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最終更新日: 2007/12/25
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プロの仕事研究
医療スタッフと共に考え、現場に最適な運用方法を導く電子カルテシステム導入のプロ。
ソフトウェア系−システムコンサルタント
技術部
折戸 典子 (31歳) Noriko Orito
入社4年目 / 都留文科大学 文学部 国文学科 出身

プロフィール
前職は、派遣社員として医療に関するシステムのサポート業務を行なっていた。それまでの知識を活かし、さらにスキルアップを目指してアピウスに転職を決意。入社後はサポート部門を立ち上げ、システムの導入プロジェクトにも携わる。2007年2月からサポート部門のリーダーに就任。病院や診療所からの信頼も厚い。

プロローグ
「今日もまた運用方法は決まらなかった…」。折戸は、肩を落としながら病院を後にした。医師や看護師など多忙な医療スタッフに対して、電子カルテシステムの説明や運用方法の提案に勤しむ折戸。わずかな時間でも打合せのチャンスがあれば駆けつける。しかし、医療スタッフの反応に手応えはなく、運用方法はなかなか決まらなかった。

アピウスの主力商品であるWeb型電子カルテシステム『アピウス エクリュ』とは、紙によって扱われていたカルテを電子化し、患者さんの診療記録や看護情報をWeb上で一元管理できるシステムである。業務の効率化を図ると共に、病院内のスムーズな連携を可能にする。患者さんにとっても、診療科ごとに同じ問診を受ける必要がなくなるなど医療の質の向上に貢献している。折戸は『アピウス エクリュ』を導入する際に病院や診療所に合わせた運用方法を提案する役割を担う。

医療現場で『アピウス エクリュ』の機能を最大限に引き出し、患者さんのために活用してもらうためには、現場の要望を綿密にヒアリングし、それに応える提案が必要となる。現場の要望をただ聞くのではなく、「医療スタッフと共に考える」折戸の姿勢が導く運用方法とは…。

「スキルアップしたい」という思いからはじまったプロジェクト。 1
アピウスの技術部では、システムの導入に伴い、運用方法の提案や操作指導、また導入後の保守も担当する。それまで、単一の診療科を持つ病院や診療所向けの導入プロジェクトを手掛けてきた折戸。「今度は複数の診療科向けのシステム導入に携わり、幅広い業務知識を身につけたい」と考えていた折戸にとって、絶好のチャンスが巡ってきた。先輩が複数の診療科を持つ病院の導入プロジェクトのリーダーになったのだ。

「部長、ぜひ私にも一部門を担当させてください。すでに先輩には了承をとっています」。
折戸は上司にプロジェクトの参加を打診した。手を挙げた人にはチャンスを与えるアピウス。折戸の立候補は快諾された。今回担当するのは、外来診療科を複数持つ病院。院内の情報を一元管理し、連携を強めることによって、さらなる医療の質の向上を推し進めていた。折戸は、システム導入にあたって説明をするために張り切って病院へと向かった。

多忙な医療スタッフとの打合せに奔走する。 2
最初の訪問では、システムの説明とシステムに対する要望のヒアリングを行なう。折戸は、医師や看護師、事務員など各部署の代表者が集まる場で、デモンストレーションを交えながらシステムに関する説明を行なった。それまで紙によるカルテの運用に慣れていた医療スタッフにとって、電子カルテシステムは初めて触れるもの。折戸はわかりやすく、「事務作業が軽減する」「情報の一元管理によりチーム医療が可能になる」など『アピウス エクリュ』の導入メリットを伝えた。

システムを利用する医療スタッフは多い。病院内のスムーズな連携を可能にするために、個別にヒアリングを行なうことにした折戸。それぞれのスケジュールを調整しながら、週に一度は病院を訪問した。多忙を極める医療スタッフの業務の合間を縫って、「業務で改善したい点は」「この機能を活かせば、知りたい情報を入手できる」など部署ごとの要望に応える提案を行なう。医療スタッフの時間が取れない時は、診察室で打合せをすることもあった。

