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最終更新日: 2007/10/18
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プロの仕事研究
納品時のトラブルを糧に、新たなビジネスチャンスを広げたIT機器サポートのプロ。
営業・販売系−営業(法人・ルートセールスが中心)
ドキュメントソリューション事業部 MAF課
佐々木 智子 (26歳) Tomoko Sasaki
入社5年目 / 武蔵野女子大学(現:武蔵野大学) 文学部 日本語・日本文学科 出身

プロフィール
2004年に入社。新人研修後、虎ノ門支店へ配属される。2年後、ドキュメントソリューション事業部のMAF課へ異動。現在はクライアントが使用する各種IT機器をチェックし、同時に関係部署へパンフレットなどを配布。他社の動向に関する情報を収集しながら、新規提案などの営業活動を展開している。

プロローグ
入社からの2年間、佐々木智子は新人ならではの苦労を常に感じていた。IT機器に関する知識不足はもちろん、スムーズにクライアントとのコミュニケーションを図れないことが悩みの種だった。自社で扱うIT機器以外の製品情報も理解しなければならず、当初は覚えるだけで精一杯。マニュアルに従って機器をチェックし、先方の管理担当者に製品パンフレットを手渡す。「よろしければご覧ください」。それ以上は話が膨らまなかった。そのため、先輩同行が頼みの綱。先輩が現場で交わす会話を吸収し、少しずつ実践していった。2年間は、まさに修行の毎日。だが、入社前に「最初の3年間は何事も我慢して頑張ろう」と決意していた。そんな地道な努力が認められ、佐々木に信頼を寄せるクライアントの数も次第に増えていった。

入社3年目の夏、MAF課へ異動。仕事に対する自信が付き、モチベーションも高まっていた。そこで任されたのが、大手メーカーのB社。まずは前任者に同行し、先方の管理担当者と挨拶を交わした。気さくな人柄の担当者と、すぐに打ち解ける。その後も定期訪問を繰り返し、互いの信頼を深めていった。

商談へ発展しないメーカーへのアプローチ。 1
佐々木が携わる業務は、クライアントが導入するIT機器の使用度チェックである。同時に周辺機器の年式などを見極め、製品の新規導入を行うソリューション提案へと話を膨らませていく。実は、それが最も重要なミッションだった。一般的に言われるリース用IT機器の償却期間は約5年。しかし、急速なコンピュータやネットワーク技術の進化によって、関連する周辺機器も年々バージョンアップが繰り返されている。そこで、佐々木は3年をメドにして、機器のリプレイスを先方に推奨していた。

当時、B社は主に他社と取引していた。エイコーとの関係も長かったが、微々たる売上があるのみ。しかし、B社の管理担当者は佐々木の前任者に対して「何か機会があれば、必ず頼むよ」とコミュニケーションを絶やさなかった。佐々木が担当になっても、そのスタンスは変わらなかった。佐々木はB社が入るビルにあるクライアントを訪問すると、必ずB社にも立ち寄った。そしてコンタクトが始まって約半年が過ぎる頃、ようやくB社からの初仕事が舞い込んできた。

商談はスムーズに運び、納品日を迎える。 2
ある日、「ちょっと相談があるから…」と佐々木に声がかかった。事務機器の入れ替えを検討しているのだという。B社の担当者は導入コストを軽減する方法を模索するため、他社にも商談を持ちかけていた。しかも、最終的な決裁権は担当者の上司が持っている。それまで上司とのコンタクトが少なかった佐々木には、ハンデがある。それでも、ようやく探り当てた契約のチャンス。一心不乱に商談を進めた佐々木は、ついに契約を獲得した。金額的には数百万円。自身の売上としては、平均レベルだ。しかし、この案件を機にビジネスが広がる可能性はある。

一方で、先方から提示された条件は厳しかった。納入するアイテムのイメージが指定され、それにマッチする製品は佐々木が発注をかけるメーカーでは品薄の状況。特に高いハードルとなったのが、発注から1ヶ月後の納期だ。通常ならば、もう少し時間が欲しいところだった。佐々木は迅速なアクションを心がけ、何とかクライアントのニーズに応えようとした。ついに迎えた納品日、佐々木は見事に製品を揃え、後は設置作業が完了するのを待つばかりだった。予定ではお昼からの数時間で終わり、佐々木に電話が入るハズ。だが予定時刻が過ぎても、連絡はこなかった。

