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最終更新日: 2007/11/26
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プロの仕事研究
一大プロジェクトを通じ知識や技術より大切なものを学んだ、ビルマネジメントのプロ。
技術系−建築・土木技術者
サンブリヂビルテクノ(株) ビルマネジメント部 ビルマネジメント課/課長
磯貝 信一 (36歳) Shinichi Isogai
入社9年目 / 日本電子専門学校 電気工学科 出身

プロフィール
専門学校在学時よりビル管理の仕事に就く。その後、転職や独立・起業を経験しながら「稼げる道」「生きがいを感じられる道」を模索。そして28歳の時、それまでの経験を活かそうと飛び込んだサンブリヂビルテクノ(株)で、ついに「自分に必要だったもの」を見つける。現在は同社の事業継続計画立案などにも携わっている。

プロローグ
磯貝が歩んできた道は、決して平坦ではなかった。

「一発当ててやる」と意気込み上京してきたものの、どれだけ必死に働いてもどこか満たされない自分がいた。「このままじゃあダメだ」。真剣にそう思い悩んでいた時、サンブリヂビルテクノのことを知った。

「自社所有のビルマネジメントをやっている会社か…。ここでなら今までの経験も活かせそうだな」。

培ってきた知識や技術にはある程度自信があった。こと電気系の工事に関しては十分なキャリアも積んでいた。言うなれば、満を持しての入社。事実、磯貝は即戦力として現場で活躍するだけでなく、まだ組織が再編されてから日の浅い同社において様々な提案をすることで存在感を発揮。皆がその実力を認めるようになるまでにさして時間はかからなかった。

そして入社から9ヵ月ほどが過ぎた2000年10月。サンブリヂビルテクノで、あるビッグプロジェクトが動き出した。
同時にそれは、磯貝の自信が木っ端微塵に打ち砕かれるまでのカウントダウンの始まりでもあった。

新プロジェクトのために選抜された4名の精鋭。その中には磯貝の姿も…。 1
会議室はにわかにざわめいていた。数分前に行なわれた、新プロジェクトに関しての説明会がその原因だった。

今回、会社が打ち出した内容は、自社所有の16棟のビル(当時)全てをインターネットでつなぎ、設備・警備の警報やテナントの入退館を一元管理するというもの。これにより、何かトラブルが発生した場合、即座にグラフィック画面で異常箇所が特定され、同時にネット経由で管理者の携帯電話にも情報が発信される。少数精鋭体制を敷く同社にとって、管理するビルで何かあった時にいかに素早く対処できるかということが一つの課題だった。その解決策として今回のプロジェクトが考案されたのだ。

また会社側は、このプロジェクトが無事成功した暁には、自社所有のビル以外にもこのシステムの導入を提案し、管理を請け負っていこうという計画も立てていた。そのため、何としてもこのプロジェクトを成功させようと、社内でも機械・ネットワーク・電気等の分野に強いと目される4名をメンバーとして指名した。しかし…。

「話がよく分からないぞ…。俺は一体何をどうすればいいんだ?」。
その中の1人、磯貝は、いきなり全体像を把握することすらできないでいた。

どうにか不安を解消し、プロジェクトのイメージも掴めてきたが…。 2
実際にプロジェクト始動に向けた打合せが始まると、磯貝の混乱はますます深まった。

システム的な専門用語が分からない。そもそも“一元管理”をする仕組み自体が分からない。社長をはじめ、今回のシステム導入に関わる業者や他のメンバー等、約20人の参加者の中で自分1人が取り残されている気分だった。

「社長、私は一体どうしたらいいのでしょうか」。磯貝は正直に自分の気持ちを打ち明けた。すると社長は「せっかくお見えになっているいろんな業者さんに、直接話を聞けばいいじゃないか。そこからノウハウを学んで、答えを導き出すんだ」と笑顔で答えてくれた。それ以降、打合せの度に積極的に業者に声をかけては質問をぶつけた磯貝。次第に当初抱いていた疑問や不安は解消され、何とかイメージも掴めてきた。

