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メーカー(家電・AV機器) / メーカー(コンピュータ・通信機器・ゲーム機器) / メーカー(半導体・電子・電気部品)
最終更新日: 2007/10/22
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プロの仕事研究
オリンピックを音と映像で支えるべく、機材納入契約を成功させた海外契約業務のプロ。
事務系−国際業務・貿易業務
グローバルマーケティング統括グループ 五輪チーム
佐藤 桂子 (28歳) Keiko Sato
入社6年目 / 学習院大学 法学部 政治学科 出身

プロフィール
海外で生活していた経験もあり、世界を相手にグローバルな仕事に携われる企業を志望。様々な企業を訪問した中で、「会社は公器である」とする経営理念に魅かれ松下電器への入社を決意。入社2年目よりオリンピックチームに配属され、オフィシャルスポンサーとしてオリンピックにAV機器を提供する窓口として活躍中。

プロローグ
オリンピックという巨大イベントの舞台裏には、様々な技術を供与して、運営を支える企業の姿がある。松下電器もその1つ。“TOP(The Olympic Partner)”という最高レベルのスポンサーとして、1988年以来オリンピックに協賛し、音と映像でオリンピックの運営を支えている。開催国内の会場で使用される全ての音響、映像機器を納入し、期間中のオペレーションを行なうのである。

佐藤はそんなスポンサー活動の中核を担うべく、開催国のオリンピック組織委員会と交渉を行ない、細かな企画を決定して契約を結ぶオリンピックチームの一員。少女時代の一時期を海外で過ごし、「仕事をするなら、世界を相手とするグローバルな事をしたい」と考えていた佐藤にとって、このチームへの配属はまさに夢の実現への第一歩だった。

時が経ち、佐藤は北京オリンピック組織委員会との交渉をする席上にいた。いよいよ、直接の窓口としてベストな協力体制を作り上げるための任務が始まる。だがそんな佐藤の前に、大きな“壁”が立ちふさがる――。

驚きの異動――それは、オリンピックチームへの参加だった。 1
「世界を舞台とする、グローバルな仕事に携わりたい」。そんな希望を持った佐藤は、製品を世界に送り出す“グローバルな日本企業”への就職を目指していた。そして出会った企業が松下電器。経営理念の1つに、「会社は公器である」という言葉があった。世界に名だたる電器メーカーとして確固たる土台を持ち、その上でスポーツや文化活動へのスポンサー活動も行なっている。そんな企業の姿に、佐藤は共感を覚えた。

最初の配属は、システム部門。半年間にわたって研修を受け、やがて一人前のシステムエンジニアとして業務を行なうはずだった。だが研修が終わりを迎える頃、佐藤は意外な辞令を受けた。海外企業に対して、松下電器の構築したシステムを提供する海外部門の企画チームに異動したのだ。海外で活躍できる夢に近づけたことが、佐藤は嬉しかった。しかしさらに半年後、佐藤を驚かせる事態が待っていた。システム部門をはずれ、オリンピックチームへと異動することになったのだ。

松下電器の威信をかけたスポンサー活動。それは音と映像でオリンピックを支えること。 2
松下電器は全社を挙げてオリンピックへの協賛を行なっている。松下電器が開発した音響機器や映像機器を提供し、オリンピックを音と映像で支えるのである。納入する機器など協賛内容を決定し、開催国のオリンピック組織委員会との契約を結び、開催期間中のオペレーションの管理までを行なうのがオリンピックチームだ。

いよいよ、海外を舞台に活躍するチャンスが巡ってきた。佐藤は、この部署への異動を素直に喜んだ。だがここでの仕事は、限られた予算内で、数あるオリンピック開催会場に音響機器や映像機器を納入するというもの。佐藤にはスピーカーにどんなものがあって、いくらするものなのかも分からない。全くの“ゼロの状態”から勉強が必要だった。組織委員会、そして各競技の委員会と交渉し、予算に応じた機材を納入するのだが、ただ予算内に収まればいいのではない。世界に生中継されるオリンピックである。そこで使われる機材には、松下電器自体の威信もかかっているのだ。当然、投入される機材は相応のクオリティーを持ったものでなければならない。先方の要望と折り合いをつけ、ベストな状態を作り上げねばならないのだ。

