値段を当初よりも抑える代わりに、3ヶ月分ずつまとめて製造し、完成した製品はA社自ら引き取りに来ることになった。

次なる工程は、製品サンプルの提出。出光ユニテックの不織布を使用し、ベッドが試作された。5月初頭、新谷はサンプルを提出。「これで、成約だ!」。そう信じて疑わなかった。ところが、返ってきたのは意外な答えだった。「…これではだめです」。接着面の強度が十分ではなかったのだ。新谷は落胆の色を隠せなかった。

新谷の熱意は、社内のエキスパートたちを本気にさせた。 3
「どうしたら、ご納得いただけるだろうか…」。

行き詰まった新谷は、ふと、先輩営業に相談を持ちかけた。「その分野なら、技術係長と工場課長はエキスパートだよ」。思いがけず、身近に解決の糸口はあった。周囲も、新谷の熱意と取引規模の大きさに湧き立った。「新谷、思い切りやれよ。この仕事、成功させようぜ!」。

技術係長と工場課長の多忙なスケジュールを調整し、A社への訪問を設定。社長からの質問を想定し、綿密にデータの準備を行なった。提案したのは、接着の箇所・温度・圧力などの詳細設定と、不織布のグレードを上げること。これは、工場の協力なくして実現できるものではない。提案した不織布の製造は、通常グレードの約4倍の時間を要するからだ。だが、工場課長からメンバーに協力を仰いでもらい、なんとか製造ラインを確保できた。

それまで、新谷が周囲に協力を仰ぐことがなかったのは、「自分が目立ちたい」という気持ちがどこかにあったから。だが既に、その気持ちは消えていた。あるのは、良質の製品を提供したいという熱意。その熱意が周囲を動かし、成約の可能性は大きく広がっていた。データで裏付けされた提案に、社長の不安も払拭されたようだ。ついに、2回目のサンプル提出のチャンスを獲得できたのだった。

2度目のサンプル提出…その結果は。 4
「これ、いいね!」。社長はついに口を開いた。

6月初旬。グレードが高く、柔らかな風合いの不織布を使ったサンプルが完成。社長に加え、A社がベッドを卸す生活用品小売チェーンの担当者も立ち会い、品評会が行なわれた。マットレスを手で押し、腰かけ、じっくり精査する社長の顔は、次第にほころんでいった。「よし…!」。新谷は平静を装いつつも、心の中では両手を天高く突き上げていた。「新谷、よくやったな!」。会社に戻ると、誰もが温かく祝福してくれた。新谷は改めて、社内のエキスパートたちの威力を実感した。

不織布事業に携わって、約1年。当初は、まだ発展の可能性を秘めた段階であった。しかしこの取引成約は、新谷にとっては4度目の成長チャンスとなり、出光ユニテックにおいては、不織布事業の存在感を十分に示す出来事となったのだった。

エピローグ
「ここまで思い入れが強い仕事は、正直、初めてだったかもしれません」と笑う新谷。

A社が出光ユニテックを見つけたのも、担当になったのも、全て偶然だった。しかしその偶然が、仕事への取り組み方さえ変えてしまった。「営業は、いわば指揮者なんです」。自分自身が表舞台に立つ俳優になるのでなく、起用する人物を決定し、グランドデザインを描く。且つ、面白い仕事相手という存在でなくてはならないのだ。

社内外問わず、誰からもそう思われる営業になることが、新谷の次なる目標。躍進は、まだ止まらない。
「後輩も先輩も、切磋琢磨する仲間。失敗も含め、自分の経験を語っていきたい」と語る新谷。快活な声がフロアに響く。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
目上の人とのやり取りも多い、現在の仕事。求められるのは、物怖じせずに意見を伝える姿勢だ。新谷のその姿勢を培ったのは、学生時代、数多く経験したアルバイト。港での輸入品の荷降ろし、家庭教師、高層ビルのゴンドラ清掃、引越し、道路工事…と数多くのアルバイトを経験し、幅広い年代の人と関わった賜物だ。
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