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最終更新日: 2008/04/17
(マークの説明) 正社員 理文不問
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プロの仕事研究
戦略的な販売計画を立て、自販機の売上を125%アップさせた営業のプロ。
営業・販売系−営業(個人・ルートセールスが中心)
自販機営業部 墨田店/主任兼店長代理
高橋 健太郎 (27歳) Kentaro Takahashi
入社4年目 / 東海大学 工学部 建築学科 出身

プロフィール
学生時代に飲料メーカーでソフトドリンクを自販機に補充するアルバイトを経験。そこで緻密な販売戦略のもと、売上を伸ばす仕事を知り、魅力を感じた。中でも表彰制度や歩合給制度のある三和ベンダーに惹かれ、2005年に入社を果たす。現在は主任兼墨田店の店長代理として部下の育成、営業所全体の売上向上にも尽力している。

プロローグ
ソフトドリンクをいっぱいに積み込んだトラックを降り、自販機に向かう高橋。その間、すれ違う人の観察は怠らない。学生なのか、会社員なのか、男性が多いのか、それとも女性が多いのか。自販機の売上向上はその限られたスペースで、いかに周辺マーケットのニーズに応える商品を揃えられるか否かに懸かっていた。

入社2年目の高橋に任されていたのは、100台にも及ぶ自販機の売上管理。そこには一つとして同じ商品ラインナップの自販機はなく、それぞれオリジナルの販売戦略で売上を伸ばしていた。各自販機はいわば自分が経営する店舗。高橋は自分の判断一つで売上が変わるルート営業という仕事にやりがいと面白さを感じていた。

そんな中、高橋の営業意欲を沸き立たせるキャンペーンが開かれた。『115%UPキャンペーン』――それは10月からの3ヶ月間、全営業社員が前年比115%を一つの指標に担当自販機の売上を競い合うものだった。毎年、冬になると寒空の下、わざわざ自販機に足を運ぶお客様は減り、売上も落ちてしまう。その対応策とも言えるキャンペーンで高橋が狙うは1位。これまで培ってきた経験がどこまで結果として残せるのかを試すチャンスでもあった。

ホットドリンクの導入と新規顧客の開拓がカギ。 1
キャンペーンの勝敗を分けるポイントは大きく二つあった。一つはホットドリンクを導入するタイミング。一般的に平均気温が15度を下回ると温かい飲み物が売れ始めるとされていた。キャンペーンは暑さが残る10月に始まり、徐々に気温が下がる中で行なわれる。売上をアップさせるには気象情報をもとに、ホットドリンクコーナーをタイミング良く設ける必要があった。

そしてもう一つは、いかに新しい顧客を増やすか。キャンペーンの対象となるのは前年も存在していた自販機。ゆえに新たに自販機を設置し、売上を伸ばすわけにはいかない。つまり商品ラインナップを変え、新しいお客様を振り向かせることがポイントだった。

1位を獲得するために高橋は、担当自販機の中から売上向上が見込めるものをピックアップし、集中的に販売戦略を練ることで平均売上を伸ばそうと考えた。中でも注目したのは駅前ロータリーにある一つの自販機。朝には多くの会社員を乗せたバスが集まり、夜にはその乗客たちがバスを待つために列を作る。多くの人が行き交う中に佇む自販機は、工夫次第でさらに売上を伸ばせるのではないかと見込んだ。

他社自販機のお客様を振り向かせるために。 2
この自販機を選んだのには、もう一つ理由があった。それは他社自販機と併設されていること。孤立したものよりも目立ち、集客率も高い。商品によっては隣の自販機のお客様を三和ベンダーの自販機に振り向かせ、効率良く売上を伸ばせる。もともと三和ベンダーでは、多くの自販機を「100円」という低価格に設定しており、それだけでも十分な競争力を持っていた。そこで、売上を確実に伸ばすために高橋は他社自販機の商品を確認し、対抗する販売戦略を考えた。

まずは人気不動のお茶と缶コーヒー。他社自販機には長年、人気ランキング上位に位置するブレンド茶と缶コーヒーが並んでいた。そこで選んだのは他社自販機には無い緑茶。また缶コーヒーも新商品としてCMがされている種類、しかも微糖やブラックコーヒーに絞って勝負に出る。「仕事に向かう会社員は、スッキリとした微糖やブラックコーヒーを好むはずだ」と予想してのことだった。

