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メーカー(化学・ゴム) / メーカー(半導体・電子・電気部品) / メーカー(インテリア・建材・住宅設備)
最終更新日: 2007/11/19
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プロの仕事研究
高品質の『フィルムマスキングテープ』を世に送り出し続ける、研究開発のプロ。
技術系−応用研究・技術開発
研究開発本部 製品開発研究部 製品開発研究課
青木 伸悟 (34歳) Shingo Aoki
入社12年目 / 工学部 応用化学科 出身

プロフィール
1997年入社。入社後、電機・電子業界に特化した開発グループに配属となり、サンプル試作や試験データの収集を行なう。入社4年目に『フィルムマスキングテープ』の開発担当となり、ユーザーの要求に応じた標準品のカスタマイズ設計に注力。現在は、全く新しい粘着テープの開発を手掛けている。

プロローグ
就職活動中に寺岡製作所と出会い、製造販売している粘着テープの多彩さに驚いた。粘着テープといえば生活に身近なセロハンテープや両面テープなどの文房具のイメージしかなかった。だが寺岡製作所の製品ラインナップはそうした身近にある粘着テープばかりではなく、例えば産業用の表面保護粘着テープや電機・電子業界向けの絶縁用粘着テープ、製造工程用粘着テープと多岐にわたっている。数にして約800品種、しかも品種それぞれに厚さや色などによるバリエーションがあり、その総数は約3000アイテムにも達する。

蓄積された技術と歴史に裏打ちされた製品群を前に、「こうした製品の開発に携わりたい」と考え、青木は寺岡製作所への入社を決めた。入社後の技術研修では粘着テープの測定評価方法から、テーブルサンプルの試作方法まで基礎を幅広く学んだ。そして配属になったのは電機・電子部品向けに特化した開発グループだった。粘着テープのベースとなる基材や粘着剤など材料の選択肢が広く、青木はそのおもしろさに魅せられていく。そして入社6年目、青木は一つの開発案件を手掛けることになる。設計者の“感性”が反映される製品開発とは―――。

「標準品でのテストでは、不具合が出てしまう…」。 1
「新しい工程で標準品をテストしてみたが、不具合が出てしまう…」。営業担当者を通じてユーザーの声が伝えられたのは青木が入社6年目のことである。ユーザーは某大手電子部品メーカー。寺岡製作所の、電子部品の製造工程に使われる『フィルムマスキングテープ』を使っているが、新たな工程では、標準品で要求を満たすことができず「早急に改善して欲しい」という話だった。

この話を受け、青木は営業担当者とともに詳細を聞くため、ユーザーの技術担当者に会いに行った。ある微細な部品をテープで搬送する際、標準品のテープの厚みでは部品の重さを支えきれずにたわんでしまうとのこと。また透明であるため、テープの存在そのものが分かりづらく、「厚みがあり、さらに色のついたテープを作って欲しい」ということだった。青木は「ご要望にはお応えできると思います」と即答した。これまでに幾度となくユーザーの要求に応じて標準品をカスタマイズしてきた経験がある。ユーザーの要求を満たすにはどうすべきか、青木には閃くものがあった。

積み重ねた経験から生まれた解決の糸口。 2
そもそも『フィルムマスキングテープ』とは、電子部品の製造工程向けに設計されたエンジニアリングプラスチックフィルムの粘着テープである。主に製造工程において、微細な部品の表面保護や、粘着面に部品を載せて搬送に用いられるほか、例えば粘着面に複数のパーツに分かれた部品を載せ“その位置のままで”組立ての工程に入るなど、非常に繊細な使われ方もされる。この使い方は、貼り付けたら、当然、はがれることが求められる。テープの特徴は何といっても“微粘着”にある。貼り付ける相手が非常に小さく、傷つきやすい物のため、はがす時の衝撃で電子部品が壊れてしまうことがあるからだ。しかし粘着性と剥離性(はがれやすい性能)は相反する関係にあり、そのバランスを両立させることは難しい。

