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メーカー(医薬品) / 商社(専門商社(医療・医薬品))
最終更新日: 2008/05/19
(マークの説明) 正社員 理系積極採用 No.1
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プロの仕事研究
MRと研究者の製品に懸ける想いを、資料を通して世の中に伝える学術のプロ。
専門職系−まだまだある専門職
クラシエ薬品株式会社/医薬学術グループ
出口 さやか (33歳) Sayaka Deguchi
入社12年目 / 明治薬科大学 薬学部 衛生薬学科 出身

プロフィール
西洋薬だけでなく、漢方薬も取り扱っている点に惹かれて1997年に入社。薬剤師免許を持つ学術職として、クラシエ製薬(株)からクラシエ薬品(株)に在籍出向する。当初漢方薬に関する知識は全くなかったが、現在はMRに向けた教育研修を担当するまでに成長。資料制作の中心メンバーとして活躍している。

プロローグ
学術としてクラシエ製薬(株)に入社した出口は、神奈川に所在する支店で10年間その職務を全うしてきた。学術は、最新の製品情報や医薬情報を収集して、MRに提供するのが主な仕事。MRのブレーンとも呼べる存在として、営業サポートに尽力してきた。さらに、病院等からの漢方薬に関する問い合わせ対応、医師に向けた講演会・・・。年次を重ねるごとに、その活躍の幅を広げていった。

そして、2007年――。それまでの功績が認められた出口は、本社へと異動。本社学術として、更なる活躍を期待されていた。出口に用意された新たなステージは、『Kracie Kampo Quality Control』と呼ばれる資料の制作。この資料は、自社製品に対する姿勢や品質の責任を世の中に伝える営業ツールである。出口にとっては、今までこの資料を活用してMRの教育を行ってきたこともあり、愛着を感じていた。

「もっと現場の声を反映させた使いやすい資料にしたい」。そんな想いを胸に秘めて、出口は資料の制作に携わった。

MRと研究者のつなぎ役として、抜擢された出口。 1
クラシエ製薬(株)が、『Kracie Kampo Quality Control』を手掛ける理由。それは、自社が力を入れている製品のトレーサビリティや品質へのこだわりを、消費者の方々に理解してもらうためである。そのためにまず、漢方薬を処方する医師たちにクラシエが扱う製品の品質の良さを理解してもらわなければならない。そういった理由から、『Kracie Kampo Quality Control』は誕生した。

出口は今回の制作に携わるまで、この資料をMRの教育研修などで活用する立場だった。「今まで資料を使ってきて、もっと載せて欲しい情報があれば遠慮せず研究者に伝えてくれ」。上司が出口を制作担当に抜擢した理由のひとつは、現場(MR)に近いところで仕事をしてきた経験だった。当時はMRと研究者が意見を交わす機会が少なく、お互いが製品について何を求めているのかが見えにくい状態だった。そこで出口には、研究者との交流によって、製品に対するMR、研究者双方の想いを資料に反映させることが期待されていた。

出口が担当することになったテーマは、『麻黄(マオウ)』。 2
今回出口が制作する資料はvol.4。毎回テーマとなる題材は、資料制作に携わるチームの間で話し合われる。今回、出口と共に制作に携わるチームのメンバーは、研究所の所長や重役など、出口よりも遥かに業界経験が豊富な社員たち。打ち合わせでは、お互いの経験に裏打ちされた意見が交わされ、テーマが決まった。「今回は漢方薬の品質を語るには外せない、“生薬”を取り上げよう」。

漢方薬は、植物や動物など自然界に存在する天然の生薬を、数種類組み合わせて処方する医薬品。高品質な漢方薬を作るには、当然、質の良い生薬が必要となる。クラシエ製薬(株)が、いかに質の良い生薬を使用しているかを証明するためのテーマでもあった。中でも今回、中心に取り上げるテーマは、植物の麻黄(マオウ)。植物の中には、品質の確保が難しい植物がいくつかある。麻黄は、その中のひとつ。扱いが困難とされている麻黄の品質を確保出来ることは、クラシエ製薬(株)が扱う製品の品質を証明することにもつながるのだ。

