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メーカー(自動車・輸送機器) / メーカー(機械・工作機械・ロボット) / メーカー(半導体・電子・電気部品)
最終更新日: 2007/11/29
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プロの仕事研究
成型困難な鞍型キャタコンシュラウドの量産方法を確立した、生産技術のプロ。
技術系−製造技術開発・生産管理
自動車部品事業部 技術部 技術課 板金技術グループ
石田 真一 (38歳) Shinichi Ishida
入社16年目 / 大同工業大学 工学部 機械工学科 出身

プロフィール
クルマに興味をもっていたことがキッカケでアスカに入社を決める。その思いが通じたのか、配属先は自動車部品事業部 技術部 技術課。クルマのボデーやシャーシ部品の製造工程設計をメイン業務とし、他にも金型の工程設計を行っている。現在も同部署にて様々な自動車部品の生産工程を設計している。

プロローグ
「こんなにもシワが発生するものなのか…?」 石田はプレスされたその部品を見て愕然とした。部品の中心部に予想以上のシワが発生していたのだ。本当に部品ができ上がるのか。石田は途端に不安になった。

石田が生産工程を設計したのは「キャタコンシュラウド」と呼ばれる部品だ。自動車の排気ガスを浄化するために欠かせないキャタリックコンバーター(キャタコン)のカバーとして利用される部品である。キャタコンは排気ガスを浄化する際に高温になる。キャタコンの熱で、地面にある草などを燃焼させないためにキャタコンシュラウドは必要なカバーだ。この時のキャタコンシュラウドは、鞍型と呼ばれる真ん中にへこみのある形状だった。そして、1枚の板を成型するのではなく、0.4ミリと0.6ミリの板を重ね合わせて加工するもの。そのため、成型の難しさからある程度のシワの発生は考えられる事態だった。しかし、プレス後に見たキャタコンシュラウドは、もはやシワというレベルを超えていた。金属板が重なり合い、部品としての機能を満たすものではなかったのである。

培ってきた経験から、改善策を見出した。 1
「さて、どうしたものか…」。石田は考えていた。生産工程において問題が発生した場合、問題点を分析し、再度構築し直した生産工程をメーカーへ伝えるのが生産技術である石田の仕事だ。最初は右も左もわからなかった石田だが、先輩につきメーカーを訪問したり、生産工程のスケッチを積み重ねることにより、石田は確実に成長を遂げていた。そのため、予想外の状況にも落ち着いて改善策を考えていった。

石田が考えたのは金属板にビードと呼ばれる縁をつけることだった。プレス時に金属板が中心部に引き込まれすぎないよう、板の両脇と中心部にビードをつければ、シワの発生を防げるかもしれないと考えたのだ。早速、メーカーへ提案する石田。石田の提案はすぐに実行された。しかし、簡単に結果に現れてはくれない。何度も調整を繰り返しながら、キャタコンシュラウドのシワを防止していった。

シワの防止と新たに浮上する問題点。 2
「これなら大丈夫ですよ!」 ついにメーカーから許可が下りた。そうと決まれば話は早い。実際の製造ラインに投入し、量産を開始するだけだ。調整に1ヶ月半も費やした。納期が迫っていただけに、石田は肩の荷が下りる思いだった。しかし――。

「今度は何ですか!?」 石田はメーカーからの連絡に耳を疑った。量産が始まるとすぐに問題が発生したのだ。「シワの防止には成功したはず…」。何が起きているのか、状況を想定するが思い当たる節はない。だが、現場に到着しプレス後のキャタコンシュラウドを見ると、すぐに問題がわかった。キャタコンシュラウド表面のメッキが剥離していたのだ。

石田は原因を考えた。「ビードの位置は徹底的に吟味した。一体どこに問題が…」。しばらく考え、あることに気づく。「圧力か!」 原因はプレス機にあった。試作時のプレス機と量産時のプレス機では、圧力のかかり方が微妙に違っていたのだ。そうなれば、プレス機の特性が違う場合でも不具合が発生しない工程を考えなければならない。とはいえ、残された時間は3週間。石田は焦りを感じていた。

トライ、トライ、トライ。緻密な調整を繰り返す。 3
「今回はこちらで対応させていただきます!」 納期が迫っていたこともあり、石田はメーカーとやりとりをしながら調整をするのではなく、自社で全てを対応することにした。トライ後にすぐに検証することができるからだ。ただし、そのためには工場内で量産部品のメンテナンスを担当する工試係の協力が必要だった。工試係のメンテナンス現場を訪れ、状況を話す石田。すると、了承を得ることができた。そしてまた、細部にわたり調整をしていくのだった。

工場内のプレス機を利用し、成型を開始する石田。ただし、ここでもプレス機の特性を加味して成型を行わなければならなかった。というのも、アスカ工場内にあるのは300トンの力をゆっくりと加え成型していく、油圧式のプレス機。メーカーの工場にあるのは200トンの力を一気に加え成型する、メカ式のプレス機だった。二つのプレス機の特性を踏まえ、条件を吟味していく。メッキが剥がれないように、ビードの形状も変えた。そして、何度も調整を繰り返す。納期が近づいてくるプレッシャーはあったが、必ず何とかするという気持ちで、石田は工試係と共にトライを続けていった。

トライの末に学ぶこと。 4
「これなら大丈夫だろう」。工試係が言った。出来栄えを見る石田。確かにメッキの剥離は見られない。この条件なら、きっとメーカーのプレス機で成型したとしても上手くいく。石田はそう確信した。そして、成型工程を伝えるべく、メーカーの工場を訪れた。

「こちらでお願いします」。石田はそう伝えると、メーカーに量産を頼んだ。そして、しばらくするとプレス機の大きな音と共に、キャタコンシュラウドができ上がってきた。その一つを手に取り確認する石田。シワも、メッキの剥離もないことを確認し、ホッと胸を撫で下ろす。しかし、肝心なのはこれからだ。一つでも不具合が発生すれば、また調整しなければならない。そう思い、成功を祈りながらも一抹の不安を抱えながら量産状況を見守っていた――。

「お疲れ様でした! おかげさまで何の問題もなく終わりましたよ」。メーカーからそう伝えられる石田。「よかった…」。石田に安堵の表情が浮かぶ。量産を開始するために何度もトライを行った。その結果、限られた時間の中で確実に成果を出すことができたのだ。量産工程を確立するまで付き合ってくれた工試係に感謝すると共に、石田はメーカーの工場を後にした。

エピローグ
「モノづくりの現場は、一人でつくり上げるものではなく、協力してくれる様々な人たちとつくっていくもの。メーカーさんであったり、現場の製造スタッフの方々、上司や先輩、後輩と一体となってつくるものです。だから、問題が発生したらお互いに助け合うし、成功したら皆で喜ぶことができるんですよね」と、語る石田。

またもう一つ忘れてはいけないのが、最後までやり抜く姿勢だという。どんなに厳しい状況に追い込まれても、諦めずにやりきれば必ず自分の成長につながる。そう考え、石田は部品に合った最適な生産工程を探し続けている。
「このプレス機で何度もキャタコンシュラウドを成型しました。工場内にはさらに大きな1600トンのプレス機もありますよ」。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
卒業研究では実験を繰り返す毎日だった。求める値が出るまで何度も失敗を繰り返したが、その都度反省し、理由を考えた。「どうすれば上手くいくのか?」と考える思考回路は、生産技術者としての石田の成長に大きく役立っている。
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