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マスコミ(出版) / サービス(教育) / サービス(医療・福祉)
最終更新日: 2007/10/01
(マークの説明) 正社員 3年増益 株式公開
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プロの仕事研究
“自分の頭で考える”力が身に付くように高校生・大学生を支援する商品開発のプロ。
専門職系−マスコミ専門職
初台事業所 首都圏教育事業部 新商品開発課
加納 敏彦 (31歳) Toshihiko Kano
入社9年目 / 北海道大学 教育学部 教育学科 出身

プロフィール
中学講座事業部マーケティングセクションで進研ゼミ『中学講座』の入会促進、DM作成、広告企画などを3年間担当し、高校講座事業部へ異動。情報誌の企画・編集を1年、大学受験小論文講座の企画・編集を3年経験。8年目の現在は、新規事業部で、高校生・大学生の“考える力”を伸ばす新商品開発に奮闘中。

プロローグ
現在、ベネッセで複数の新規事業プロジェクトの推進に関わる加納。そんな彼には、新しい商品やサービスを企画する際に、欠かせない「自分の軸」がある。それは、今の高校生や大学生の可能性を“自分の頭で考える”サポートをすることで引き出したいということ。その原点には、加納が高校2年生向けの小論文講座の編集長時代に遭遇したある出会いがあった。人の可能性を引き出す。それこそが自分の仕事だと加納は気づかされた―――。

学生時代はマスコミ志望だった加納。業界の現状や未来についても自分なりに分析し、“自分の考え”を語れる力を持っていた。大手マスコミの面接も次々突破。しかし、学生らしからぬ大胆な意見に嫌悪感を示すトップも多かった。“自分の頭で”考え発信する加納の言葉と態度は企業が欲しがる新しい人材であり、その一方で率直すぎるという諸刃の剣のようだった。その中で加納の言葉を受け止め大笑いしてくれたのが、ベネッセコーポレーションのトップだった。会社の急所を突くような意見にも頷き、聴いてくれた。面接を進むたびにベネッセが好きになっていた加納は、これで入社を決めた。

成功ノウハウが詰まった『中学講座』でノウハウを学ぶことを決意。 1
「最初のキャリアを『高校講座』の小論文セクションで積みたい」。加納は強くそう思っていた。大学受験で書いた小論文や大学のレポートが大好きだった。いろいろと調べて考え、頭の中でぐちゃぐちゃになっているものを必死に組み立て、第三者が見て理解できるように筋道立ててアウトプットする行為がたまらなく面白かったからだ。ただ思いついたことを羅列していく日記のようなものは好きではなかった。それよりも「どうしたら相手により理解してもらえて、自分もより納得できるだろう?」と突き詰めて考えることが、加納が文章を書く上で大学時代からテーマにしていることだった。

新人配属は『中学講座』のマーケティングセクションになった加納。予想外の配属で、教材自体にも興味が持てなかった。しかし、ベネッセの看板商品である『中学講座』はこれ以上ない、ビジネスの成功ノウハウが詰まったお手本。「『中学講座』全体を見ながら、何が成功ポイントになるのかつかんでやる。3年はここで頑張ろう」。何も身に付けずに異動したのでは成長できない。そう考えた上での決意だった。

念願叶って、小論文セクションへ。 2
念願叶って、加納が小論文セクションの一員となったのは、それから4年後のこと。3年間『中学講座』を売る仕事に従事し、最も重要な販売プロモーション担当も任されるようになった加納は、『高校講座』情報誌の企画・編集を行なっていた。ちょうどその頃、高校講座事業部で進行していた「事業改革プロジェクト」に、加納は最年少で抜擢された。そこで、事業部長や小論文編集長から自分の小論文に対する想いや現行の事業への改革心を認められた。こうして加納は小論文セクションへ異動した。

添削課題のテーマを決め、大学の先生や編集プロダクションなどのプロに協力してもらって高校生に役立つ講座を作る。小論文セクションでの仕事が、加納は楽しくて仕方がなかった。異動2年目からは高2講座の編集長として、教材の企画・編集の責任を負う立場になった。そして、小論文講座を作り直すために、様々なアイデアを試みる中で、加納は自分の仕事の本質に気づかされる出会いに遭遇した。

