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情報・通信(ソフトプロダクト開発(パッケージ商品)) / 情報・通信(ソフトウェア開発) / サービス(専門コンサルティング(情報通信系))
最終更新日: 2007/12/25
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プロの仕事研究
医療現場の要望に応え、電子カルテの機能追加を成し遂げたシステム開発のプロ。
ソフトウェア系−パッケージソフト・ミドルウェア開発
開発部
赤川 直人 (30歳) Naoto Akagawa
入社4年目 / 東京大学 農学部 獣医学課程獣医学専修 出身

プロフィール
中学時代から趣味の一つとしてパソコンに触れ、自然とIT知識を身につけていった。大学に進学すると獣医師免許取得に向け、動物病院で診察を経験。その時、病院のIT化が遅れている現状に直面し、電子カルテシステムを個人的に開発するようになった。現在では『アピウス エクリュ』の開発に携わる開発のプロ。

プロローグ
「未読の検査結果を一覧で確認したい」「医師からの指示を部署間で閲覧できるような機能が欲しい」 ――。
アピウスの開発部に舞い込む医療現場からの様々な要望。それらは、電子カルテシステム『アピウス エクリュ』を現場に導入する技術部のエンジニアから伝えられる。技術部が吸い上げた現場の要望を今後の開発に活かすのが、開発部のエンジニアである赤川の役割だ。要望が運用方法の工夫で解決できるものか、他の病院にも適用できる汎用的な機能かどうかを精査し、追加機能として必要と判断されれば開発に取り掛かる。現場の要望を活かしたシステム開発を強みとするアピウスならではの、スピーディな対応だ。

赤川は、学生時代研修医として動物病院の診察に関わっていた。その中で、「紙のカルテへの記入時間を短縮できたら、診察により注力できる」と考えていた。「患者さんのために、病院のIT化を進めて全国の病院をオンラインでつなぎたい」という高い志を掲げていた赤川にとって、医療現場の要望を開発に活かせるアピウスは願い通りの環境だった。現場の要望に応えながら、『アピウス エクリュ』を進化させていく赤川の姿を追う。

技術部からの要望は、「検索機能」の追加。 1
アピウスが扱う電子カルテシステム『アピウス エクリュ』は、それまで紙ベースだったカルテをWeb上で一元管理できるものである。システムを見るだけで過去の診療記録や看護記録を知ることができ、医療の質の向上に貢献している。学生時代に国の援助を受けて電子カルテシステムの開発を行なっていた赤川は、アピウスでも即戦力として開発の最前線に携わることになった。

『アピウス エクリュ』の運用方法は、各病院のニーズに合わせた技術部の提案によって調整される。開発部への要望は、システムのテスト運用をしている時に集中する。実際に医療スタッフがシステムを利用し、「こんな機能が欲しい」という現場の声を開発に活かすのである。赤川が今回担当することになったのも、「検索」という追加機能だった。たとえば、医療スタッフが「胃潰瘍」というキーワードを入力すると、過去の診療記録の中から「胃潰瘍」の患者さんを検索できるようにする機能である。膨大な量の紙のカルテから一枚一枚探し出す必要がなく、効率よく診療できるなど現場にとって貢献度の高い機能と判断され、開発がはじまった。

様々な壁を、開発メンバーの力によって乗り越える。 2
「ステロイド潰瘍、心因性胃潰瘍…一体いくつ呼び方があるんだ」。赤川は、病名のデータを見ながら唖然としていた。

一言で「胃潰瘍」と言ってもその名称は幾通りもあり、カルテに記載されている病名は医師によって様々だった。検索機能には、「胃潰瘍」という病状の全ての患者さんのデータが求められていた。違う病名で書かれているカルテが検索できないようでは、データに漏れが生じてしまう。赤川は、厚生労働省や医師会から公表されている病名を全て洗い出し、「胃潰瘍」と入力するだけで全てのデータが検索できるようにした。また、効率をよくするため、病名にコード番号をつけることで入力の手間を省く工夫も凝らした。