ひたすら頭を下げ、事の重大さを痛感する。 3
「何か問題が起きたのか…」。そんな不安が脳裏をよぎり、佐々木はB社へ駆けつける。不安は的中していた。設置作業が行われるフロアを見て、佐々木は顔面蒼白になった。周囲には箱が散乱し、作業スタッフが必死になって事務機器の組み立てを続けていたのだ。機器メーカーの担当者を見つけると佐々木は言った。「どうしてこんなことに…」。B社の担当者も同じことを佐々木に聞いた。当初の予定では派遣されるスタッフは3人。だが、実際は2人しか派遣されなかったのだ。搬入作業はもちろん、事務機器の組み立てが複雑だったこともあって時間が費やされていた。先方の上司も様子を見に来る。「一体、どうなっているんだ!!」。もはや、どうすることもできず、佐々木はひたすら謝罪した。自らも作業に加わり、梱包箱の整理を手伝う。周囲では業務が進められないB社の社員がスタッフに鋭い視線を送り、中にはミーティングルームで携帯電話からお客様に連絡を取る社員の姿も見られた。「納品の完了が遅れてしまった。段取りの行き違いが、B社に多大な損害を与えている…」。佐々木は奈落へ突き落とされたような思いで帰社し、上司に顛末を報告する。B社との関係は終わった、と悔やんだ。

佐々木の必死な対応に共感する人間がいた。 4
後日、上司がひとりで謝罪のためにB社へ出向いてくれた。B社の管理担当者は謝罪を受け入れるだけでなく、佐々木のことを気遣ってくれたという。それを上司から聞くと、佐々木は声を詰まらせた。今回の事態は、明らかに佐々木の段取りの甘さが原因。しかも当日、佐々木はB社の担当者が上司に叱咤される光景を目の当たりにしていた。「何とかして、信頼を取り戻したい」。そこで数日が過ぎた頃、B社を訪問した。改めて担当者に謝罪し、関係の修復に乗り出す。何度もめげずに訪問を続けていると、ひとりの人物に声をかけられた。B社の営業を統括するグループ長だった。「あの時、みんなに頭を下げて回っていた人だよね」。グループ長は笑顔を浮かべ、冗談交じりにそう言った。佐々木は恐縮する。さらに話は続いた。「実は相談があるんだけど…」。

納品トラブルの時から、グループ長はB社における佐々木の行動を見守っていた、という。誠意ある佐々木の対応を評価して、何と新しい案件を持ちかけてきたのだ。まさかの展開。しかも、ビジネスとしてはスケールの大きな話。すぐにB社からのオファーについて上司に報告する。新たな信頼関係が育まれようとしていた。

エピローグ
新しい案件は上司が中心となり、佐々木もサポートする形で推進している。失態からの意外な展開ではあったが、佐々木が誠実な対応に徹した成果だった。とはいえ、反省すべき点はいくつもある。佐々木は何事も徹底して『確認』するなど、基本的な行動から見直していった。

また、佐々木にとってこれほどのトラブルは入社して初めての経験。一時、落ち込むばかりだったが、「それを跳ね返すほどの精神力を身に付けたいと思った」。そう語る佐々木は今日もさまざまなクライアント先を訪問し、新たな案件獲得に励んでいる。プロとしての理想像は「佐々木さんにお願いしたい」と頼られる存在になること。理想の実現に向けての努力は今後も続く。
真摯、かつ人間味溢れる対応でクライアントから多くの信頼を集める佐々木。自身を向上させ、自社の発展に貢献していく。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学時代、オーストラリアへの短期留学を経験。全てをひとりでやらなければならない環境に置かれ、自ら何事も調べ、考えて行動に移す術を学んだ。同時に、「失敗しても自分の力でできるところまで最善を尽くす」という気持ちを養えた。この経験が自信につながり、困難があった分だけ成長できると考えている。
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