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サービス(レストラン・フードビジネス) / サービス(専門コンサルティング(フランチャイズビジネス系))
最終更新日: 2007/12/27
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プロの仕事研究
“背景”を踏まえたコミュニケーションでスタッフをまとめる店舗マネジメントのプロ。
営業・販売系−店長
FC事業本部 おだいどこブランドスーパーバイザー
高木 信介 (27歳) Shinsuke Takaki
入社5年目 / 帝京大学 経済学部 経済学科 出身

プロフィール
「人に教える仕事がしたい」という思いからプライム・リンクに興味を持つ。2004年4月入社。『じゃんけん』天王寺店研修を経て『おだいどこ』天王寺店研修。そして店長を務める。その後、トレーナー、スタートアップトレーナー、マネージャーとキャリアアップを図り、現在は『おだいどこ』のスーパーバイザーを務める。

プロローグ
「食材の発注は忘れますし、おしぼりの巻き方も雑。今度の店長には、ついていけません」。『おだいどこ』天王寺店PA(パートナー:アルバイトスタッフ)から、同店の前任店長に持ちかけられた相談。その口ぶりには、新任店長に対する嫌悪が感じられた。

――2004年7月。マネージャーとして、『おだいどこ』天王寺店以外の数店舗をマネジメントすることになった店長に代わり、入社4ヶ月の高木信介は店長代行に就任した。9月には、正式に店長となることが前提の昇格。「俺が?本気かよ…」。ただ驚き、戸惑うしかなかった。なぜなら、『おだいどこ』天王寺店で勤務するようになって2ヶ月。一度も「上手く仕事ができた」と思えたことがなかったからだ。学生時代、飲食店でのアルバイト経験がなかった高木。基本動作は店長から学んだが、経験不足は明らかだった。長年アルバイトを続けるPAにとって、高木の仕事振りは自分たち以下。そんな人が店長になることを、素直に受け入れることなどできなかった。

高木が店長業務を始めて半月。約20名のPAたちは、巡回で店を訪れるマネージャーに愚痴をこぼすようになっていた。

一度も、「店長」と呼んでもらえない。 1
「何で勝手に返金してるんだよ。それはお前がする仕事じゃないだろ」。本来であれば社員がやるべき仕事を、PAが自らの裁量で勝手に行なってしまう。注意をすれば「すいませんでした」と反省の言葉を述べるが、このようなことは日常茶飯事だった。「自分の言葉はPAに響かない…」。店長としての自信が持てない高木を横目に、PAたちは前任のマネージャーを慕い続けていた。巡店の際には「店長、お疲れ様です!」と笑顔で迎える。そして業務の合間をぬっては、相談を持ちかけた。

店長代行になってから、高木は一度も「店長」と呼ばれたことがなかった。代行とは言え、高木は事実上の店長。「店長として認められていない」ということが、高木の胸に重く圧し掛かった。この状況をどうにかしなければならない。でもあまりにも分かりやすいPAの態度に、高木の心は折れそうになっていた。

7月の終わり、高木はマネージャーに呼び出された。「お前からってことで、PAにメール送っておいたから」。何のことかよく分からず、メールの内容を確認した高木は驚いた。「え? 『8月を僕にください』って…どういうことですか?」。

『みんなの8月を僕にください』。 2
『みんなの8月を僕にください。みんなと一生忘れられない8月を作りたい』。

メールを読み終えた高木に、マネージャーが諭した。「できない理由から先に考えているんじゃないか?できる方法から先に考えろ!今の自分自身と正面から向き合え!それでなければ、自信も信頼も手に入らないぞ!」。高木に衝撃が走った。「わかりました。(確かにその通りだ…)」。メールは、自信をなくした高木の背中を押すきっかけだった。高木は腹を括った。今自分にできることを考えた。

「『みんなの8月をもらう』という言葉を実現するために、必ず8月中に「自信」と「信頼」を手に入れてみせます!」と固く決意した。7月31日。高木は「自信」と「信頼」を達成する策を模索した結果、ある答えにたどり着いた。『みんなで取り組めること』『大きな達成感を味わえること』。それは前任の店長さえ達成したことのない、「過去最高のチラシ配布売上250万円獲得」への挑戦。全員が一丸とならなければ取れない数字だった。

