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メーカー(紙・パルプ) / マスコミ(印刷)
最終更新日: 2007/12/27
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プロの仕事研究
新たなラミネーターを立ち上げ、生産力を飛躍的に向上させた生産管理のプロ。
技術系−製造技術開発・生産管理
生産技術本部 品質保証部
小林 玲二 (31歳) Reiji Kobayashi
入社9年目 / 崇城大学 工学部 ナノサイエンス学科 出身

プロフィール
学生時代には工業化学について学んでいたため、化学品メーカーをはじめとする化学の力が活かせるフィールドを求めて就職活動を展開していた。そんな中で日本紙パックと出会い、2000年に新卒として入社を果たす。生産現場の第一線で数々の経験を積みながら成長を遂げ、現在では同社のエース社員として活躍を続けている。

プロローグ
小林は、目の前に広がる光景に思わず身震いした。

日本紙パックへの入社を検討している中、初めて生産現場に足を踏み入れた時のことである。そこでは、実にダイナミックなスケールで製造の各工程が進行していた。巨大な機械。機械を操っているオペレーターたち。たった一つの製品が完成するまでに、これほど大規模な機械や多くの人が関わっている――そう思うと胸の奥底から感動が込み上げてきた。その時、心は決まった。2000年4月、小林は日本紙パックへの入社を果たすのであった。

入社後は、生産の第一線で文字通り“モノづくり”に従事した。印刷機のオペレーション、品質管理業務、生産管理…数々の経験を積みながら成長を遂げていく。そして入社から6年が経過しようとしていた頃のこと、大きなターニングポイントが訪れた。「工場に新たな生産機械が導入されるらしい」。その事実を耳にした小林は、新機械の立ち上げを手掛けてみたいと思った。「こんなチャンスは滅多にない。是非とも挑戦したい」。その想い通り、新機械の立ち上げは小林に委ねられることが決定した。

新型ラミネーターの立ち上げ――そこで対峙する困難の数々を、この時の小林は知る由もなかった。

新たなラミネーターを立ち上げることで、会社の業績も向上する。 1
“紙”を飲料用のパックとして成形していく。例えば単に紙をそのまま組み立てたとすれば、当然、液体を入れた際に浸透が起きてしまう。そこでは紙に特殊な“コーティング”を施す必要があり、樹脂(ポリエチレン)を貼り付けなければならない。加えて容器内に外部からの“光”が届くと変質が起こってしまうために、遮光性を持つアルミを付着させる必要がある。そのように製品を成形していく上での様々な加工を行なうのが、ラミネーターという機械だった。

今回立ち上げるラミネーターを上手く軌道に乗せることができれば、会社としても生産量を大幅に増加させることが可能となる。業績が右肩上がりに伸びていた背景もあり、小林には大きな期待が寄せられていた。「何としても、成功させなければならない」。プロジェクトのデッドラインは半年後。決してのんびり進めていけるような期間ではない。小林は、表情を引き締めて挑んでいった。

これまでの経験が邪魔をしてしまい、作業が難航していく。 2
新たな機械をうまく稼動させていくための“人員配置”や“作業分担”。さらには各種基礎データの収集など、小林は大車輪のごとく躍動していた。これまで工場内で稼動してきた旧型ラミネーターと同様の考え方で、新たなラミネーターに対する各種設定を進めていく。「これまで培ったラミネーターに関する知識やノウハウ。それを新しいラミネーターに当てはめていけば…」。そのような考えのもと順調に作業を進めていた…かに見えた。だが、数々の壁が目の前に立ちふさがってくる。

旧型のラミネーターと新たなラミネーターとでは、稼動スピード、生産量…などスペックが根本的に違っていた。本来であれば、新たな機械のスペックに合う設定やアプローチを一から考えていく必要があったのである。そのことを意識しないまま作業を進めていたため、多くの弊害が生まれてきた。最も大きな壁として小林の目の前に立ちふさがったのが、製品の“強度”に関するものだった。紙に樹脂を貼った際に、はがれてしまうようなことがあってはいけない。だがその強度において、社内基準として定められている規格を満たすことができなかったのである。

表面処理が上手くいかない…が、諦めない。 3
「どうしてだろう…?」。原因が分からない。小林は何度もテストを繰り返した。ラミネーターの設定を調整しては、新たな条件で稼動させてみる。この作業を繰り返す日々が続いていた。

紙に樹脂を貼る前には、表面処理が行なわれる。この表面処理を経た上で、紙と樹脂がうまく接着されるのである。旧型のラミネーターにおいては、表面処理が上手くなされていた。それによって高い強度も実現されていた。あらゆる打開策を試していく小林。朝早くから現場に入り、夜遅くまで作業を続ける。そんな日が1ヶ月も続いていた。「もうダメかもしれない…」。“諦め”の二文字が小林の脳裏にちらつく。だが、作業を止めることはなかった。「責任を負っている以上、自分が諦めてはいけない。何としても成功させなければ」。その想いが、小林を突き動かしていた。

試行錯誤を重ねた先で――小林が迎えた結末。 4
「様々な手段を講じても、求められる強度は実現できなかった…」。万策尽きたかに思えたが、ただ一つだけ試していないことが存在した。「一応、試してみなければ…何が起こるか分からない」。小林は自身を奮い立たせつつ、最後の望みを託して紙と樹脂の接着を試みた。すると――。

「ウソだろ…?」。小林は自分の目を疑った。そこで上がってきたものは、求められる強度を確かに実現していた。欠かすことができないと思われていたことが、実は必要なかった。これまでの経験に基づく行動が、新しい方法の発見を遅らせていたのである。最後まで諦めない姿勢が、今回の結果を手繰り寄せた。小林は胸を撫でおろした。かくして、峠を越えた新たなラミネーターの立ち上げは軌道に乗っていくのであった。

2006年、秋。新たな機械の立ち上げに取り掛かってから、数ヶ月が経過していた。「今頃この新しい機械で製造された製品が、クライアントのもとに届けられているんだなぁ…」。新たなラミネーターから生み出された製品が、正規の商品としてクライアントに納入される。それはラミネーターの立ち上げが成功し、順調に稼動していることを意味していた。感慨深そうに、小林は窓の外をふっと眺めた。その後ろでは、新しいラミネーターが力強く動いていた。

エピローグ
新たなラミネーターの稼動を軌道に乗せたことで、生産力が飛躍的に向上した。それと呼応するかのように、会社の業績も上がっていく。世の中からのニーズが高まっても、それを生産するキャパシティがなければ売上を伸ばすことはできない。そのように企業活動の肝となる部分を支えているのが、小林のような技術者たちなのである。

2007年、小林は品質保証部へ異動した。「今は製造現場ではなく本社での勤務が主ですが、いつかまた現場の第一線に戻りたいと思っています。そこで、現在の仕事を通じて得た知識やノウハウを活かしていくのが自分の役割です」。日本紙パックの将来を担う存在として、小林の挑戦は続いていく。
品質保証部へ異動してから、クライアントと直接やり取りを行なう機会が増えた。そこで学ぶことは非常に多い。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
“挨拶”こそが、何より大切なもの――それが小林の考え方である。相手に与える“自分の印象”を常に念頭に置きながら、仕事に取り組んでいる。それにより、仕事を円滑に進めていけるのである。この考え方は学生時代に励んだ“魚市場でのアルバイト”や、学校や日常の生活を通じて身に付けたものである。
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