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商社(専門商社(アパレル・ファッション)) / メーカー(ファッション・アパレル・繊維)
最終更新日: 2008/04/28
(マークの説明) 正社員 理文不問
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プロの仕事研究
オリジナル糸を通じて、顧客の信念を伝え広げる原糸営業のプロ。
営業・販売系−営業(法人・ルートセールスが中心)
東京営業所 営業三部
森川 卓 (30歳) Suguru Morikawa
入社7年目 / 東洋大学 経済学部 経済学科 出身

プロフィール
大学卒業後、旅行代理店に入社したが、仕事内容に違和感を覚え1ヶ月で退社してしまう。しかし、次に就く仕事は長く続けたい、という想いで求職活動を開始。数社受けた中でも、澤田のオフィスに入った際に感じた雰囲気の良さは際立っており、入社を決意。現在は、ニット用原糸の販売と仕入れを担当する。

プロローグ
ニット用原糸、及びニット製品の企画・開発・製造などを行なう澤田株式会社の営業は、大きく分けて2種類ある。原料となる原糸の営業と、ニット製品の営業だ。原糸の営業がやり取りする取引先は、多岐にわたる。アパレルメーカーはもちろんのこと、糸の原産地、糸やニットを製造する工場などで、一人当たりの営業が受け持つ取引先は100社以上にもなる。

糸の製造工場から糸を仕入れ、ニット製品の製造工場に提供する澤田の原糸の営業は、糸・ニット・ファッションなどについて専門的な知識や意見がしばしば求められる。ただし、専門知識というだけに簡単に得られるものではない。入社した頃の森川も、自身の知識不足を歯がゆく思うことが何度もあった。

しかし、お客様が取引相手を選ぶ基準に、知識と同じくらい大事なものがあるということに、森川はあるとき気付いた――。

森川の前に立ち塞がったのは、“信頼”という名の壁だった。 1
入社3年目、森川の周囲の環境は大きく変わった。それまでずっと育ててくれていた直属の上司を離れ、新しい上司のもとで、原糸の販売を行なうことになったのだ。先輩営業のアシスタントとして仕事内容を理解するのに終始した1年目、目標数字を持たず、とにかく実際の原糸の営業に慣れるのに手一杯だった2年目を経て、ついに森川も目標数字を持つことになった。

しかし本音では、新しい環境に順応するのが精一杯で、仕事に集中しているとはとても言えない状態だった。そんな中、以前の上司が担当していたA社を森川が引き継ぐことになった。A社は、ニット製品の製造を行なっている企業。森川は引継ぎの挨拶のため、製造工場がある、とある産地へ向かった。しかし、そこで待ち受けていたのは、長い年月の中で築かれた“前任者への信頼”という名の壁だった。

あるニット工場で出会った、若手社長。 2
取引先の工場には、経営陣の高齢化が進んでいるところも少なくない。しかしA社は、森川とほぼ同世代が社長や専務を務めていた。そのおかげで、打ち解けやすい雰囲気ではあった。ただ長年担当していた上司に対する信頼が厚く、どうしても森川には頼りなさを感じてしまうようだった。森川自身、自分のことをすぐに信頼してもらえるとは思っていなかった。知識も経験も乏しい自分が、どうすれば以前と同様の信頼を築いていけるのか、見当がつかなかった。

月に数回は産地やその周辺地域に泊まりがけで出張した。A社を訪問する時間以外は、ひたすら周辺に点在する取引先企業を回った。企業はどんな情報やアプローチを求めているのか、これまで試行錯誤しながら動いていた部分があった。訪問して細かく要望を聞き、時には家族や趣味といったプライベートな話題にも触れ、要望を聞きだせる状況をつくれるように努力した。

上司ではなく、自分のほうに顧客を振り向かせたい。 3
数ヶ月間にわたって頻繁に訪問し、それ以外でもメールや電話でこまめに連絡を入れた。そうするうちに、少しずつA社の態度に変化が表れ始めた。ある時は、馴染みのない土地に一人で出張してくる森川を気遣ってくれ、「もし時間あるなら、一緒にメシでもどう?」と仕事終わりに声をかけてくれたりもした。

徐々に、A社の人々の「人となり」が透けて見えてきているように感じられた。製品へのこだわりや、仕事にかける情熱、さらには繊維業界において、こうなっていきたいという信念やビジョンにいたるまで、熱く語ってくれるようになった。いつしか森川は彼らの考え方にも、それが反映された仕事ぶりに対しても、尊敬の念を抱くようになった。だからこそ、澤田の原料をもって、A社の製品だけでなくそのスタンスまでも世の中にもっと広めていくのを手伝いたい、と思うようになった。そのためにも、A社の社長たちの気持ちを、どうしても自分のほうに振り向かせたかった。それは、元・上司を尊敬し、またA社が持つ信念に強く共感しているからこそ、生まれた感情だった。

取引先企業との関係性を深める“意義”。 4
だんだんと、自分に求められているのは、必ずしも専門知識ばかりではない、ということがわかってきた。原糸の営業は、すでに幅広く開拓されている取引先との間に信頼を築き、多少コストが高くとも、他社の営業ではなく自分に発注してくれる関係になる。そしてそれぞれの会社の中で、澤田との取引のシェアを高めていくことだ。ニーズを導き出すテクニックを持つ営業よりも、ニーズを話しやすいと思ってもらえる営業のほうが、選ばれるのだ。そのために、いざというときすぐ対応する、何かわからないことがあっても迅速に正確に解答を提示する。そんな当たり前のことを継続するうちに、A社の中での森川の存在が徐々に大きくなっていった。

「森川のために、うちは澤田に仕事をお願いするよ」。いつしかA社は、こう言って注文をくれるようになった。結果的に、森川の1年間の総売上額の中で、A社の売上が1/8を占めていた。100社以上の担当取引先を持っていることから考えると、1社の売上額としては驚異的な数字。その大きさが、森川に対する信頼が築かれ深まったことを明確に表していた。

エピローグ
社会人として年次を重ねるにつれ、仕事のやりがいにも変化を感じている。以前はとにかく、お客様と関係性を築き、一方で専門知識を高めていく努力で、精一杯だった。しかし、今は「究極のナマケモノ」を目指している。自分が困ったときに、どうしたら自分のために周りが喜んで動いてくれるか?どうしたら自分を好きになってもらえるか?最短ルートでその最適解にたどりつくことは、クライアントにとっても、明確なメリットになるということがわかったからだ。

現在では部署内外に後輩も増えた。入社年次が若いからこそわかることもある。もちろん、経験がモノを言うこともある。森川が目指す営業の理想像は、まだまだ高みにある。
「弱みは見せない。天狗にはならない。仕事は成長のステージだから」と語る森川。その信念は、全ての仕事に貫かれている。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
中学時代の野球部の監督は、今でも最も恐れ、尊敬している存在。礼儀作法も、何事もあきらめない負けん気の強さも、全て監督と野球部での経験から学び取ったものだ。中でも、「自ら考え、自らの意見を持つ」ということについては、3年間を通じて徹底的に叩き込まれた。
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