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メーカー(インテリア・建材・住宅設備) / 商社(専門商社(インテリア・建材))
最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
山本寛斎プロデュースのブランド「人間讃歌」を作った、商品企画のプロ。
事務系−商品企画
国際部
森下 雅 (24歳) Miyabi Morishita
入社5年目 / 国立和歌山工業高等専門学校 環境都市工学科 出身

プロフィール
園芸関係のアルバイトをしていた延長で、エクステリア商社兼メーカーのタカショーに入社。当初は営業企画部でWebサイト企画に携わっていたが、すぐに国際部に異動。山本寛斎とのコラボレーションブランド「人間讃歌」の企画担当として力を発揮した。現在もホームページで「雅ちゃんのGO!GO!突撃レポート」を担当。

プロローグ
「もう……辞めようかな。やりたい仕事もできないし、社会人としてどう振舞っていいのか分からない…」。

森下雅は、泣きながら車を走らせていた。この日は平日。彼女が籍を置く株式会社タカショーにとっては営業日である。会社を休んでしまうまで思いつめていたのだ。入社以来数ヶ月、森下はデータ整理や自社Webサイトのデザイン変更などを手掛けてきた。研修期間中の身として、また配属先である営業企画部の新人として与えられた仕事である。しかし、森下にとってそれは耐えられるものではなかった。「植物に関わる仕事をしたい」という、自身の入社動機を満たせなかったからである。その上、良くも悪くも目立ってしまうことから上司や先輩から注意を受ける回数が異常に多いという事実も、彼女の落ち込みに拍車を掛けた。20歳の森下には、その不条理を受け止める余裕はない。「私は、お花屋さんになりたかった…」。

――そうつぶやいた時、携帯電話が鳴った。いつも目を掛けてくれた先輩・古澤からの連絡である。そして、この電話が森下を変えることになった。タカショーにとって非常に大きな意味を持つ新ブランドを立ち上げた企画担当者の活躍を振り返る。

「古澤さんの下なら、やっていけるかもしれない」。森下の決意。 1
「絶対、楽しく仕事をさせてやる。国際部に来ないか?」。

泣きながら車を走らせた数日後、森下の前で先輩・古澤は言った。部署こそ違うものの何かと仕事での接点があり、森下のことを気に掛けてくれている先輩である。森下が辞職を考えていることにも以前から気付いていたため、上層部と掛け合ってくれたと言うのだ。もちろん、古澤も会社組織に属する人間である以上、情だけで手を差し伸べているわけではない。古澤は、「森下にはデザイン的な素養があるのではないだろうか。そこを磨いてやれば…」と考えていた。それは、森下にとっての救いであると同時に、タカショーにとっても有効な人材活用になると計算した上での提案であった。

「新人のワガママに過ぎないかもしれない私の悩みに真剣に付き合ってくれた古澤さんの下なら、やっていけるかもしれない」。森下は、会社に残る決意をした。国際部に異動し、様々な仕事に取り組んだ。そして、仕事の上でも一定の評価を得られるようになってきた頃、彼女に転機が訪れる。「山本寛斎とタイアップした新ブランドの担当を、やってみるか?」。突然、大きな仕事を任せられたのである。

山本寛斎との提携企画における、タカショーの狙い。 2
「わ、私でいいんですか?」。

森下は喜びと驚きを同時に感じていた。自社が山本寛斎と提携している、という事実は耳にしていた。しかし、それが自分に直接関係してくるとは考えていなかったのである。タカショーと山本寛斎の関係が築かれたのは、2004年に静岡で行われた「浜名湖花博」でのこと。出展企業であったタカショーと、「山本寛斎が考えるガーデン」という内容のグラフィックを展示していた山本寛斎が意気投合し、「一緒に何かをしよう」と約束するに至ったのである。

