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メーカー(精密機器) / メーカー(医療機器) / メーカー(メーカー(その他))
最終更新日: 2007/10/01
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プロの仕事研究
商品展開を通じて医用分野における“世界のHORIBA”を広めた、営業のプロ。
営業・販売系−営業(法人・新規開拓が中心)
株式会社堀場製作所  医用システム製品企画部 製品企画チーム/チームリーダー
西村 謙一 (35歳) Kenichi Nishimura
入社10年目 / 京都大学大学院 農学研究科 応用生物学 出身

プロフィール
1972年から既にグローバル展開をしていた堀場製作所に魅力を感じ、同社へ入社。いろんな人と接して知識を吸収したいと営業職を希望し、医用機器部門へ配属された。入社直後にアジア市場の開拓、続いてアメリカ市場開拓を果たし、現在は営業を離れ企画部でチームリーダーとして働いている。

プロローグ
西村が入社した当時、堀場製作所が開発した医療用機器は日本国内をにぎわせていた。これは赤血球など血球の数を計る血球検査(CBC検査)と、血液に含まれる特定のたんぱく質量を測定する検査(CRP検査)を同時に行うもの。同時測定をすることで、急性の炎症を検査できる機器だった。堀場製作所が次に狙うのは海外市場。「海外へ行ってくれないか」。その開拓を任されたのは、入社間もない西村だった。

たった一人で任されたアジア市場の開拓。中国、韓国をターゲットに製品の販売網となる代理店を探すのが仕事である。「日本で圧倒的なシェアを誇った製品。海外でもすぐに受け入れられるだろう」。そう考えていた西村は、思いもよらない壁にぶつかった。日本と医療制度が違う両国では、検査自体のメリットから説明していかなければならないのだ。最初の1社が決まるまで、実に1年。その後も3年をかけて少しずつではあるが、着実に取引先を増やしていった。

アジア市場を開拓し始めて3年。成功を収めた西村に、年間医療費が日本の約2倍という医療大国であるアメリカのグループ会社への赴任が課せられた。「また、一からの開拓だな」。闘志がみなぎった。

迎えたのは、疑いの目。 1
与えられたミッションは当時既に排気ガス計測で確立していた“HORIBA”の名を、医用分野でもアメリカに広めること。そのために選ばれたのはCRP検査機器だった。当時CBC-CRP同時検査機器のアメリカでの販売権は、フランスのグループ会社が所有。しかし医療制度の違いから、積極的な販売は行っていなかった。そこでCRP検査機能のみを備えた製品を持ち込み、販路を築くことにした。

そこで最初に行ったのは、社内に製品の良さを理解してもらうこと。アメリカ市場にとってこの装置が本当に価値あるもの、として理解してもらうことだった。「本当に売れるのか?」。アメリカでは、制度、顧客ニーズの違う日本で開発されたこの製品に懐疑的な視線が向けられていた。

もちろん、顧客である医師に対する説明も必要だ。しかし英語に不慣れな西村の発音では、理解されないことも多かった。現地の社員を同行して商談せざるをえない。製品の良さを伝えきれない西村と、製品の良さに納得していない社員、製品を知らない医師。最初の製品が売れるまで、ここでもまた1年がかかった。

解決すべき、問題点。 2
1年をかけた販売活動を通じ、西村はある実感を得た。それは、アメリカ市場にはCRP検査機器だけでは通用しないということ。だが「CBC-CRP同時検査機器なら十分に通用する!」。それは、医師と交流を深める中で感じた手応えだった。複数の検査を同時に行うことで、診断スピードが上がる。また、コストを抑えるメリットも提示することが出来るからだ。

新たな発見。壁を乗り越えることで自ずと意識は高まる。「医用分野でも“世界のHORIBA”として、アメリカに名をとどろかせることが自分の使命なんだ!」。しかし販売権を持つフランスのグループ会社は、医療制度の違う日本発の製品に懐疑的。使命を全うするためには、CBC-CRP同時検査機器がアメリカ市場でも通用することを実証する必要があった。

