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最終更新日: 2007/12/13
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プロの仕事研究
効率を考えながら実験を繰り返し、新規農薬の有機化学合成に取り組む研究開発のプロ。
技術系−基礎研究
徳島支店
出口 一貴 (28歳) Kazuki Deguchi
入社4年目 / 昭和大学大学院 薬学研究科 薬学専攻 出身

プロフィール
2005年4月、様々な企業で研究者として働くことができる環境に魅力を感じ、特定労働者派遣事業を展開する同社に入社。2週間の新入社員研修を経て、大手化学メーカーの研究所に派遣される。「新たな発見は10年に1回あれば成功」と言われる中、研究者として新規農薬の有機化学合成に取り組んでいる。

プロローグ
就職活動も終盤を迎えていた2004年10月。卒業が半年後に迫っても、出口の就職先は決まっていなかった。その年の4月からスタートした自由応募での就職活動。有機化学合成の知識が活かせる会社を回るものの、大手メーカーの選考は思うようにいかなかった。薬学研究科に在籍していたこともあり、薬剤師資格を取得していた出口。「研究開発の仕事ができなくても、薬剤師の道もあるし…」。そう自分に言い聞かせながらも、心の中では研究者としての道を諦めきれなかった。そんな矢先のこと。同じ研究室の友人から、研究開発職の人材派遣サービスを展開するWDBの存在を教えられる。派遣という雇用形態に当初は前向きなイメージを持てなかった出口であったが、WDBグループについて深く調べていくうち、そのイメージは払拭される。2004年1月、特定労働者派遣事業を展開する新会社として設立されたWDBエウレカ。「ここならエウレカの正社員として安定を得ながら、様々な企業で研究者として働くことができる」。出口は同社が提案する研究者としての新しいキャリアの積み重ね方に魅力を感じた。そして新卒第一期生として、研究者の第一歩を踏み出したのである。

入社後わずか2週間目にして、大手化学メーカーの研究所に派遣される。 1
「ひとつの会社にずっといると、固定概念が生まれることがある」。WDBエウレカへの入社を考える際、出口は、研究室の教授から言われた言葉を思い返していた。「確かに有機合成の知識を活かせる会社はたくさんある。研究者としての可能性を追求していくには、様々な企業で働くことができる環境に身を置くほうがいいのかもしれない」。そう考えたのだ。世の中に新たな商品を生み出すため、日夜研究を繰り返す研究開発職。出口は、特定労働者派遣という形態でありながらも、基礎研究の段階から携わることができる環境に魅力を感じていた。

晴れて同社に入社した出口が新入社員研修を経て派遣されることになったのは、国内有数の大手化学メーカーの研究所。そこで、新規農薬の有機化学合成を行うことになったのだ。入社後わずか2週間目にして、新規農薬を生み出すための研究に取り組むことになった出口。派遣先企業の上司の指示を仰ぐとはいえ、先方からしてみれば、WDBエウレカを代表して派遣された研究者。「新卒だから」という甘えは、通用しない。1日も早く期待に見合うだけの仕事ができるようになること。それが出口に与えられた最初の課題であった。

学生時代の倍以上にも及ぶ実験数。こなすだけで精一杯だった。 2
学生時代、それなりの実験数を経験してきた自負を持っていた出口であったが、仕事となるとまるで勝手が違った。派遣先の上司からは、一度に複数の実験を任される。当然、まだ派遣先の研究環境にも慣れていない。初めて行う実験も存在し、その内容を一から上司に教えてもらわなければならなかった。一つひとつの内容を理解することにそう時間はかからなかったが、学生時代の倍以上にも及ぶ実験数の多さには戸惑いを隠せなかった。

一つひとつの実験を確実にこなしていけば良かった学生時代に対して、仕事となると複数の実験を同時に任され、それぞれを確実、かつ効率的に進めていくことが要求される。1日の就業時間内に、どこまで実験を進めなければならないのか。仕事として研究開発を行う実感値がないだけに、目の前の実験をこなすことで精一杯だった。そしてひとつの実験が終われば、また次なる実験が与えられるのである。懸命に実験をこなしていった出口だが、仕事のペースを掴むまでに数週間という時間を要した。

