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金融(損害保険・生命保険・共済)
最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
お客さまにとっても自社にとってもベストを追求する、保険商品開発のプロ。
事務系−商品企画
みずほ第一フィナンシャルテクノロジー(株) 金融保険工学第一部/フィナンシャルエンジニア
島田 竜一 (32歳) Ryuichi Shimada
入社11年目 / 大阪大学 文学部 日本学科 出身

プロフィール
1998年4月入社。同年7月に商品部に配属され、商品開発・事業企画などの仕事に従事。2003年4月、運用企画部(アセットアロケーション)に異動。2006年4月より、みずほ第一フィナンシャルテクノロジー(株)へ在籍出向。

プロローグ
形がない“保険”という商品に興味を抱き、島田は保険会社への就職を考えるようになった。第一生命に決めたのは、若手の意見が通りやすく活躍できる職場ではないかと、就職活動を通して感じたことによる。新人研修後に配属されたのは商品部だった。商品開発や事業企画を行う、島田の最も希望していた部署である。商品開発に興味があったため、うれしい気持ちの反面、「新人がやっていけるのか…」と不安も感じていた。

2年目の秋、上司から待望の一言が下された。「個人向けの貯蓄性商品Aをバージョンアップさせた商品を半年後に出そうと思っている。商品開発を担当してみないか?」。先輩の下でなく、自分一人の采配で商品開発ができる。入社2年目にして商品開発を任されたことが、島田にはうれしくて仕方なかった。営業部門やアンダーライティング部門と調整しながら、売りやすく、魅力ある商品を作り上げていった。

そして入社4年目となる2001年春、生命保険商品の銀行窓販が解禁されるらしいという噂を耳にする。

変額年金保険の新商品開発を担当することに。 1
銀行窓販とは、銀行の窓口で金融商品を販売すること。金融ビッグバンの一環として生まれた変化である。「解禁が決まれば新商品を開発するだろう。大プロジェクトだから、部の全員が何らかの形で携わることになるはずだ」。これまでの仕事の割り振り状況から、入社年次に関係なく業務が割り振られることはわかっていた。今度のプロジェクトでは自由に動いていきたい、と島田は思い描いていた。

その年の夏、ミーティング中に上司から待望の話が出てきた。「解禁が決まった。チーム全員で対応していこう」。銀行で扱う商品は、個人年金保険(変額・定額)と財形保険だという。「島田は変額を担当してくれ」と上司から言い渡される。変額年金保険とは、加入者が支払った保険料でファンド(他の保険種類の資産とは区別して、独立した体制に基づいて運用管理を行う特別勘定)を組み、その運用成果に応じて加入者が手にする年金額が変わる保険である。解禁で一番注目を浴びると予想されていた。「貯蓄性と保障性のある金融商品として、資産運用に関心が高い層から支持を集めている商品だ。売れる商品を作らなければ」と島田は奮起した。

運用面と保障面の両輪について学びながら、構想を練る日々。 2
投資信託を買って、その利益を加入者に還元するという仕組みの変額年金商品は、第一生命にはこれまでなかったものだ。お客さまのためになり、かつ売れる商品を作り上げるためには下調べが必要だ。島田は関係部署や企業に奔走した。

投資運用先として、ファンドはどんなラインナップにすべきか。リスク管理はどうすべきか。死亡保障の内容は。年金の仕組みは。解約時にはどういう対処をするのか──運用面と保障面の両輪について、それぞれ調べなければならない。それも来年の秋、約1年2ヶ月後には解禁されるのだ。時間が潤沢にあるわけではない。

最初の壁は、ファンドのラインナップをどうするかという基本構想を考えることだった。日本株式、外国株式、外国債券等、リスク回避のためには運用対象や配分を変えてファンドを数種類用意しなければならない。それぞれの特徴を十分吟味した上で、いくつかの投資信託会社を相手に「運用方針はこういう基本構想で、ファンドを作ってほしい」と打診しなければならないのだが、入社4年目の若手にとっては、学ぶべき事柄がとにかく多かった。

最善だと思われるファンドの形を提案するも、突き返される。 3
ファンドの構想を練る中で、自分の考えと会社の方針の狭間で苦悩することもあった。様々な運用対象を調べていくうちに、一つの形ができあがった。「この形で運用すれば、お客さまのメリットが非常に大きい」。GOサインが出たらすぐさま投資信託会社に打診してみようと、意気揚々と上司にファンド案を提出した。ところが「この形のファンドは無理だ」と、上司から突き返されてしまう。

すぐに引き下がるようではビジネスパーソンとしての成長はない。「どこに問題がありますか?」と食い付くと、「第一生命側の事務負荷が大きすぎ、コストが莫大にかかる」と指摘された。お客さまにとってベストな選択になりうる形であることは認めるが、結果的にお客さまの利益に結び付かないというのだ。上司の言い分はわかるが、自分の中で妥協できる部分と妥協できない部分がある。島田は核となる部分をそのままに、コストがあまりかからない形にファンドを練り直す作業に取りかかった。

代替案は無事に通った。自分の中では100点満点ではない95点の形ではあったが、妥協できない部分を譲ることなくできた形に島田は満足感を覚えた。

立場が違う意見を集約し、“落とし所”を探る。 4
次の壁は、“落とし所”をどこに持っていくかの見極めだった。社内運用部門、ファンドを扱う投資信託会社、販売窓口となる銀行等、新商品開発に向けて様々な立場の人と折衝する中、それぞれ立場が違うために意見も違ってくる。相反する意見が返ってくることも多々ある中、落とし所を探るのは難しかった。

こうして、多くの苦労があったものの2002年10月、無事に解禁日を迎えることができた。初めて商品企画を担当した際は、純粋にできあがった喜びだけを感じていた島田だったが、この時の感情は異なっていた。もちろん、無事に商品を作り上げた喜びはあったが「お客さまや銀行、営業、金融市場からどう評価されるかな」という一抹の不安もあったのだ。このプロジェクトを通じて、島田は先を見越すことができるようになっていたのである。

エピローグ
銀行窓販解禁プロジェクトの翌年、島田は運用企画部に異動となった。商品開発を考えていく中で、資産運用は大きなポイントとなる。自分なりに運用に関して問題意識を持っていたので、運用について専門的に携わることができる異動辞令はうれしいものだった。

そして現在、島田はみずほ第一フィナンシャルテクノロジー(株)に出向し、金融工学の技術を活用したコンサルティング業務を担当している。「立場は違いますが、今も商品開発に携わっています。いろんな仕事を経験していくことで、一つの商品を多角的に確認できる。いい形でキャリア形成させてもらっています」と島田は語った。
「金融工学の手法で商品を見つめ直し、新しい商品の展開を提案することは非常にやりがいがあります」。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
ゼミで研究テーマの発表をする機会が多かったのだが、ここで社会人として必要なベースを学ぶことができた。問題を発見し、文献等で調査した上で結論を出し、他者に正確に伝えるということが研究テーマ発表時には求められている。会社で仕事を行う際は、内容こそ違えども、同じ形で作業が進んでいく。
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