青木がこの『フィルムマスキングテープ』の製品担当になったのは、遡ること約2年。当時、青木は先輩社員のもとでサンプル試作のアシストや試験データのとりまとめを行なっていた。製品の主担当になるのは『フィルムマスキングテープ』が初。もともと前任者が開発した製品だったため、引き継いだ当初は「前任者の代わりが務まるのか…」と、プレッシャーを感じた。青木は全面的に引き継いで標準品のカスタマイズを手掛け、その約2年間の経験を通じて、このテープの特性に関する知見を深めてきていた。だからこそユーザーの要求に対して解決の糸口を見出すことができたのである。

設計者として培った“感性”を、製品性能に反映させる。 3
今回のユーザーがテストに用いたのは“フィルム厚38ミクロン”(1000分の1ミリメートル=1ミクロン)のタイプ。ユーザーは、厚みは足りないが粘着性には満足していた。そこで青木はテストに用いた標準品と同じ粘着特性を持った粘着剤を使用し、一方で他の製品で使われていた厚さ50ミクロンの赤色フィルムを調達するという方法を採った。すぐさまサンプル試作に取り掛かった。

粘着テープの開発において青木が感じていること――それは、粘着特性には“数値では表せない領域”が存在するということである。例えば『フィルムマスキングテープ』の特性について話す時、青木は「しっとりしていて、食いつきがいい」という表現を用いた。この表現には、微細な部品に貼り付けた時にはがれにくく、はがしたい時には抵抗なく滑らかにはがれるという意味が込められている。こうした特性は粘着テープの一般特性データをいくら積み重ねても容易にはキャッチアップできない。そこでは人が粘着面を触った触感や、はがす時の感覚が重視される。数値データばかりではなく、設計者が培った“感性”や“個性”が求められるのだ。それが開発を進めていく上での難しさであり、醍醐味だ――青木はそう感じつつ、サンプルの作成を急いだ。

「別のお客様からも、オーダーが入った」。 4
結果は上々だった。青木の試作したサンプルでユーザーの不具合は解消した。ユーザーの製造工程で『フィルムマスキングテープ』の上に載った微細な電子部品は、所定の位置まで搬送され、さらにテープからピックアップされて次の工程に入っていく。ユーザーの言葉を青木は営業担当者から口伝えに聞いた。「思ったより早く解決できた。ありがとう」。ユーザーの抱える問題を正確に把握し、スピーディーに解決した。

サンプルは量産体制に入って製品となり、無事、ユーザーの新工程で使われた。そしてある日、嬉しい報告が入った。「別のお客様からも、オーダーが入った」というものだった。青木の設計した『フィルムマスキングテープ』が評価された証だ。だが、それで終わりではない。ユーザーの要求に終わりはなく、その要求に応じてテープも進化していく。設計者の感性や個性を反映させながら進化を導いていくこと――青木はそれを“プロ”として心がけている。

エピローグ
青木の手掛けた『フィルムマスキングテープ』は、その後、数多くの電子部品メーカーに採用された。今やその数は20社にも上る。その後も『フィルムマスキングテープ』の製品担当として、ユーザーの要求を満たすカスタマイズを手掛けた。帯電防止機能を持たせたものや耐熱性を実現したものなど、まさに多種多様である。そうした設計を通じて、青木は着実に技術を磨いていった。

そして現在、青木は新製品の開発プロジェクトに携わっている。一つでも多く新製品を開発し、世の中に貢献したい――その変わらぬ目標を実現するべく、開発者・青木の挑戦は続いている。
開発した『フィルムマスキングテープ』を手にする青木。手掛けた製品には特に愛着がある。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学では無機化学を専攻し、化学的な現象の分析に力を注いだ。ある現象を解明する場合、必ず論理的な仮説を立て、それをもとに検証を進める。こうした論理的な思考力を身に付けられたことが、“最大の財産”だと考えている。製品の開発において論理的なアプローチは必須であり、これらの経験が活きることは多い。
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