また、一方ではタカショーの事業戦略にのっとった企画でもあった。エクステリア商社兼メーカーであるタカショーには、大きく分類して4種類の業態の顧客がいる。百貨店、ガーデンセンターや通販会社、GMS(衣食住に関する商品を総合的に揃えた大型量販店)、ホームセンターのことである。なかでもホームセンターは、大衆的な製品を扱う傾向が強く、それだけに数多く個数を販売する。そして、ガーデニング市場そのものの拡大を狙うタカショーは、ホームセンターでの売上を拡大させることを考えた。そのために、山本寛斎の持つブランド力や認知度を付加価値とし、潜在的購買層に気付かせようという企画であった。

ガーデニング市場を知るタカショーの社員として行う提案・交渉。 3
「こういうシーンを設定しましょう」。

プロジェクトが本格的に始動すると、窓口である森下のもとには山本寛斎側からアイデアやデザイン案が送られてくるようになった。「人間讃歌」と名付けられた新ブランドは、「30代前半のマンションで一人暮らしをする男女」をメインターゲットにした商品群。個別のガーデニング製品ではなく、デッキ(床)・ウッドフェンス(柵)・ファニチャー(家具)・シェード(日よけ)をセットにし、ライフスタイルそのものを提案する。タカショーが以前から提唱している「リビングガーデン」という考え方――庭を室内と一体化した生活空間としてとらえ、居室同様にくつろいで過ごす――にも繋がっているのである。

とはいえ、山本寛斎側はエクステリアの専門家ではない。デザインは素晴らしくても、製造面での都合は当然分からない。布製品一つをとっても、「その織り方はできません」 「じゃあ、織り方は別のにして色はこうしたい」 「納得できる色にするため染め直そう」 「今からでは時間の確保ができません」といった交渉が続いた。ガーデニング市場・ホームセンター市場でのノウハウを持つタカショー側が舵を取らなければ、プロジェクトは進まないのである。森下は、周囲に助けられながらも商品化に向けた提案・交渉を粘り強く続けていった。

「これでは売れないのだろうか」。先輩たちの反応と発売開始。 4
「こんなの本当に売れるのか?」

山本寛斎側との意見交換を終えて商品が形になる頃には、社内で心配の声も上がった。声の主は、営業職の先輩たち。入社数ヶ月の森下にとっては、知識で対抗することのできないガーデニング市場を知り尽くしたプロばかりである。もちろん、彼らも過去の実績をもとに意見を言っているのだ。それだけに、「これでは売れないのだろうか」と考え、路線変更をしようかと悩んだこともあった。しかし、その都度「本当は納得していないんだろ?前例がないからといって手を付けるのを恐れていては、タカショーは何も変われない。流されずに自分の意見を通すべきだ」と古澤が励ましてくれた。そして、森下は一つひとつ進むべき方向に結論を出していった。

こうして生まれた「人間讃歌」は、2005年4月に発売を開始。直前には新聞にも取り上げられ、ガーデニング市場に影響を与え続けている。有名デザイナーの名前に隠れ、森下の名前がメディアに取り上げられることはない。しかし、この製品が誕生した裏側には、間違いなく森下の活躍があったのである。

エピローグ
「信じられない!」。福岡の某ホームセンターで、森下は立ち尽くした。店舗の正面玄関の自動ドアが開いた瞬間、「人間讃歌」がディスプレイしてあったからである。店舗の最も目立つスペースで、自分の仕事の成果を見ることができた。実はこれは、古澤の優しさで実現した演出。この店舗で凝った展示をしているという情報を聞きつけ、出張時に森下を連れてきたのだ。森下は大きな喜びを感じた。しかし、同時に「まだまだやることがある」という気持ちも新たにした。急ピッチで開発が進められた「人間讃歌」。しかし、まだ構想の全てを形にできたわけではない。今後はオプション製品を更に充実させていく予定だ。森下の活躍は今後も続いていく。
本社展示場にて、ブラウンの「人間讃歌」と共に。自然的で温かみのあるこの新色の「人間讃歌」も森下の自信作である。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代は、フラワーショップでのアルバイトを経験。来店客や他の従業員と積極的に話すことでコミュニケーション能力を磨いた。また、用途に応じて花束の内容を提案する必要があったため、提案力を身に付けることもできた。
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