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サービス(専門コンサルティング(その他)) / メーカー(食品)
最終更新日: 2007/11/29
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プロの仕事研究
創意工夫を施した盛り付けで施設利用者に「食」の楽しみを提供する、栄養管理のプロ。
専門職系−まだまだある専門職
栄養士
濱 友香里 (24歳) Yukari Hama
入社3年目 / 兵庫大学 健康科学部 栄養マネジメント学科 出身

プロフィール
2006年4月、丸玉給食株式会社に入社。入社後は介護老人保健施設「あかしあ」の栄養士として、調理補助、検収、発注などに携わる。現在は介護老人保健施設「あかしあ」と隣接の介護老人福祉施設「希望の丘」の作業管理全般を担う。2007年4月からは新人栄養士の指導も行っている。

プロローグ
高校時代に「食物」の授業を受けていた濱は、栄養のことをもっと深く知りたいと思っていた。部活が「食物部」だったこともあり、献立を考えたり料理を作ったりするのが好きだったため、将来の職業として栄養士を志望した。大学は栄養マネジメント学科に進み、就職活動も栄養士の仕事に絞って行った。その中で丸玉給食を選んだのは、学生の間でしばしばその名が挙がっていたことと、「安全、喜び、安心」という基本理念に共感したからだった。

同社の栄養士は入社後、病院か保健・福祉施設に配属される。濱は、保健・福祉施設での勤務を望んでいた。実習で施設を訪れた際、「ここで食事を作って喜んでもらいたい」と思っていたからだ。そして濱は、希望通り介護老人保健施設「あかしあ」に配属される。仕事を覚えるのに必死だった濱に、ある日先輩が声を掛けた。

「食堂に行って、皆さんが食事をしている様子を見てみたら……?」。

濱はその言葉に従い、上階の食堂へ見学に行った。そこで濱は思いがけない光景を目にしたのだった――。

入社後は、調理補助、検収、発注に励む。 1
丸玉給食株式会社に入社後、濱は介護老人保健施設「あかしあ」に栄養士として配属された。入社後6ヶ月間は調理補助として、食事の盛り付けをしたり、料理が乗ったトレイを配膳車に振り分けたり……といった業務を行った。その後、材料が発注通りに納入されているかをチェックする検収業務に携わり「いずれは自分が発注するのだから」と、一般家庭では使われない食材を覚え、大型サイズで入ってくる調味料の容量を覚えた。やがて濱は先輩栄養士から発注業務の指導を受け、在庫を残さないよう発注できるまでに成長したのだった。

その6ヶ月間、濱は必死だった。まず、言われたことを間違えないようにする。もし間違えてしまったらメモを取り、二度と同じ間違いをしないようにする。家に帰ってからも業務の予習復習をした。そんな濱に、ある日施設の栄養士が声を掛けた。

「皆さんが食事をしている様子を見てみたら……?」。

朝から晩まで厨房にこもり、食堂に行ったことのない濱は、利用者が実際に食事をしている様子を見たことがなかった。「そういえば、どんなふうに食べているんだろう?」。昼夜の食事時間、濱は食堂へと向かった。

食事風景に、大きなショックを受ける。 2
各階の食堂では、25人ほどの利用者が食事をしていた。自分で食べることができる人、食事介助が必要な人。食堂にはさまざまな人が集っている。食事の調理状態は、普通の人と同じ状態で食べられる「常食」、一口で食べられるサイズに切る「一口大」、キノコや根菜、肉や魚など硬いものだけを刻む「硬いもの刻み」、フードカッターや包丁で全部刻む「刻み食」、流動状にする「ミキサー食」などがあるが、濱はまさにそれぞれの状態で食事をする人を目の前にしていた。

