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メーカー(食品)
最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
自身の壁を乗り越え、『タマノイ酢』の歴史に新たな1ページを刻んだ製品開発のプロ。
技術系−応用研究・技術開発
経営企画部 企画開発課/チームリーダー
福田 未来子 (33歳) Mikiko Fukuda
入社9年目 / 大阪大学大学院 基礎工学研究科システム人間学専攻 生物工学科 出身

プロフィール
『タマノイ酢』を知ったきっかけは大学の求人票。食品メーカーに興味があったわけではないが身近にある食品を開発する仕事に面白さを感じた。また選考に進むうち若い社員に大きな仕事を任せるという社風に惹かれたことも入社を決意した理由の一つ。品質管理センターのチームリーダーを経て、現在は企画開発課にて活躍する。

プロローグ
西暦400年ごろ、三韓から伝わったとされる“酢”。これを使い、大阪の港町、堺では和泉酢が作られるようになった。その後、1590年ごろ、豊臣秀吉の時代には、酢に商標がつけられた。その名が『玉廼井(たまのい)』。現在、『はちみつ黒酢ダイエット』などのヒット製品を生み出している『タマノイ酢』の歴史はこのころから始まっていた。

ヒット製品を生み出す背景にあるのは、今も昔も変わらない“人”の力。酢の素晴らしさを受け継ぎながら、新たな製品を生み出す挑戦心こそが、『タマノイ酢』を支え、発展させてきた。

「いや、やっぱり私には無理だ」。
チャレンジを前に、どうしても一歩踏み出せずにいる社員が一人。その名は、福田未来子。製品開発に携わる彼女は自信が持てず、立ちつくしていた。自信が持てないのは製品に対してではなく、自分自身に対してであった。彼女がチャレンジを前に越えなければならないのは、自分自身の壁。長い歴史を持つ『タマノイ酢』。彼女もまた同社を支える一員なのである。

「人々が喜ぶようなお茶を開発し、行き渡らせたい」。強く思った。 1
「先が見えないのって、苦しいな」。

入社1年目、福田が感じていたのは、仕事の厳しさだった。入社後、企画開発部に配属。新製品開発のための市場調査を行っていたが、調査結果から新製品につながる有益な情報を得るのは、想像以上に難しいことだった。スーパーの広告・雑誌・インターネットを見て役立ちそうな情報を収集する毎日。「市場調査って、もっと簡単なものだと思ってた…」。彼女のそんな考えはもろくも崩れ去ったのだ。

だが、そんな折、市場調査から新製品開発のためのある企画が持ち上がった。それは、ペットボトル入りのお茶をつくること。原料を厳選し、なおかつ、人々に「おいしい」と言われ、満足を獲得できるものを開発するのだ。この話を聞いた福田はすぐにお茶に関する調査をさらに深めていった。また、実際にお茶の売れ行きを肌で感じようと、会社の近くのコンビニエンスストアに立ち寄り、お客様が何を買うのかを観察した。すると、彼女の予測を上回る人々が種類豊富なお茶の中から好みのものを選び、レジへ運んだ。

「人々が喜ぶようなお茶を開発し、行き渡らせたい」。
福田は強く思った。だが、そこには問題が立ちはだかっていた。同社にとって、お茶の開発ははじめての試み。ノウハウのない未知の世界にメンバーは「まず、何をするべきなのか」で頭を悩ませた。だが、そんな折、2年目を迎えた福田に転機が訪れた。それは、企画開発部から開発部への異動だった。「新たなフィールドで、自分の力を発揮しておいで」。上司からの言葉に励まされ、彼女は、新しい部署で新製品開発のチャレンジを続けることにした。