西村は調査を開始した。調査対象はアメリカの医療制度や医師への報酬制度。省庁が発行する、基礎検査のガイドラインも読み込んだ。考えられるあらゆる調査を実施した結果、小児科、リウマチ科、化学療法科の3つがターゲット市場として浮かび上がってきた。

マーケティングに基づく具体的な販売見込みは立った。残す問題は、グループ会社との連携。「こんなところで、つまずいている場合じゃない」。西村の決意が固まった。

西村は、協力関係を生み出した。 3
決意したのは、全てを巻き込むこと。日本、アメリカ、フランスという文化、制度の壁を越えた販売プロジェクトを立ち上げることだった。3ヶ国のグループ会社が集うアメリカでの展示会。この機会に西村はCBC-CRP同時検査装置の販売プロジェクトを提案した。徹底的に調べつくしたアメリカでの市場調査は十分に説得力のある内容。フランスの会社も自国、ヨーロッパ諸国での販売を決意し、3社共同のプロジェクトが動き出した。

日本が開発、フランスがグローバルマーケティングと企画、アメリカがローカルマーケティング。得意分野に基づいた分担がなされた。西村の役割はこの3社の間を取り持ち、プロジェクトを進行させること。だが、それは想像以上にハードな仕事だった。アメリカ国内を東西に移動するだけでも朝の5時から16時まで掛かる。思うように仕事を進められなかった。
それ以上に問題になったのは、製品検証の方法が違うこと。フランスが要求するプロトコールでは、日本は通常検証を行わない。検証のやり直しが繰り返された。たとえ検証の題名が同じでも、内容が異なることもある。すれ違いが起きる度に西村は状況を聞き、進行スケジュールを調整した。

誤解をなくすために、自分に何ができる? 4
西村は、ウィークリーミーティングを行うことにした。週1回、朝7時にフランスと電話で打ち合せ。現地時間では16時のフランスと検査の目的、内容、理由まで確認し合う。その後、議事録を作成しフランスの確認を取る。OKが出てからアメリカに広報した。同日の夕方、電話の相手は日本。朝の日本に、フランスとのやり取りを共有した。一日に日本、アメリカ、フランスそれぞれと直に話をする。悪気が無くても距離が離れているから起こる、すれ違い。それを解消するために考案した手法だった。

プロジェクトを通じ3ヶ国の社員が集まったのは2回。個々に出張したことを除くと、直接顔を合わせる機会はない。メールでは伝わりきらない微妙なコミュニケーションを、西村がフォローした。状況を伝え、時には相談を受ける。いつの間にか文化も制度も違う3社は、チームとして機能していた。

そして迎えたフランスでの発売。日本から200台ほどの機器が輸出された。世界を巻き込んで製品を売り出す。各社、各人が一丸となって取り組んだ成果だった。

エピローグ
2006年3月、西村は日本へ帰国することとなった。新たな役割は製品企画チームのチームリーダー。
「堀場製作所に入社したのは世界を舞台にして活躍したい、と考えたから。アジア、アメリカと異なる市場でのビジネスを経験したこと、また3社共同でプロジェクトを行ったことで、いろんなやり方を覚えることが出来ました」。市場が求めるものを探り、それに応える製品を開発する。西村が担うのは、マーケティング主導型の製品企画によるさらなるシェアの拡大だ。

異なる文化を持つ3社の調整をして覚えた、市場へのアプローチ。「プロジェクトの真ん中に立って吸収した知識を、日本の社内にも市場にもアウトプットしていきたいですね」。
顔を合わせて話すことで、文化や制度の違いも乗り越えられる。さらに、新たな発見やアイデアが生まれてくると言う。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代にバックパッカーとして海外を放浪。様々な感じ方、考え方の存在を知った。自分と人に違いがあることは当然と実感しているため、仕事上で考え方に大きな隔たりがあっても動じることなく、ギャップを埋めていこうという前向きな姿勢が取れている。
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