その中で、濱はある人の行為に目を奪われた。「何を食べているかわからない。もうどうでもいいわ」と、半ば自暴自棄ですべての料理を一緒に混ぜて食べている。確かに刻み食やミキサー食は、食材が原型をとどめていないため、何を食べているかわかりにくくなる。だが濱は、ご飯はご飯、おかずはおかずとして別の皿に盛り付けて出していた。それだけに、大きなショックを受けた。食事の献立は本社の栄養士が決めている。嚥下の状態は施設の栄養士が判断する。調理は専属の調理師が調理をする。だが、盛り付けは濱が全面的に担っていたのだ。

「利用者にもっとおいしく食べてもらう方法はないだろうか」。濱は切実な気持ちで思いをめぐらせた。

おいしく食べてもらうために、創意工夫を。 3
濱は、盛り付けにさまざまな工夫を施した。例えば、肉団子なら一度刻んでから丸くまとめて肉団子らしく盛り付ける。ハンバーグも、刻んでから成形して皿に載せた。魚も細かく刻んだ後、魚の形に近づけて盛り付けた。

また、野菜の型抜きにも力を入れた。ニンジンを桜の花びらにしたり、紅葉にしたり……。濱は味だけでなく見た目も重視した。だが、スタッフたちは困惑気味だった。一度刻んだものを成形するのは手間が掛かるからだ。特に焼き魚のように水気の少ないものを成形するのは大変だった。しかし、濱は「ふたを開けた時に、『わあ、おいしそう!』と言ってもらえるような食事にしよう」と、言い続けた。

やがて、施設の食事風景に少しずつ変化が生まれた。ニンジン嫌いの人も、濱が「これ花にしたのよ。可愛いでしょ、食べてね」と言うと、「可愛いから食べる」と言って食べてくれる。「味が薄いね」 「もっと量がほしいな」などと話し掛けてくれる利用者も増えた。濱は利用者の感想や要望をその都度スタッフに話した。「おいしい」と言ってもらえた時などは、スタッフの士気も上がる。いつしか、盛り付けの創意工夫はスタッフたちの間で恒例化していた。

食事を楽しみにする人の気持ちに応えたい。 4
最初、濱は施設の栄養士と一緒に食堂を訪れていた。施設の栄養士に「普通に話したらいいのよ」と言われてもどう話していいかわからず、ただ食事風景を見守るだけだった。「挨拶をしたら」と言われても返事があるかどうか不安で挨拶をするのも勇気がいった。しかし、気持ちを奮い立たせて必ず挨拶だけはするようにした。話しやすそうな人や会話が弾んでいる人たちをめがけて話し掛けた。

やがて、「家では肉ばっかりだけどここでは魚が出るからうれしい。おいしい魚料理があれば教えてね」 「今日の料理おいしかったけど、どうやって作るの?」と、食事を通して会話が弾むようになった。馴れてくると濱は利用者との会話が楽しみになった。会話を通して、皆がここでの食事を本当に楽しみにしていることを実感した。また「家で食べられないものをここで食べたい」という要望に応えることが自分の使命だと、自覚を新たにした。

エピローグ
「今は介護老人保健施設『あかしあ』の方が馴れているのですが、『希望の丘』も同じように見ていきたい」と、両施設を管理する濱は語る。

「今は何をするにつけても本社にいる上司を頼っているので、自分で判断できるようになりたいですね。そうすればその方の負担も少なくなるし……。現在、発注は本社で行っています。週に1回発注するのですが、1回に3、4時間掛かっているので、もっとスムーズにできるようにしたいですね」。濱にとって、自分のレベルアップも大きな課題だ。
スタッフに声を掛けながら盛り付けをする濱。食事をする人のことを考え、創意工夫を凝らす。

〜仕事で活かした学生時代の経験〜
学生時代にあるパーティーを企画したが、なかなか企画が通らなかった。しかし濱は「途中で投げ出したくない」と自ら先頭に立ち、友人と協力して大成功させた。学校行事のスタッフを務めた経験がない中で、司会も担当した。この時「責任を持って最後まで物事に取り組む」という経験をしたことが、今の仕事にも役立っている。
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