システムの運用方法を模索する日々が続く。 3
「今日もまた運用方法は決まらなかった…」。初回の訪問から1ヶ月が経とうとしていた頃、病院を後にした折戸には疲労の影が色濃くにじみ出ていた。医療スタッフに提案をしても、最終的な判断の段階になると皆一様に消極的になってしまい、運用方法がなかなか固まらない日々が続いていた。たとえば、患者さんの受付機能では、画面上で「診察中」や「検査中」など患者さんの状態が把握できるようにしたいという要望が出ていた。そのためには、それぞれ診察や検査が終わった時に、医療スタッフが終了したことをパソコンに入力する操作が必要となる。しかし、作業が必要なことが判明すると、「他の部署がやれば…」「入力する手間が…」という意見しか出てこない。折戸が「一日の終わりにチェックする人を決めてはいかがでしょう」と提案しても、反応は芳しくなかった。

情報が正確に入力されなければ、その日に診療や検査を受けた患者さんの正確な数を収集することはできない。また、新薬の発売や新たな検査方法などが次々と誕生する医療分野では、システムの情報を更新する作業が必要不可欠となる。本来なら、簡単な操作で対応できることでも、システムの機能について把握していなければ、カスタマーサポートに何度も頼ることになる。それでは、病院にとっても手間や時間が掛かってしまう。「このままでは、お客様のためにならない」。折戸は、医療スタッフがシステムについての機能を把握し、使いこなせる力を身につけてもらうことが運用において最も重要なことだと考えていた。

医療スタッフにとって、使いやすいシステムが誕生する。 4
折戸は、運用方法の最終判断を医療スタッフに任せることで、システムについて考えてもらうように働き掛けた。わからない点は、時間を掛けても説明を行なう。すると、医療スタッフの意識にも変化が起きはじめていた。折戸に対する質問も、「どうしたらいいんだろう?」という漠然としたものから、「ここが不便なんだけど、どう改善できるか」と具体的になってきた。運用方法は徐々に固まり、そしてシステムを導入することができた。

折戸が最も変化を感じたのは、システムの導入後である。それまで、打合せは折戸から日程を調整して行なっていたが、導入後は医療スタッフ自ら業務後に集まり、運用に関する話し合いの場を設けるようになっていた。活発に意見を交し合う医療スタッフの姿を見て、折戸は「システムがお客様のものになっている」ということを実感した。そして、『アピウス エクリュ』を導入したことにより、患者さんの待ち時間の短縮や、病院内の意志伝達がスムーズにできるようになっていた。数ヶ月後、院長から送られた「電子カルテシステムを入れて本当によかった。ありがとう」というメールの文面に、満面の笑みを浮かべる折戸の姿があった。

エピローグ
「現場の声をシステムの開発に活かす」ことも折戸の重要な役割である。このプロジェクトでは、人工透析の患者さんとわかるアイコンをつける機能が欲しいという要望を開発にフィードバックし、新たな機能が『アピウス エクリュ』に加わることになった。

今後は、システムを導入した後のフォローにも力を入れたいと考えている折戸。システムの運用状況をこちらから積極的に調査するような体制作りを計画している。

アピウスの技術部には、ただ作られたシステムを導入するのではなく、現場と共に考えながら最適な運用方法を導くことが必要だ。折戸は今日も『アピウス エクリュ』を現場にとって使いやすくするために、多くの病院や診療所へと向かう。
「周囲のサポートがあるからこそ、忙しくても自分のキャパシティを広げられたと思います。一人で仕事はできませんしね」。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
大学時代、ゼミの先生から「自分の説を主張するためには、人を納得させるための客観的な証拠が必要」ということを教わった。感覚でモノを話すと自覚していた折戸は、この教えを忠実に守るよう心掛けている。この教えは、病院や診療所に提案する際には過去の実例を引き合いに出すなど、説得力を高める工夫につながっている。
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