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メーカー(インテリア・建材・住宅設備) / メーカー(住宅・建築) / メーカー(鉄鋼・金属・非鉄金属)
最終更新日: 2007/12/27
(マークの説明) 正社員 理文不問
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プロの仕事研究
丹念な分析で不良箇所の原因を究明する、素材技術研究のプロ。
技術系−製造技術開発・生産管理
船橋素材技術課 技術係
池田 哲和 (27歳) Norikazu Ikeda
入社5年目 / 千葉工業大学 工学部 金属工学科 出身

プロフィール
大学では金属について研究。鉄や合金の世界の奥深さに面白味を感じ、金属に関わる仕事に就きたいと考える。会社説明会で新日軽が手がけたビルや建物を見て興味を持ち、入社を決意。入社後は現場で2ヵ月間学びながら経験を積み、現在は素材技術課に勤務中。技術者として製品の不良対策や原因究明に携わっている。

プロローグ
「こういうモノをつくるのも面白いな」。池田は入社説明会で、新日軽の製品が様々なビルや橋、建造物に使用されているのを知り、興味を持った。紹介されているものの中には、誰もが知っているような有名な建造物もあった。大学で金属について学び、卒業後も金属に携わる仕事をしたいと思っていた池田。「ここなら自分が学んできたことが活かせそうだ」と入社を決めた。

入社後配属された船橋工場の押出課は、サッシなどの住宅建材のほか、様々なアルミニウム製品を扱う部署だった。アルミニウムを製品化するには、地金を溶解炉で溶かし、円柱状の形に流し込んで鋳造する必要がある。棒状になったアルミニウムを『ビレット』というが、このビレットを様々な形状に加工するため、500℃前後にも達する高温で加熱する。その後ビレットを押出機にセットし、約2000トンの圧力をかけて一気に押し出す。この押出加工を受け持っているのが、押出課である。

技術者になるには現場を知らなければならないと、池田は押出係として現場の作業員と同じように働きながら実習を開始した。
技術者としての第一歩を、池田は踏み出したのだ。

「会社に行くのが怖い…」――マイナス思考で落ち込むばかりの日々 1
「もしかしたら、この仕事に向いていないのかもしれない…」。入社してからというもの、池田はため息ばかりついていた。現場実習を終えた後、生産技術のスタッフとして働き始めた池田。技術者として、生産時に発生する不良などの改善を主な仕事としていた。だが新人で知識も経験もない池田には、どうしても不良原因をつきとめることができない。上司からは「現場を見てこい!」と言われるが、何を見てきたらいいのかもわからなかった。

工場内はフォークリフトが行き交い、段差も多く危険な場所が多い。右往左往しているうちに、押出機から出てきたばかりの高温の建材に触れて、軽度の火傷を負ったこともあった。不良対策の改善をしても、結果に結びつけることができない。自分では精一杯頑張っているつもりが、上司や先輩からは「本気でやってるのか? 時間ばっかり無駄にして」と言われる始末。やがて池田は、「自分はなんてダメなんだ」と考え出し、会社に行くことすら怖くなってしまっていた。

そんなある日のこと、池田は不良率が高いと問題視されている建材が押出されることを知った。「待って下さい。その建材、僕が立会います!」。どうにか名誉挽回したいと思っていた池田は真っ先に手を挙げた。

どうしても原因を究明したい! その思いが先走ってしまう結果に 2
立会いとは、原因不明の傷やへこみなどを実際に現場で見る作業のこと。池田も技術課スタッフとして配属されて1年の間に、立会いを何度か経験してきていた。このとき、周囲には上司や先輩の姿が見えず、池田は1人で立会いを行なう判断をした。
「どこであんなへこみができるのか見てやろう」。そう意気込んでいた。

問題の建材は、アルミサッシ。池田は工程を見守るうちに、その建材がベルトコンベアー上で移動中、わずかな高低差などで生じる段差のショックを受けていることに気づいた。へこみに関しては一応見当がついたものの、まだ確定できる段階ではない。傷はほかにもある。完全な原因解明には至らなかった。

