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サービス(レストラン・フードビジネス)
最終更新日: 2008/01/28
(マークの説明) 正社員 文系積極採用 3年増益 株式公開
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プロの仕事研究
スタッフの大切さを誰よりも知り、より良い職場をつくり上げる店舗運営のプロ。
営業・販売系−店長
業務管理部 営業管理課/課長補
大下 浩平 (29歳) Kohei Oshita
入社8年目 / 兵庫大学 経済情報学部 経済情報学科 出身

プロフィール
2001年4月トリドールに入社。とりどーる大久保店、とりどーる二見店、とりどーる箕谷店など多くの店舗で経験を積む。2003年4月とりどーる伊丹店にオープニング店長として異動。その後は、労働組合を立ち上げ、専従委員長に抜擢され活躍する。現在は業務管理部にて営業サポートに励む。

プロローグ
「店長、すいません。今日、熱が出たので休ませてください」。
開店前の仕込みの真っ只中、大下の耳に嫌な情報が入ってきた。
「熱が出た、って…。ほんまか? お前、風邪を引くようなタイプじゃないやろ」。
店舗運営をしている上で一番困ること。それが出勤を予定していたスタッフが急に休みを取ることである。大下が働いていたのは、とりどーる伊丹店。他の店舗に比べても繁盛店であるだけに、スタッフひとりが抜けてしまうだけで、大下はもとより他のスタッフの負担が大きくなってしまうのだ。

「嘘ついてるんちゃうか…」。本来ならば相手の体調を第一に気遣うべきところ。だが彼にはその余裕さえ失われていた。連日、深夜まで店舗の掃除を行い、家に帰って数時間仮眠をした後、仕込みのために店舗入りする。「スタッフの負担を少しでも減らすため」。そんな思いもあった。だが一番の理由。それは「他の誰にも任せられない」という気持ち。大下とスタッフたちの間に欠如していたものとは“信用”に他ならなかった。渋々休むことを了承する大下。――数ヵ月後、そのスタッフは大下にアルバイトを辞めることを告げる。理由は明らかだった。「僕、店長のことが嫌いなんです」。

増えていく負担。スタッフとぶつかることも多々あった。 1
「どうしたもんかな…」。

大下は、胸に突き刺さった言葉を何度も反芻するのだった。何しろ、真正面からスタッフに「嫌い」と言われたのだ。考えようとしなくても、考えてしまう。だが、彼にも言い分があった。「この店で一番、頑張ってるのは誰だと思ってるんだよ」。2003年4月にとりどーる伊丹店がオープンして以来、店長として休む間もなく働いてきた自負があったのだ。そして、そのスタッフが辞めてしまったことで、大下の負担はこれまで以上のものになっていた。営業中はスタッフと一緒になってホールに立ち、指示を出す。だが、その際にもスタッフとぶつかることがあった。

「料理が出来上がったら、1秒でも早くお客様の席に持っていけよ」。大下の言葉にスタッフは不服な顔をする。「店舗内を走ったら、他のお客様に迷惑じゃないんですか」。「なんでや。早く持って行くことがサービスやろ」。大下もスタッフも“お客様に喜んでもらいたい”という思いは同じ。だが、それを実現するための方法が少し違ったのだ。話し合えば、互いに納得のいくこと。だが、大下はスタッフの声に耳を貸すことができなかった。「自分の言う通りにしていれば、繁盛店を築くことができる」。“自分の店”を軌道に乗せるという責任感を強く持っていたのだった。

深まっていく溝。いつの間にか離職率の高い店舗になっていた。 2
「またか…」。

気がつけば、スタッフが次々と辞めていく。「店長にはついていけません」、「仕事中の店長は嫌です」…。「辞める理由は自分にある」。そのことは痛いほど分かっていた。だが、自分のやり方が間違っているとは思えない。「店長業務もスタッフ業務も両方精一杯やっているつもり。こんなに頑張っているのに、どうして誰もついてきてくれないんだ」。そんな思いとは裏腹に、スタッフたちの仕事に対するモチベーションはどんどん低くなっていく。自然と接客姿勢にも影響してくる。閉店後の掃除もおろそかになる。大下が注意しても表面的にしか聞いてもらえない。スタッフたちのやり残した仕事を深夜に大下が行う。彼は心身ともに限界を迎えつつあった。「このままじゃダメだ。何とかしないと…」。大下はついに自らの姿勢を省みるのだった。