「単においしいものをつくれば良いというものではない」。仕事にのめりこんでいく。 2
「この味じゃないな。となると抽出する温度と時間を変えてみて…」。

先が見えない苦しさを味わっていた福田にとって、開発部での新製品開発は心躍る仕事であった。先輩社員に教えてもらいながら、コンセプトに合わせ、味や成分を研究していく。すぐに完成すると考えていた福田は、味にこだわる先輩社員の姿を見て、「単においしいものをつくれば良いというものではない」ということを知った。「一重に、“味”と言っても、最初に感じる“味”、飲んでいる最中に感じる“味”、飲んだ後に感じる“味”はそれぞれ違う」。新製品開発の中で、こだわりをもって商品をつくること以外にも様々なことを学んだ彼女は、開発部の仕事にのめりこんでいった。そうして、新製品は無事完成したのだった。

「なぜ、私を指名したのだろう…」。彼女に大きなプレッシャーがのしかかった。 3
「人々に品質の高い製品を行き渡らせるには、様々な段階を踏まなくてはならないんだ」。

開発部では、品質の高い製品を人々に提供し続ける取り組みを実施している。しかし、現段階での福田の経験は浅く、プロジェクトを推進していくというよりは、主導する上司をフォローする役割を果たしていた。そんな中、彼女に突然、大きな仕事が舞い降りた。

「今度、製造ラインへ行き、製品の“味”や品質の確認をしてもらいたいんだ」。

福田に衝撃がはしった。工場に出向き、製品を確認するという大役を任されるとは夢にも思っていなかったからだ。彼女が“味”や品質を確認し、問題があった場合、発売中の全ての製品が回収される。自分の一声で、世に製品が送り出されるか否かが決まるのである。彼女に大きなプレッシャーがのしかかった。

「なぜ、私を指名したのだろう…」。

彼女は自分自身の壁を越え、一歩前へ踏み出した。「よし! 行こう」。 4
「そうか、上司は私に責任ある大きな仕事を任せることで、独り立ちを促しているんだ。いつまでも、誰かに頼っていてはいけない」。

彼女は、上司が自分に何を求めているのかを理解した。そして、これまで自分がいかに上司や先輩社員に甘えていたのかを痛感したのだった。彼女は、不安を抱えながらも、万全の準備をし、工場へ向かった。

しかし、「いや、やっぱり私には無理だ」。心の中で何度もこの思いが行き来する。だが、彼女は自分自身の壁を越え、一歩前へ踏み出した。「よし! 行こう」。

お茶の葉から養分を抽出するやり方、その分量、ろ過方法…各工程をくまなくチェックする福田。その横顔には、もう不安の色は見られなかった。かわりに芽生えていたのは自信。これまで教わった知識をフルに活かし、緊張感を持って、チェックした。最後に“味”を見た福田は、「うん、これならいける」。そう心の中でつぶやいた。

社内に帰り、上司に検査内容を報告。そうして無事、検査を通過した製品が店頭に並んだ。福田は、ほっと胸を撫で下ろし、言い知れぬ達成感を味わった。上司からも労いの言葉が掛けられる。

「この達成感を味わえるなら、どんなことにも挑戦できる」。
彼女は、『タマノイ酢』の長い歴史に新たな1ページを刻んだ。

エピローグ
――店頭に並んだ、お茶。
福田は、製品が置かれた店舗を毎日のように訪れた。のどが渇いていない時でも、製品を購入。周りにいる人々全てに、自分が手掛けた製品であることを知らせたいほどの嬉しさ、そして、愛着を覚えていた。

その後、福田は品質管理センターへ異動。チームリーダーとして、製品をより高い品質で届けることができるよう、製造フローや製造ラインのチェックを実施している。食品を扱う会社にとって、品質は事業の要となる部分。それだけに、細心の注意が必要となる。福田は製品の品質に妥協はしない。それは、彼女が培ってきた製品の愛情が原動力となっているからなのである。
「若手社員の挑戦を奨励する会社です。実は、ヒット製品“はちみつ黒酢ダイエット”も入社2年目の社員が手掛けたのです」。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
中学・高校時代は、陸上部に所属。800mや1500mなどを走っていたが、そこで得たのは、何があっても諦めない粘り強さ。この力は品質管理を行う現在、製品に対して決して妥協しない姿勢で活かされている。
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