学生時代との根本的な違い。それは研究の進め方にあった。 3
実験数の多さに加え、出口は研究の進め方に学生時代との根本的な違いを痛感した。研究開発職の最終目標は、農薬として活性のある新たな化合物を発見すること。学生時代なら、具体的な目的化合物が決まっている段階からスタートし、ある程度決められた道筋を辿って実験を進めていく。しかし、仕事上ではその目的化合物を見つけることからスタートしなければならない。つまり、ゴールが見えない状態から手探りで実験を進めていかなければならないのだ。

ゴールとなる目的化合物を定めるためには、農薬としてより良い活性のある化合物を発見しなければならない。まずはある程度活性のある化合物の構造を解析し、その化合物を構成する骨格を一つひとつ分解した上で少しずつ合成経路を変え合成していった。合成する物質の順番、分量、温度、時間など、様々な条件によって反応結果が全く異なるため、出口は地道に実験を繰り返す他なかった。思うような結果が得られなかった時には、不安にかられた。「ここで足踏みしていたのでは先には進めない。そもそも進む方向が間違っているのか?」。最終期限を明確に決められているわけではなかったが、他の研究機関や研究者に先を越されてしまったのでは意味がない。「できるだけ早く」発見することが求められるのだ。そのためには、どれだけ多くの実験をこなすことができるかが重要な鍵を握っていた。

まずは質よりも量を追求。研究者として身に付けた視点とは? 4
「農薬として活性のある目的化合物を発見することが何より先決だ」。そう考えた出口は、実験の質よりも量を追求した。目的化合物が得られそうにない実験の場合は、深追いすることなく別の方法を探った。逆に少しでも目的化合物が得られそうな実験の場合は、たとえ微量の不純物が発生したとしても、100%の純度にはこだわらず次の実験を進めた。最終的に活性を確かめる段階では、純度が大切な要素であることは間違いない。それでも数多くの合成を経て目的化合物は得られるため、一つひとつの合成段階で常に純度を追求するのではなく、先の段階で不純物を取り除くことも視野に入れながら実験を進めていったのである。

実験結果に一喜一憂しながらも、出口はその都度、効率的に実験を行うよう心掛けた。それは、決められた道筋を辿って確実に実験を進めていた学生時代にはなかった視点。いつしか出口は、確実かつ効率的に実験を進めていく視点を身に付けていたのだ。「新たな発見は10年に1回あれば成功」と聞かされていたため、途方もない時間がかかることを覚悟していた。その上で「できるだけ早く」世の中に新たな商品を生み出すため、最短距離を進もうとする研究者・出口の姿がそこにはあった。

エピローグ
同社では2ヶ月に一度、同じエリアの企業で働く研究者を集めて定例会を実施し、そこで会社の方針発表や個人目標の設定などを行っている。現在、出口が目標に掲げているのは、さらに仕事量を増やすこと。限られた就業時間内で最大限にパフォーマンスを発揮できるよう、努力を重ねているのだ。「努力は必ず報われる」。そう考えている出口は、効率的に実験を行うよう心掛けるだけでなく、日頃から論文に目を通すなど、知識を深めるための勉強も欠かさない。自分が取り組んでいる研究から新規農薬が生まれることを信じて、今日も実験を繰り返す。三歩進んで二歩下がるような歩みにも近かった。それでも、一歩ずつ着実に前進する出口の姿があった。
定例会で、他の研究者と再会すると刺激を受けるという出口。同社を代表して派遣されているという自覚が成長を促している。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
薬学研究科に在籍し、有機化学合成に取り組んでいた学生時代。努力の結果、学会で発表できるほどの研究成果を残すことができた。そうした経験を通じて身に付けた「努力は必ず報われる」という考え方、決して諦めることなく研究に取り組む姿勢は、現在の仕事でも大いに活かされている。
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