「これなら何とかなりそうだ」。そう思い始めていた矢先、業者との仕様決めの段階で再び袋小路に陥ってしまった。

選ばれたメンバーとはいえ、プロジェクトの進捗状況はその都度上長であるリーダーに報告せねばならない。しかし仕様決めの話が難解だったこともあり、その内容を正確に伝えることができず、結果、仕様が固まるまでに予定を1ヵ月もオーバーしてしまったのだ。

「いくら知識や技術があっても――」。社長からの言葉。 3
そんな状態は、着工してからも続いた。

例えば急遽予定とは違う場所に配電盤を取り付けることになった時。現場を管理していた磯貝は事情を分かっているのでそれを受け流し、リーダーに報告もしなかったが、イレギュラーな対応に関して承認を下すのはリーダーの役目。後に「なぜ報告しなかったんだ!?」と詰め寄られて初めて(報告するべきだったのか…)と気付く始末だった。

更に、想定外のトラブルも起きた。「こんなところになぜこんなものが?」という事態が作業中に何度も発覚するなど、図面だけでは把握し切れない箇所が多数あったのだ。当然その都度別の方法での工事を考えねばならないのだが、そういったことに不慣れな磯貝はどうしても判断に時間がかかってしまう。気付いた時には既に予定から3ヵ月も遅れていた。

「どうしたらいいんだ…」。驕り高ぶることだけはないようにしてきたが、それまでに積み重ねてきたキャリアに関してはある程度の自信は持っていた。しかしこの現場では、ことごとく壁にぶつかり、打開策も見出せない。磯貝は憔悴しきっていた。

「いくら知識や技術があっても、その前提となる“本質”が分かる人間じゃないと、一流にはなれないんだよ」。
そう声をかけてきたのは、社長だった。

「まちづくり」を手がける企業・サンブリヂグループだからこその考え方とは。 4
すぐには社長の言葉の意味を理解することができなかった。

しかし、よくよく自分のことを振り返ってみて、その仕事の仕方が完全に“自分本位”だったということに気が付いた。

「社長は俺の課題に気付いていたんだな…」。技術者としては知識や技術を発揮したい、磨きたいと思うのは当然のこと。しかし組織の中で、皆と協力して大きな仕事を成し遂げようとする時には、それと同様に、場合によってはそれ以上に“考え方”の部分が大切になるんだと社長の言葉は教えてくれた。

それは「まちづくり」を手がける企業であるサンブリヂグループでは、当然と言えば当然の考え方。
色んな考えを持つ、色んな人間が存在する「まち」を、知識や技術だけでどうにかしようと思っても限界がある。
そこには常にブレない“信念”が、そして“心”がなくてはならない。「自分に必要だったのは、こういう考え方だったんだ…」。

結局、当初の予定より少々時間はかかってしまったものの、工事は無事に終了。
――「よく竣工できたなぁ」。
他のメンバーと共に束の間の感慨に耽りながら、磯貝は「この会社でなら“生きがい”を感じながら仕事ができる」と確信していた。

エピローグ
「あとは正常にシステムが稼動すればこのプロジェクトも終わりか…」。

そう考えていた磯貝だったが、現実は全く違った。
いざ稼動が数日後に迫ってくると、各テナントに配るセキュリティ用IDカードの料金の問題が発生したり、テナント側から「ロックをかける時間を変えて欲しい」といった要望等が寄せられたりしたのだ。

「本当に最後まで気の抜けない仕事だった。“だった”と言ってもまだ終わってはいないんですけどね」。その言葉通り、現在もこのシステムのフォローは継続中だ。

「部下や後輩たちが仕事を通して“生きがい”を感じられるような教育をしていきたい」と語る磯貝。当然その時に語るのは、“本質”であり、“考え方”の大切さだ。
警備に関する報告を受ける磯貝。オーナー・テナントに喜ばれるサービスの提供が、理想の「まちづくり」につながると信じている。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代に本気で打ち込んだことは何もなかった。そのためサンブリヂビルテクノに入社してから学ぶことは非常に多く、「働くとは?」「生きるとは?」ということまで考えるようになった。次第に「もっと専門的に追究したい」と思うようになり、2年前から通信制大学で哲学を専門的に学んでいる。当然、仕事にも活きている。
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