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メーカー(食品) / 流通・小売(専門店(食品)) / サービス(レストラン・フードビジネス)
最終更新日: 2007/12/27
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プロの仕事研究
既存スタッフの立場を尊重しつつ、店に活気を取り戻した店舗運営のプロ。
営業・販売系−店長
株式会社重光/ハーブス名鉄ヤング館店・店長兼名駅エリアマネージャー
熊谷 雄介 (30歳) Yusuke Kumagai
入社9年目 / 中京大学 商学部 商学科 出身

プロフィール
社長のお客様に対するまっすぐな想いに惹かれ、弟子入りする気持ちで飲食業界に飛び込んだ。入社後は、アル アビスの店舗運営を任され、店長を経験した。その後、ハーブス栄本店、ハーブス名古屋ラシック店の店長を歴任し、現在は名鉄ヤング館店の店長を担う傍ら3店舗をまとめるエリアマネージャーとして活躍している。

プロローグ
「この店が閉店するなら僕も辞めます…」。出店されているアル アビスのなかでも熊谷が慣れ親しんできた店舗が閉店になる。その話を耳にして以来悩み抜いて出した答えを、熊谷は社長に投げかけたのだった――。

「おいしいものを食べて喜んでいただきたい」。損得を考えずに徹底的にお客様を一番に考える社長のまっすぐな想いに共感した学生時代の熊谷。何も分からないまま飲食業界に飛び込んだ熊谷にとって、この店舗が出発点となった。とにかく笑顔で元気な挨拶に努めた新人時代。同期と助け合いながら仕事に励んだ日々。多くの思い出が凝縮されたこの店舗は、熊谷のすべてだった。「この店で働けないんだったら…」。熊谷は、溜め込んだ気持ちを伝えるため、社長のもとへ向かったのだった。

「熊谷君には期待しているんだ。うちの原点となったハーブス栄本店を任せたいと思っている」。思いもよらぬ社長の言葉に熊谷は肩をふるわせた。うつむいた顔を上げて見た社長の目は、熊谷が入社前に憧れたのと同じ目をしていた。「もう一度この人についていこう」。熊谷は決意を新たにしたのだった。

新たな気持ちで挑んだ大舞台。 1
重光は「ハーブス」と「アル アビス」との二本柱で事業を展開している。「ハーブス」はつくりたてのホームメイドケーキのおいしさを提供するカフェ。「アル アビス」はイタリアの街角のおいしさを届ける本格派カフェ。なかでも、熊谷が店長を任された栄本店は、約25年前に創業されたハーブスの出発点であり、重光の原点であった。

コーヒー豆のほろ苦い香りとケーキの甘い香りが漂うハーブス栄本店は、リニューアルに伴い多くのお客様で賑わっていた。「社長の想いに応えたい…」。自分が期待されていることを知った熊谷は、ハーブス栄本店のリニューアルを何としても成功に導きたかった。「いらっしゃいませ! 1名様ですね。お席はこちらになります」。次々に訪れるお客様を席に迎え入れる熊谷。そんな彼の姿を見て、栄地区の店舗を統括していたマネージャーは厳しい表情を浮かべていた。「熊谷、ちょっときてくれ」。熊谷はマネージャーに呼び出されたのだった。

マネージャーの言葉が、熊谷を変えた。 2
「お客様が座る席は、自分たちが選ぶものではない。お客様に選んでもらうものだ」。

マネージャーの指摘を受けた瞬間、熊谷は大切なことを忘れてしまっている自分に気づいた。「お一人で来店されたとしても、広いテーブルで食べたかったかもしれない。もし、自分がお客様の立場だったらどう思っただろうか。自分は店側の立場で考えていたんだ…」。熊谷は社長の想いに応えたい気持ちが先行するあまり、店長としていかに店をうまくまわしていくかに意識が向かっていたのだ。「うちが大切にしているのは、お客様に喜んでもらうことだ。いつの間にかそれを見失っていた」。この一件で意識を改めた熊谷は、お客様を一番に考える原点に立ち返ったのだった。「まずは目の前のお客様が一番喜ぶことをしていこう」。