その夜、目標を全員に伝えた。「過去最高のチラシ配布売上250万円獲得」とだけ。そして高木とPAの8月は始まった。

一人ひとりの“背景”を踏まえたコミュニケーションが、心を掴む。 3
高木はとにかく自ら率先して動き回った。「絶対達成する!」。その思いが高木を動かした。「高木さん、休憩しないんですか?」。一週間が経ち、PAは必ず高木に声を掛けるようになっていた。最初は軽い声掛けから始まり、話題は徐々に仕事に関することへ移った。「このオペレーションどうなんですか?」「どうしたらもっと効率よくハンドできるんですかね?」。高木は、PAと話をしているときは時間を気にしなかった。ほぼ毎日、午前1時の閉店後から朝まで語り明かす。朝の6時に寝て、9時半起床。11時に出勤して仕込み開始…という生活。そんな日々を、高木は一つも苦に思わなかった。日を追うごとに、PAとの仲が深まっていることを実感できたからだった。

8月も終わりに近づくと、PAとの関係性はさらに親密になっていった。恋愛や家庭のことなど、プライベートな相談を受けることもあった。接客に元気がなければ「どうした?」と相談にのる。落ち込んでいる理由をすでに知っていれば、「彼氏のことで悩んでるのは分かるけどな…」と気持ちを察しながら勤務態度を正す。一人ひとりの“背景”を踏まえた上でのコミュニケーションは、PAたちの心を掴んでいった。

「高木さんのために頑張ろうよ」――生まれた一体感。 4
8月31日、最終日。チラシ配布売上250万円の達成が厳しくなっていた。高木は「ここまでやったのだから、絶対達成したい」という気持ちを強くしていた。その思いはPAも同じだった。「高木さんのために頑張ろうよ」。シフトの入っていないPAも集まり、全員が店舗に集合。チラシを配り始めた。また店内が忙しくなってくると、洗い場のフォローにも入った。高木は胸を熱くしながら、PAたちに声を掛け続けた。「あともう少しだ、頑張ろう」。

閉店後、スタッフルームから大きな歓声が聞こえてきた。「高木さん、250万円達成できました!」。この瞬間、高木は1ヶ月前の約束を思い出した。「マネージャー俺、やりました!」。高木とPAの8月は、成果を上げて終えることができた。

9月、打ち上げが行なわれた。笑い合うPAの顔を見て、高木は達成感を味わっていた。もし自分が途中で諦めていたら、生まれなかった一体感がそこにはあった。「ごめん俺、先に帰るわ。みんなお疲れ」。本社の用事で途中退席しようとしたそのとき。一人のPAが高木の首に何かを掛けた。それは、紙でできた手作りの金メダル。裏にはPA全員からの寄せ書きがあった。

「やっと、僕たちの店長になりましたね」という文字が目に入る。高木は移動中のタクシーの中で、声を上げて泣いた。

エピローグ
「金メダルをもらったとき、“店長として認めてもらえた”って思えました。本当に嬉しかったですね」と高木は言う。PAとの円滑なコミュニケーションは、店舗経営には必要不可欠。コツを掴めるかは、キャリアの分岐点にもなる。「もし変われていなければ、1年で辞めていました。そうしたら今のキャリアもないわけで…まさに転機でした」。この年、高木は年間最優秀店長賞を受賞。入社1年目の受賞は最年少記録を更新した。現在は、フランチャイズの加盟店約20店舗の指導を行なうスーパーバイザーとして活躍する。

「将来は自分で新たな業態を作りたい」と言う。チャンスにあふれるプライム・リンクで、新たな目標に向けて高木は成長を続ける。
前任の店長である人事の須山とは、何でも話せる関係。須山と同じ目線で話ができるようになったことに、自らの成長を実感する。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
短期バイトでお金を貯めては一人旅に出る、という生活を送っていた大学時代。生きていくための必要最低限のお金でやりくりする生活の中で、様々な人と出会い、様々なことを経験した。そうして培ったハングリー精神は誰にも負けないと自負する。その精神は、常に成長を求められるプライム・リンクの仕事に活かされている。
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