結果はわずか2日後に表れた。補充のために再び自販機を訪れた高橋は、期待と不安が交錯する中で、売上データを確認する。その数字は大きな伸びを示していた。それは他社自販機のお客様が三和ベンダーの自販機に振り向いたことを意味している。高橋は自分の戦略が正しかったことに喜びを感じ、次なる段階に備えた。

売れると見込んだ商品。しかし結果は… 3
季節が秋から冬へと移り変わる11月。高橋はホットドリンク導入のタイミングを、気象情報をもとに見計らっていた。導入が遅れれば、引き寄せたお客様はすぐに隣の自販機に戻ってしまう。そんな矢先、翌週から朝晩は冷え込む日が続くとの予報が発表された。平均気温は15度を下回っていないが、「通勤時間の気温が下がるならば…」と思い、早々にホットドリンクコーナーを設置することに決めた。

翌日、自販機にホットドリンクコーナーを作り、新商品としてお汁粉とコーンスープを並べた。朝食を抜いてきた人や、夕方ちょっとした空腹感を覚えた人には、これらの温かい商品が喜ばれると思ったのだ。作業を終え、ふと隣の自販機を見ると、まだホットドリンクコーナーは作られていない。一足先に温かい飲み物を販売することで、売上がさらに伸びると期待し、その場を後にした。

しかし数日後、売上データを見た高橋は愕然とした。お汁粉とコーンスープが売れていない。温かいコーヒーが数字を伸ばしていることから、ホットドリンクコーナーを設置するタイミングをはずしたとは思えない。高橋は原因を探るために離れた場所から自販機を観察し、お客様の動きを追った。

お客様が飲み物を選ぶ基準とは。 4
数分後、会社員がホットコーヒーを購入し、バスを待つ列に並んだ。コートの襟を立て、ホットコーヒーを飲む姿は想像した通りの光景。しかし、そこでふと気が付く。高橋はスーツ姿の会社員がお汁粉やコーンスープを持つ姿を想像できなかった。「お客様は単純に飲みたい物を購入するのではなく、自分のスタイルに合わせて飲み物を選んでいるのか…」。そんな結論に至った高橋は、すぐに商品の入れ替えを行ない、さらなる売上向上を図った。

そして迎えた12月末。その自販機は3ヶ月間で700万円もの売上を記録し、前年に比べると125%もアップしている。「これなら1位も夢じゃない」。そう思い高橋はキャンペーンの結果を待った――。

「第5位、高橋健太郎」。営業部門の責任者が入賞者の名前を読み上げた。期待に胸を膨らませていた高橋だったが、結果には結びつかなかった。全営業社員50人中の5位という結果は上出来だったが、1位を目指していただけに悔しさが込み上げる。しかしキャンペーンを通して販売戦略に磨きをかけ、他社の自販機に勝る売上を記録したことは間違いなかった。高橋は悔しさが残るものの、そのプロセスに大きな達成感を得ていた。

エピローグ
キャンペーンが終了してからも、高橋が担当する自販機は好調な売上を記録し続けた。自分の判断で、売上が大きく変わることの面白さを改めて実感した高橋。現在は2人の部下を持ち、このとき得た販売ノウハウを伝えている。「もちろんリベンジをしたいですよ。ただ、今は部下に自分の判断一つで売上を変えられることの面白さ、そして売上が伸びたときの喜びを味わってもらいたいと思っています」。

自販機という無人の店舗。しかしそこを訪れるのは人であり、またそのお客様のニーズに応えるのも人。数多くの小さな店舗の経営者として、高橋は現在も、様々なデータをもとにした販売戦略で多くのお客様のニーズに応えている。
商品の選び方は、自販機の設置場所によって様々。そのため売上アップのノウハウは、常に社員同士で共有している。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学時代、より高いレベルで学びたいとの思いから、試験を受けてワンランク上の大学への編入を経験。周囲からは合格率の低さから失敗すると言われていたが見事に乗り越え、希望を叶えた。このときの経験が現在、困難だと感じる問題に直面しても、努力や工夫を重ねて解決していく姿勢の基礎となっている。
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