「自分の頭で考えるってこういうことなんですね!」―高校生の“可能性”に触れた瞬間 3
それは小論文教材の中にあった「答案クリニック」というページを作るために、高校生を指導した時のことだった。選ばれた高校生は勉強に全く熱心ではない感じの女の子だった。加納が直接指導に当たった。教材ではこれまで“自分の頭で考える”ことの大切さを常に強調していたが、それを実感できている人は大人でも少ない。彼女もそうだった。大人も子どももマニュアルに依存し、文章を書くためには頭ではなくテクニックを使う時代。加納はそんな世の中の風潮に大きく「NO」と言いたかった。

加納は2時間かけて、彼女の“考えるサポート”をした。「ここをこう考えてみたら? もっと内容が深まるかもしれないよ」。具体的に話をし、意見と理由が深まるように問いかけ続けた。今の高校生は敏感な感性を持ってはいても、感じたことを“自分なりに深める術”を持たない。仕事の経験を重ねる中で、加納はそれを強く感じていた。自分がサポートすることで、“自ら考えを深める”ことの楽しさを気づかせてあげたい。そう思った。

最初はあまり真剣ではなかった高校生の瞳が、次第に熱を帯びるのが解った。2時間後、彼女の瞳が輝いた。小論文の質が変わった。「自分の頭で考えるってこういうことなんですね! なぜ? なぜ? って自分で突き詰めていくことなんですね!」。加納はこの言葉を聞いて体の奥から喜びがわき上がってくるのを感じた。「伝わった!」それが何よりも嬉しかった。実際に高校生と向き合い、加納は大きな手ごたえを得たのだった。

“自分の頭で考える”サポートをして、高校生や大学生の“可能性”を引き出したい。 4
その後、小論文講座は改良を繰り返し、より好評を得るようになった。だが、小論文教材の編集に没頭する加納は、自分の中でふつふつと湧き上がってくる想いを感じていた。そのことを自覚したのは、OB訪問で会いに来た大学生からの何気ない質問だった。「加納さんの夢は何ですか?」。小論文編集だと即答できない自分に加納は驚いた。「仕事を通して自分は何がしたいのか?」。それを突き詰めていくと、入社時にはなく、キャリアを積む中で得た「自分の軸」に気づかされた。それは「“自分の頭で考える”サポートをすることで、高校生や大学生の“可能性”を引き出したい」「“自分で考え”ゼロからその方法を生み出したい」ということだった。

こうした気持ちが抑えきれなくなった時、加納は新規事業部への異動を決心した。上司やメンバーから引き止められ、葛藤した。しかし、決意は固かった。「子どもたちや大学生の内面にある豊かなものをさらに深め、アウトプットするための自分流のメソッドを商品として開発したい」。そこには、これを追求することこそが自分の仕事だと確信する加納の姿があった。

エピローグ
教育事業の商品開発は、子どもたちや大学生を“教える”のではなく“サポートする”こと。新規事業部に異動した加納はそれを肝に銘じている。高校生の考える力や論理コミュニケーション力を高める新メソッドの開発や、大学生が自分の意志でキャリアを切り拓いていける新サービスの立ち上げなどに奮闘する。

「でも、商品開発も自分のキャリアも、自分が狙った通りには全然いかない」と加納は笑う。“自分の頭で”必死に考えて決断したら、後は全力でやるしかない。全ては自分に還ってくる。それは加納が商品開発を通して高校生や大学生に伝えていきたいメッセージと同じなのである。
新規事業の企画会議の風景。様々な人と妥協のない白熱した議論が続き、時に10時間を超えることもある。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学での授業や教授との卒論でのやり取りが現在の仕事に役立っている。一つのテーマに関して複数の資料を徹底的に分析して自分の仮説を立て、教授とトコトン議論し、卒論を「体力と脳の限界まで」と胸を張れるぐらいやり抜いた。試行錯誤しながら納得がいくまで考え工夫する習慣が身に付いたのは一生の財産になっている。
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