だが、出口には麻黄に関する知識が全くない。そこで、まずは植物専門の文献を読み漁り、麻黄の特徴や産地、効能について研究者の会話についていけるレベルまで調べ上げるところから、出口の資料制作はスタートした。

初めて気付いた、研究者の製品に懸ける想い。 3
麻黄の知識を深めた出口は、実制作に取り掛かった。今までMRと仕事を共にしてきたこともあり、資料に記載して欲しい現場の声は重々理解していた。MRはクラシエ製品を世の中に広めるべく、前線に立って情報提供を行っている。そのため、製品の販売に直結するような、品質の良さがストレートに伝わる資料を求めていた。しかし今までの資料は、MRが望むようなものではなかった。出口は現場の声を形にするべく、資料を作成したのである。

出口が作成した資料は、チームの各メンバーにメールで送付された。その資料をもとに、研究者の考えを加えて修正していくのだ。翌日、研究者から出口にメールが届く。その内容は、MRの視点とは異なる、研究者の視点で綴られていた。『たとえ品質の良い生薬だとしても、現在のサイエンスレベルでは判断が難しい成分も多く含まれている。だから、少しでも不安要素のある薬理作用は掲載出来ない』。そこには、クラシエ製品の品質・安全性を守りたいと考える研究者の想いがあった。

「私は現場の方からしか、製品に目を向けていなかったんだ・・・」。研究者の想いに初めて気付いた出口。MRも研究者も、資料を通して読み手に伝えたい想いは同じ。自身が双方の想いをつなぐ役目であることを、出口は改めて認識したのだった。

社員の製品に懸ける想いを載せた資料が、ついに完成! 4
「全ての人の想いを、資料に反映したい」。そう考える出口であったが、資料に対する研究者の声は予想を超える数だった。『原産地の地図を入れた方が・・・』『成分の分析データも・・・』。全て載せきれない程の情報量に、出口は何を掲載するべきか判断に迷っていた。

「漢方の知識が少ない人に、どうやったら短時間で理解してもらえるだろうか・・・」。出口は読み手に、内容が伝わらなければクラシエの製品に懸ける想いすら届かないと考えていた。資料の読み手の多くは、漢方薬の知識が少ない医師。MRは医師の忙しい合間を縫って面談するため、短時間で訴求ポイントを把握してもらえることも重要であった。「視覚に訴えかけられるように、ビジュアル中心の資料にしよう」。この考えが、出口にとっての最善策だった。

そして、数日後――。一通のメールが出口に送られてきた。その内容は、『この資料でいきましょう!』という研究者からのゴーサインだった。「やっと、終わった・・・」。メールを見た瞬間、出口は達成感と安堵に包まれていた。制作期間4ヶ月という長い時間を費やした資料制作は、出口を学術として一段と成長させる機会になったのである。

エピローグ
資料の完成後、MRに向けて資料の研修を行った出口。資料の内容を、MRが医師に説明出来て初めて営業支援のツールとして成り立つ。自身が制作した資料で研修を行うのは、初めてのこと。出口は、新たなやりがいを感じていた。

当初は、MRの視点でしか意見を述べていなかった。しかし、今回の資料制作を経験したことで、単一的なモノの見方では製品に懸ける社員の想いは伝わらないことを学ぶことが出来た。

出口は現在、上司からも将来医薬学術グループのトップとして活躍出来る存在として、高い評価を受けている。「今後、医薬学術グループにも女性管理職の抜擢が期待されているそうです。私も、そこを目指せればと思っています」。
印刷されて出来上がった資料を、各部署に配布してまわる出口。手塩にかけて制作した資料だけに、喜びもひとしおだと言う。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代は、デパートでアルバイトを経験。当時はほとんどが正社員で、アルバイトは出口ひとりだった。「そういった状況でも、積極的に年上の社員とコミュニケーションを図ってきたことが自信になっている」と出口は言う。現在、仕事を共にするチームの社員も出口より遥かに年上だが、当時の経験が今に活かされているのだ。
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