どうしたらよいのか対策が思いつかず考え込んでいると、先輩が通りかかった。「どうしたんだ」。池田が事情を説明すると、「なぜあの建材を押出することを事前に報告しなかったんだ。あれは問題が多い建材で、改善策を考えなくてはと上司と話し合っていたんだ。勝手にお前1人で立会いをして、原因がわかるのか!」と怒鳴られた。仕事の基本中の基本である“報告”を怠った、池田の完全なミスだった。

「なぜ?」を5回繰り返すうちに原因が見えてきた 3
池田はまたしても落ち込み、自分を責めた。もっと早い段階で報告をしなければいけなかったのだ。皆で問題視しているのに、自分1人で原因を究明しようとして立会いを行ない、その上経験不足から不良原因を解明できず、ただ不良品を発生させただけで終わってしまったのだ。

「池田。常に『なぜ?』を5回繰り返して自問自答しろ」。思い悩む池田に係長は言った。池田は素直にそれを実行した。
「俺はなぜ落ち込んでいるんだ?」「落ち込んだのは、自分が失敗したからだ」「ではなぜ失敗したのか?」「自分はまだ経験も知識もないのに、先輩に相談もしなかったからだ…」「ではこれからどうするべきか?」――答えは至ってシンプルだった。報告や連絡を怠らないこと。もっと知識を補うこと。経験を重ねること。「わからないことは人に聞けばいい」。まるで霧が晴れていくように、池田の悩みは消えていった。

仕事をしていて辛いなと思った時は「なぜ辛いのか?」と考える。精神的に追いつめられたとき、漠然と考えていても答えは見つからない。「駄目だ」と自分を卑下する前に、問題を掘り下げること。そうしていけば、答えは自ずと解けていくことに池田はようやく気づいたのだ。

技術者としての自信がつき、別人のような変貌を遂げる 4
池田は不良品の原因究明のときも“なぜなぜ分析”をするようになった。「なぜ?」を繰り返して丹念に原因を辿っていくと、これが根本の理由だといわんばかりに不良のメカニズムと理由が浮かび上がってくる。単純な自問自答を繰り返すうちに、問題に対して前向きに考えられるようになったばかりか、技術者としての分析力が身についてくるのを実感した。

池田は1年目の終わり頃から、周囲の視線が変わり始めたことを感じた。「なんだかこのところ急に変わったな。テキパキして動き方が前と違うじゃないか」と上司や先輩が口を揃えて言う。いつしか池田は積極的に動けるようになり、現場作業員ともうまく協力し合いながら問題解決に取り組めるようになっていたのだ。

「結局、仕事は1人でできる訳じゃない。技術者だからといって1人でデスクに向かっているようではダメだ。製品を加工するのは現場の作業員なんだから、お互いに信頼関係を築いて協力し合わなければ仕事はうまくいかない」。そう気づいた池田。失敗が未知なる可能性を目覚めさせ、1人の探究心旺盛な技術者を生み出したのだ。

エピローグ
「皆で取り組んできた不良対策が、結果に結びついてきているんです」。
誇らしげに微笑む池田。歩留(材料不良や作業ミスにより、不良品として廃棄される原材料部分)も少しずつ向上してきているという。

池田は現在、不良対策や究明だけでなく、条件管理基準の標準化や操業指示書の整備にも取り組んでいる。現場作業員には外国人も多いため、言葉の壁も大きい。操業指示書にポルトガル語を交えたり、カタカナで表記したりと気を遣う。現場との意思疎通が図れていなければ、いい製品はできないからだ。

そんな池田の将来の目標は、「製造だけでなく製品にも精通していて、工場全体をトータルで管理できる技術者」だ。
押出された建材に不良がないかどうか、丁寧にチェックをしていく。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
人見知りをするため他人とは全然しゃべれない性格だったが、大学のテニスサークルに入ってからは、一転してオープンな性格に。先輩や仲間と交流するうちに人の好き嫌いを言わなくなった。現在、どんなタイプの人とでもフランクに話すことができるのは、サークル活動時代にコミュニケーション能力が磨かれたからだと思う。
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