3ヵ月後、熊谷はハーブス名古屋ラシック店に移ることになった。目的は、なかなか従業員が定着しないという状況を打開するためだ。熊谷なら何とかしてくれるだろうとの判断が下っての人選だった。「絶対に、いい店にしてみせる」。熊谷は、意気込んで名古屋ラシック店に向かったのだった。

熊谷が任された店舗には、多くの問題があった。 3
「自分がしてもらってうれしいと思うことをして、お客様に気持ちよく過ごしてもらいましょう」。

名古屋ラシック店に店長として着任した熊谷は、従業員に対して彼自身の考え方を示していった。熊谷自身のことを皆に理解してもらい、また皆の気持ちを一つにしたかったからだ。また、それ以外の細かい指示などはあまりしないようにした。従業員が工夫しながらお客様に喜んでもらう方法を考えてもらいたいと熊谷は願ったのだ。実際、これまで熊谷は、従業員が自分から動いてお客様から「ありがとう」といわれ、そのうれしさからどんどん店の雰囲気がよくなるのを目にしてきたのだ。

しかしある日、熊谷は従業員の行動に対して驚きを感じることになる。閉店時間より早くに掃除を始めたり、お客様がいるなかで掃除を始めたりといった光景を目にしたのだ。「早く帰りたいという気持ちも分かるが、これは改善すべきだ」。とはいえ、名古屋ラシック店にはこれまでやってきた独自のルールがある。また、経験の長い従業員もいる。上から急に変えろといっても、店の雰囲気が悪くなるだけだ。そこで、熊谷は立場に関係なく意見を聞きながら、徐々にルールを改めていくことにしたのだった。

従業員の理解を得ながらの店舗改革が始まった。 4
「早めに掃除を始めないと終了時間に帰れないんだったら、もう一人増やすなど対策を考えよう」。

同時に、いうべきことはしっかりと伝えるようにした。「帰る時間を遅らせないようにするけど、閉店時間のルールはきちんと守ろう」。こうして熊谷は、いくら正しいことだとしても押しつけるのではなく、従業員の理解を得ながら時間をかけてルールを変えていった。そこには、従業員に対する熊谷の想いがあった。「お客様が数多くの店のなかからハーブスを選ぶように、従業員も数ある店のなかから働きにきてくれている。だからこそ、気持ちよく働いてもらい、気持ちよくお客様を迎えてほしい」。

「熊谷さんがきてからは、すごく楽しく働けてるよ」。ある日、従業員の一人が熊谷に伝えた言葉だった。また、日を追うにつれて多くのアルバイト希望者が店の雰囲気に憧れて名古屋ラシック店に訪れるようになった。そして、売上も自然と伸びてゆき、名古屋ラシック店は見事に復活を遂げたのだった。

名古屋ラシック店を従業員が楽しんで働ける店へと変えた熊谷は、3店舗をまとめるエリアマネージャーに昇格。こうして、また一人の若手エリアマネージャーが誕生したのである。

エピローグ
現在、エリアマネージャーとなった熊谷は、店長として店頭に立つ傍ら名古屋駅地区の3店舗をまとめる立場にある。3店舗の売上や経費の管理をはじめ従業員のシフト管理など幅広い仕事を担っている。

「自分がまとめるエリアの店長には、お客様を一番にということを自分の経験から自信をもって伝えます」と語る熊谷。店長は一つの店舗を任されるという責任感から、どうしても店をうまく管理する方に目が行きがち。そこで、熊谷は自分の経験からお客様の大切さを伝えるのだ。今後の目標は、サービスも売上もNO.1を目指すこと。まずは、3つの店舗すべてが、従業員が楽しく働ける店舗となる日を目指している。
「様々な店舗を経験するにつれ、社員や従業員とのつながりが増えます。自分の価値観が広がり、成長できていると実感しますね」。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代は、わけへだてなく様々な友人と接してきた熊谷。友人のなかでも、気が合う人もいれば、あまり自分に合わない人もいたという。しかし、気が合わないからではなく、まずはどんな人なのか理解することを熊谷は大切にしていた。そんな色んなタイプの友人と接した経験は、様々なお客様と接する現在の仕事に活きている。
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