そんな折、開かれた「笑顔コンテスト」。これは来店されたお客様がその日、一番良い笑顔・接客をしたスタッフを投票するというもの。「絶対、俺が1位のはずだ」。接客には他の誰より自信を持っていた大下。「スタッフたちに力を見せつけてやる」。これが、彼の正直な気持ちだった。

予測を裏切る「笑顔コンテスト」の結果。そして、あることに気がついた。 3
「嘘やろ…」。

「笑顔コンテスト」の結果は、大下の予測を大きく裏切る内容だった。「俺がベスト3に入らないなんて…」。彼を驚かせたのは、それだけではなかった。普段、接客姿勢を高く評価していなかったスタッフが、ベスト3に入っていたのだ。

「自分はスタッフの何を見ていたんだろう…」。知らぬうちに大下の接客を超えるスタッフがいたことは、彼にとって衝撃だった。と同時に、あることに気がついた。それはスタッフたちを信用せず、自ら仕事を背負い込んでいたという事実。「とりどーる伊丹店は、“自分の店”じゃない。“皆で築き上げている店”なんだ」。

その日から、大下の姿勢は変わった。スタッフに任せるべきところは任せ、接客について指摘をする時も、互いが納得のいくまで話し合う。時に、スタッフの意見を尊重し、大下が折れることもあった。スタッフに任せる仕事が増えた分、それを評価することが必要になる。大下は、スタッフ一人ひとりの昇給・昇格ノートに、良い点や改善点を細かく書き込んでいくのだった。ノートを見たスタッフは、大下が自分のことをしっかりと見てくれていることを知る。彼は、どんなに忙しくてもノートの記載を欠かすことはなかった。

“信用”して任せることで得た“信頼”。店長としてのやりがいを見出した。 4
「皆、すごいな」。

ふと周りを見渡せば、スタッフたちは主体的に仕事に取り組んでいる。時に、大下の仕事を自ら手伝ってくれることも。彼はその状況を心から嬉しく感じていた。ともに仕事に取り組むスタッフを“信用”することで、スタッフからも“信頼”される喜びを知った大下。彼のやりがいは、スタッフを育てることへと変わっていったのだった。

「――労働組合を立ち上げようと思うんだ。手伝ってくれないか」。充実した日々を送る中、大下に他店の店長から声がかかった。労働組合を立ち上げる目的は、トリドールの姿勢や考え方を今後も統一していくため。急激に店舗が増えていく中、多くの従業員の意見を聞くことで組織を強化していく必要があると考えたのだ。大下の答えはもちろんYES。従業員の大切さを誰よりも知る彼だからこそ、できる仕事が始まった。

エピローグ
「僕、大下さんのこと尊敬してました」。

現在は労働組合を経て本部で仕事をしている大下。そんな彼がとりどーる伊丹店を訪れた際にスタッフから何気なく言われた一言である。過去から考えると想像もつかない言葉。大下は感慨深く受け止めた。「外食産業の仕事は人と人とが正面からぶつかり合う素晴らしい仕事」。彼は自分たちの仕事を誇りに思っている。

だからこそ「外食産業をどの業界からも憧れられる業界にしていきたい」と感じている。労働組合では従業員からあらゆる意見を聞いた。改善したことも多々ある。「もっと良くしていきたい」。この気持ちはどこに行っても変わらない。その根底には、とりどーる伊丹店での経験が息づいているのだ。
業務管理部でマニュアル作成や営業データの分析・問題提起をしている大下。在籍した店舗の成長を聞くことが、活力になっている。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
中学時代から大学時代まで、バスケットに熱中していた。怪我をしていても、練習を休むことなく、筋トレなどを行った。そうした経験から培われたのが「継続する力」。トリドールでもひとつのことを極めるために、努力をし続ける姿勢となって活きている。
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