開発途中には、赤川一人の手には負えない壁にもぶつかった。それは何十万件にも上る膨大なデータ量である。検索するとサーバが落ちてしまうという問題では、他のメンバーの力も借りて調査を進める。その結果、膨大な情報から検索するためサーバのメモリを大量に使うことが原因だと判明した。開発メンバーがそれぞれ意見を交し合い、最小限のメモリを使っての検索方法が編み出された。追加機能は徐々に完成に近づき、赤川自身もテストをして「これなら医療現場に出すことができる」と確信していた。しかし、社内での最終テストで思わぬ結果が出ることになる。

人命に関わるシステムに、不具合は許されない。 3
社内で行なわれたテストの結果は、「システムに不具合があるので、修正してください」というものだった。『アピウス エクリュ』が導入されるまでには、社内では3段階のテストが行なわれる。電子カルテシステムは間接的であれ、人命に関わると言っても過言ではない、大変重要なシステムなのである。それゆえ、導入までには、重箱の隅をつつくように徹底的なテストを重ねる必要がある。もちろん、赤川もそのことは重々承知しており、バグがないように細心の注意を払って開発していたつもりだった。

「記号を入力して検索すると、バグが発生する」。テストで上がってきたシステムの不具合は、赤川が想定していなかった検索によるものだった。記号は、プログラムにとって特殊な意味を持つ。たとえば「\n」という記号をキーワードとして入力すると、プログラムの改行を指示してしまう。医療スタッフがその記号を入力しないとは限らない。テストを通じ、「現場のあらゆる事態を想定することが、命に関わるシステムを安心して利用してもらうためには必要なんだ」と赤川は学んだ。そして一層慎重に修正をした結果、テストも通り、『アピウス エクリュ』に新たな検索機能が追加されることになった。

自ら作ったシステムが、医療現場を支えているという誇り。 4
テスト運用を経て、実際に稼動を迎える段階には、開発部のエンジニアも現場で導入のサポートに入る。医療スタッフにシステムの使い方を説明し、質問などに受け答える。その場で、赤川は医師から「検索機能が一番便利だよ」という声を掛けられた。「ありがとうございます!」。それまで開発に掛けた苦労が報われたと実感した瞬間だった。「自ら作ったものが医療現場に役立っている」ということを実際に確かめることができる環境に、大きなやりがいを見出していた。

赤川は、その後も技術部と連携して医療現場からの要望に取り組む。医師の診察後、患者さんへの指示をすぐに薬剤師に伝えるシステムや会計システムとの連携をとった時、稼動後に待合室の混雑が解消されるのを目の当たりにした。医療現場に大きな影響を与えることができる。その喜びが、『アピウス エクリュ』のさらなる開発に対する赤川のあくなき追求心を駆り立てるのであった。

エピローグ
『アピウス エクリュ』の開発は、追加機能だけにとどまらない。日々進化する医療現場に対応するため、時代を先取りした新機能の開発も赤川の仕事である。現在は、DPCという医療費の新たな支払い方法に対応した機能を先回りして開発し、医療現場のIT化にまた一つ貢献した。

医療現場のIT化には、最前線を支えている医療スタッフの声は必要不可欠だ。技術部と開発部の連携によって現場の要望に応えているからこそ、『アピウス エクリュ』は多くの病院に支持されている。赤川によって開発された『アピウス エクリュ』が、自らの目標を実現させる日も遠くはない。
システム開発には、チームメンバーとの協力が欠かせない。時にぶつかり合うこともあるけれど、電子カルテに懸ける情熱は同じ。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
獣医の資格を取るためには、研修医として実習を受ける必要があった。その時に携わった医療現場は、まさに戦場。一日が怒涛のごとく過ぎていく。そんな日は、カルテの記入が業務に重くのし掛かってくることもあった。「少しでも医療スタッフの負担を減らしたい」という赤川の想いは、現場を経験したことで形作られた。
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