北京オリンピックに向けての契約担当を務める。そこには大きな壁が待っていた。 3
2006年夏。佐藤は、北京オリンピックにおける松下電器の協賛内容の契約を結ぶべく、組織委員会との打ち合わせの場にいた。契約担当として、直接の窓口となったのである。佐藤が向かうゴールは、北京オリンピックの閉会式。そこから逆算してスケジュールが組まれていった。設置の開始日が決まり、機材の納入日が決まると、生産に入る日程も決まってくる。それまでに、全ての契約を完了しなければならないのだ。

ゴールに向けての交渉が始まった。だがこの組織委員会にはオリンピック運営を経験した人がおらず、加えて財務や法務などの各部門同士がうまく連携していないようにも感じられた。また何かを決めるにしても、各部門ごとに了承を得ないと先に進めない状況があり、そこでは“ある部門に了承を得たはずの案件が、他の部門でははねられる”という事態も生まれていた。会議の席上で、部門同士の折り合いがつかないことも多い。佐藤は頭を抱えた。何より辛かったのが、お互いを信頼しきれていない、という状況だった。何かを提案しても、利害に対する考えが先行して疑惑の目を向けられてしまう。信頼されていないのが、明らかだった。

紛糾する会議の連続の中、手渡されたプレゼント――。 4
「とにかく、信頼を得られるようにしなければ」。佐藤は事態を好転させるべく動き出した。できるだけ現地に赴き、各部署を回って一つひとつの案件についての説明を行なっていく。「決して有利に進めようとしているのではない。オリンピックを成功させるために、共に進みましょう!」。そんな気持ちを込めて丁寧に説明を重ねた。そんな佐藤に、組織委員会の面々はだんだんと心を開いていったのである。

2007年9月。常に厳しい意見を出してくるある委員が、佐藤を呼び止め、包みを手渡した。中にはスカーフ。中国では、中秋の名月の日に“大事な人にプレゼントをする”という風習があった。その日はまさに中秋の名月。佐藤は気が付いた。「あ、自分は認められたんだ」。じんわりと喜びが湧き上がる。ようやく、佐藤は受け入れられたのだ。だが、会議は終わりではない。最終の調印までにはまだ時間があった。激しいやり取りは続けられた。だが、以前のように信頼関係なしに進められる会議ではない。そこには、「共にオリンピックを成功させたい」という熱い思いが確かに流れていた。

エピローグ
松下電器の“TOP”としての活動は、2016年までの延長が決定された。佐藤は北京オリンピックの契約に取り組みつつも、すでに“次”に向けての活動を開始している。「北京オリンピックに関する会議は終わりました。安心したいところですが、お互いに最後までは気が抜けません」。そう語る佐藤は、決して立ち止まることなく今日も疾走を続けている。

初めて一から取り組んだオリンピックの開催――佐藤の仕事の成果は、音響、映像機器を通じて全世界へオリンピックの夢と感動が生中継され、世界中の人々とその夢と感動を分かち合う形で実現される。グローバルな仕事に携わりたいという佐藤の夢が、一つずつ現実となっていくのである。
オリンピックチームの中核を担う存在として、第一線で活躍を続けている佐藤。その挑戦に終わりはない。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学では、フィールドホッケー部に所属していた。団体競技であるフィールドホッケーでは、たとえ自分1人の調子が良くても、それが試合で勝利に結び付くとは限らない。そこで学んだのが「どんな時でも自分なりに目的を持ち、取り組んでいくこと」の大切さだった。その考え方が、現在の佐藤の活躍を支えているのである。
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